どんな運動もしないよりはマシ
『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著、新潮社、2020年)とその関連書籍を読んだので、簡単に情報をシェアしたいと思います。
ここで言う運動の条件は、大雑把に言うと、
・筋肉を動かすものであること
・心拍数が上がるものであること
・発汗するものであること
こんなところでしょうか。そして、「息が上がるものであると尚良い」ようです。「有酸素運動なら尚良い」と言い換えてもよさそうです。
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イスラエルのグループが行なったメタアナリシスによると、「どんな運動でも効果がある(どんな運動をするか考えるよりも、何でもいいから運動をしよう)」とのことです。
世界には様々な研究機関があって、日々いろいろな研究をしています。
その中には例えば、「一日4分の運動を一ヶ月継続したところ、被検者の幸福度が上昇した」といった報告があるわけです。
別の研究では、「一日6分の体操によって、小学生の成績が向上した」といった報告がされているかもしれません。
そういった「運動」に関する研究報告を、別の研究者たちが読み漁って、「ちゃんとした研究」「いい加減な研究」などとランク付けをし、報告結果を総合的にまとめたものが「メタアナリシス」です。
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また、「これ以上がんばっても認知機能・幸福度の上昇に繋がらないライン」というのも見えてきました。
「一週間あたり2時間」までは、運動すればするほど認知機能や幸福度が上がったものの、それ以上がんばっても、認知機能や幸福度は上がらない可能性が高いようです。
一週間あたり2時間ということは、毎日20分、あるいは30~45分を週三回、といった分割方法が考えられます。
とはいえ、「一日4分」からでもいいという研究結果は、モチベーションの観点からすると、ありがたいですよね。
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補足として、ここで言う「認知機能の改善」「幸福度の上昇」とは、以下のようなもののことです。
・記憶力アップ
・複雑なタスクをこなせるようになる
・課題解決能力(ひらめき)がアップ
・一日の終わりに、その日の満足度が上がる
・ストレス耐性が上がる
・趣味をより楽しめる
ちなみに、この記事は散歩のあとに執筆しています。30分くらいの散歩で、1500歩弱を歩きました。
また、運動の副次的な効果として、「体重減少(適正体重へ近づく)」「睡眠の質の改善」が挙げられていました。
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ところで、実際にうつ病を発症してからだと、「一日4分の運動」ですら、自分一人でするのは難しくなってしまうこともあります。
精神疾患の多くは、治療よりも予防のほうが低コストなことが多いようです。
というわけで、余力のある読者さま方は、今日から始めてみてはどうでしょうか。
一時期流行った筋トレ以外にも、散歩・ジョギング・ランニング、ダンス、水泳、縄跳び、バドミントン、卓球、バッティング(センターでのバッティング)などなど、「筋肉を動かして心拍数を上げる活動」はたくさんあります。変わり種だと、掃除なんてのも当てはまります。
自分にあった運動を、ぜひ。