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20分休みを1人で過ごす女の子の話

最近新しく来てくれる事になった高学年の女の子が居ます。色々と教えてくれましたが、教室では誰かと話す事もなく20分休みも1人でずっと本を読んでいるとの事でした。淡々とその事を話す姿が印象的です。先生方からも他の子と中々うまくいかないという話しを聞きました。2回目に会った時私はその子に、



「20分休み来て良いよ。いつでもおいで。」



っと声をかけました。20分休みは事務作業をしているので子どもたちが来る形にはしていないのですが、この子には居場所が必要だと判断したので声をかけました。そこからチャイムが鳴ると同時に毎回来てくれるようになりました。あえてそうしているのですが、1人でパズルをしていてたまにボソリと何かを話すぐらいの感じです。来て良いよーっと言いながら私も特に何もしません。積極的に話しかける訳でもなく何なら事務作業をしている事もあります。過剰に反応するのだけが支援ではないですからね。それぞれその子に合った支援のやり方があります。私が大切にしている支援の一つに



同じ時間と空間を共有する



というのがあります。何か特別な事をしなくても同じ時間と空間を共有する事に意味があるという考えです。「何か困った事ある?」っと問いかけるだけが支援ではないという事です。



特別な事を話さなくても良いし何かこうやるべきだというのだけが支援ではない



という事です。昔SV をやって下さった立命館大学の教授にあなたの支援はピアサポート的だと言って頂いた事があります。そのピアサポートから同じ時間と空間を共有するという言葉を拝借させて頂いております。



あんまり難しい用語とか専門的なものは使いたくないものでピアサポートが気になった方はお調べ頂ければ幸いです。どんな場面が日常生活で似ているかなと考えるんですよ。私の狙いと言いますか想像しているイメージをあえて言いますと、


洗濯物を畳むお母さんの近くで遊ぶ子ども


なんです。一緒に遊んでいる訳でもなく何か特別な事をしている訳でもない。それなのにそこには特別な空気感が流れていて子どもたちが安心出来る何かがそこにあります。恋人や友人、行きつけのお店に行っても同じような空気感が流れる事ってあるかと思います。


最近ネットなどではそういう安全基地的な場所が増え過ぎていて変えていかないといけないみたいな意見もよく目にします。言っている事もわからなくはないですが、それはケースバイケースでしてその考えに嵌めてしまうのもまた違う訳です。それぞれ段階やタイミングなど色々ありますからね。私はこの子にその安全基地的な場所を作った訳ですが、決して間違っているとは思っておりません。特に学校の中で居場所を見つけるって難しい子には難しい事なんですよ。1人を受け入れたので今後は他の子も声をかけようと思っています。同じように居場所を求めている子に声をかけ交流の場にしたいと思っております。長く勤務している学校でして先生方も理解して下さりこうやって自由に動く事が出来ています。私の動きは、


先生方や保護者の方がかゆいけど手が届かない場所



を元に動いています。保護者の方や先生方がやりたくても出来ない事を考え想像しながら動いています。保護者の方からすれば大切なお子さんが学校で1人だと知るといたたまれないお気持ちになる事もあるかと思います。でも現実問題は学校の中に入っていくことは出来ません。担任の先生もその子のために何かをしたいと考えましても他の子ども達も沢山居る訳です。代わりに私が寄り添いますので安心して下さいねという感じです。まあそんな考えなもので仕事がいつも膨大に増えていっていますが、子どものためになるならそれでええんです。学校に居る人間は限られている訳ですから。前にちょっとこれはあまりにもひどいなと言うスクールカウンセラーが居たのですが、その人に


「学校や先生に都合良く使われるよ。」



っと言われたんです。そーですかと適当に返事を返しましたが、


子どもたちのために都合よく使われるなんて本望やわ!



って内心思いました。このスクールカウンセラーは面談もひどくて保護者が怒って帰る事が多発しておりました。でも先生方が都合よく使われるのは良い事とは思っておりません。それは良くない事です。先生方とは立ち位置が違って私たちのようなものはそういうために居るようなものですからね。忙しいという事は仕事として機能しているという事なのです。


学校って色々な場所があるようで色々な場所が実はない場所なのです。例えば、部活動は沢山ありますが自分の所属している部以外には参加出来ませんし、理科室や家庭科室や音楽室など色々な部屋があっても使われていない誰も居ない時間も多くあります。基本的に他のクラスや学年の教室にも行けませんよね。一見選択肢は多く見えますが目線を変えると結構一本道なのですよ。それらが学校を維持する事や子どもたちのために必要な事と理解した上で違った目線も持っておく必要があるという事です。


この子自身も変えていった方が良いと思う所もいくつかありまして少しずつ声をかけていこうと思っています。これから先きっと誰かと素敵な出会いがあると思います。その時にこの子が笑顔になれるよう協力していければと思います。

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