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つな木Challenges—日比谷の地下で未来の木造都市を構想|展示×つな木

2024年4月16日〜21日、東京ミッドタウン日比谷の地下アーケードに、日建設計 設計監理部門 テックデザイングループ DEL部 NWL課(Nikken Wood Lab 以下Lab)が研究開発を行っている “つな木” によるフォリーがずらりと軒を並べました。これは三井不動産とディスカバー・ジャパンが主催するイベント「木と生きる」の催しのひとつで、共同参加18団体によるパネルエキシビジョンの会場です。都心の地下に突如出現した63m続く木の空間に道行く人々が足を止め、各団体の取り組みを興味深そうに覗き込む姿がありました。

写真1 パネルエキシビションに参加した日建設計の展示は、
Nikken Wood Labが研究開発した “つな木” を紹介

「木と生きる」は、企業や個人が環境や社会・文化と向き合い、木や森との持続的な共存と未来を考えるイベントです。パネルエキシビションのほか、トークイベントやシンポジウム、インスタレーション、木に触れるワークショップが同時に開催されました。

都市と森を表現した循環型の空間デザイン

パネルエキシビジョンの空間プロデュースを手掛けたのは、Labチームリーダーの大庭拓也です。細くて軽い木材をクランプと呼ぶ金物で接合して空間をつくり出す木質ユニット “つな木” を発案した中心メンバーの一人で、2018年に日建設計の社内ベンチャーコンペでつな木が採択されて以来、公共空間でのイベントやコロナ禍の仮設医療ブースなど、多様な場所や目的でつな木空間を実現させてきました。(関連記事シリーズ:つな木Challenges

写真2 会場にて展示の説明を行う大庭拓也と日建設計のパネル

今回の空間デザインについて大庭は「未来の木質都市をイメージしたもの。29個のフォリーをただ並べるのではなく、細い路地や小さな広場を構成するように配置した」と説明します。

森と街と都市をつなぐ木の可能性を表現した展示レイアウト

18団体によるパネルの内容は、企業による森づくりや最先端の巨大木造建築、家具製品などスケールやテーマも多様です。これらに秩序を与えるため「長い地下アーケードの軸線の日比谷公園側を“森”に、銀座側を“都市”に見立てた」と大庭は説明します。「より森に近いテーマのものから都市的なテーマへ、川上から川下の間を歩きながら木の可能性を五感で感じて欲しかった」とそのデザイン・コンセプトを語りました。

写真3 会場風景

“つな木” の資材はすべてレンタルです。6日間の会期を終え、木材とクランプは解体後、2023年から “つな木” のレンタルサービスを行っている西尾レントオール社へと戻って行きました。ここで使われた資材が、またどこかで活用されるという仕組みです。“つな木” が目指す循環型の世界観を体現した空間デザインとなりました。

地産地消型への進化に向けての一歩となるか⁈

写真4 左から髙橋俊宏氏、穴井俊輔氏、大庭、井上裕史氏

また、大庭は4月19日に開催された同イベントのシンポジウム「木を活かすものづくり〜木と地域振興・文化〜」にも登壇し、 “つな木” を紹介しました。熊本県南小国町で穴井木材工場の家業を継承しつつ、「喫茶 竹の熊」を営む穴井俊輔氏、本イベントのイントロダクションエリアのインスタレーションを手掛けた乃村工藝社の井上裕史氏らと共に、木材の可能性を探りました。司会はDiscover Japan統括編集長の髙橋俊宏氏。

穴井氏は「熊本地震の後、地域の人が自ら家づくりに関われる仕組みの必要性を感じた」と言います。手軽に空間をつくり出すことができる “つな木” の仕組みに共感し、「地元の新嘗祭でも活用したい!」とコラボレーションの可能性を示しました。そして、2025年の新嘗祭での協働連携に向けて、検討が始まったところです。

写真5 シンポジウムで “つな木” を紹介する大庭

「 “つな木” は、これまで木材とクランプをセットにして開発してきた。しかし将来的には日本各地の製材所が自社の木材とクランプを組み合わせ、自由自在に活用していただけることを期待している。各地で独自のデザインを生み出し、付加価値を創出して欲しい」と大庭は語り、「木材が地域で循環できるようなプラットフォームをつくっていきたい」と “つな木” の次なる進化を構想しました。

Lab メンバー
日建設計 設計監理部門 テックデザイングループ DEL部 NWL課(Nikken Wood Lab
大庭 拓也(ダイレクター)、江坂 佳賢(ダイレクター)、松丸 真佑美(アソシエイト)、石澤 英之、大和田 卓

<クレジット情報>
TOP画像および写真3~5 提供:三井不動産

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