ABCDEFGHIJK
今年度のクラス数は、AクラスからKクラスまでの計11クラスある。
このうち、AクラスからDクラスまでが卒業クラス、それ以下が1年目のクラスである。
(卒業予定者のうち7名は1年目のクラスに在籍中)
ちなみに、1年目のクラスについて、EクラスからIクラスまでが昨年の4月生、JクラスとKクラスが昨年の10月生である。
さて、このアルファベットの並びは、『基本的』に、クラスの学習進捗状況や日本語学習レベルによるものだ。
平たく言うと、Aクラスが一番上のクラスで、Kクラスが一番下のクラスということになる。
ところが、これが実際の状況に合っているかと言うと、必ずしもそうとは言えない。
例えば、FクラスとJクラスがそうである。
Fクラスは4月生のクラスで、自国で初級テキストの「みんなの日本語Ⅰ」25課まで、あるいはそれ以上の学習を済ませた学生が集ったクラスである。
それで、「みんなの日本語」25課までは簡単に復習を済ませ、26課から本格的な授業を開始することにした。
これは、Fクラスと同じく、自国で25課以上の学習を済ませて来日したEクラスも同様の流れである。
EとFの違いは、プレースメントテストの結果によるものだけでなく、この自国での学習やJLPT資格の有無などに起因する。
特に、Fクラスは来日が遅く、入学式にさえ間に合わなかった学生が多い。
そして、そのほとんどは、ネパールの学生だ。
本来であれば、入学前、一斉に行うプレースメントテストの結果をもとに、適正なレベルに合ったクラスに振り分けるべきで、自国での学習は参考程度に留めるのが良いのだろうが、いかんせん、他クラスにしても、大半のネパール学生が4月の授業開始に間に合わないということで、クラス編成をするためには、どうしても入学前の情報を頼るよりほかなかった。
ただ、そうしなければ、いつまで経っても本格的な授業が開始できないことで、他国から来た留学生の学習まで遅らせてしまうことになる。
それだけではない。
当校にご勤務くださる非常勤講師の方々に、学生が揃うまでの長い時間を待機していただくことになるのは、絶対に避けなければならない。
そういった学校運営上の問題から、クラス編成を強行した経緯がある。
だが、下の3クラス、GクラスからIクラスに関しては、自国での学習が「みんなの日本語Ⅰ」の範囲ということもあり、ほぼ実際のレベルに近い状況だと思う。
つまり、Fクラスの大半の学生は、「みんなの日本語Ⅰ」からやり直すべきだった。
ただ、そうかと言って、後から下のレベルのクラスに編入することも難しかった。
それは、どのクラスも人数の上限に達していたり、クラスを増設するにも教員不足であったりと、これまた、学生のレベルとは関係のないところによる。
さあ、そうこうするうちに、10月生がやって来た。
国籍は、ミャンマー、中国、バングラデシュ、スリランカ、ベトナム、そしてネパールである。
今回もまた、4月生のときと同じく、上位のJクラスをミャンマーの学生が占めることとなった。
このJクラスには、自国でN4やN3相当の学習まで済んでいた学生がいたが、前回のこともあり、「みんなの日本語Ⅰ」の14課からスタートすることにした。
これが良かったかどうかは、正直なところ分からない。
なぜなら、N4やN3相当の勉強をしてきた学生たちにとっては、退屈な授業になってしまうおそれが多分にあったからだ。
今、Fクラスが授業で使用しているのは、中級のテキスト「テーマ別中級から学ぶ日本語」である。
一方のJクラスは、そろそろ初級「みんなの日本語Ⅱ」が終わりを迎えようとしているが、JLPTの模擬試験などをやると、Jクラスの方がFクラスよりも良い結果を出すのは明白なのである。
それだけではない。
どちらのクラスでも作文や会話の授業を行うが、Jクラスの学生の方がFクラスの子たちの先輩に思えてしまうほどだ。
以上の理由により、中級クラスと初級クラス、どちらが上でどちらが下か、一概に言えない事情があり、現場の人間としては、非常に複雑な問題を抱えている。
経営と教育の両面から、何とか上手くいく形を模索していければと思うが、第一に『学習者ファースト』でなければ、日本語学校を存続させていくのは今後さらに厳しくなるに違いない。
これは、会社批判でも何でもない。
これまで複数の日本語学校で勤務してきたからこそ経営の難しさもわかる。
特に、コロナ時代の到来が問題を深刻化した。
どこの日本語学校も抱える問題は山積しているだろうが、まずは自分が今置かれている状況でできることにしっかりと取り組んでいきたい。
そのためにも、社員一丸となって、チームプレーで働ける環境整備を着実にやっていこうと思う。
今、私が教務主任としてやれているのは、近くでいつもサポートしてくださる専任、非常勤の教職員の方々のおかげであり、そして、比較的自由に働かせてくれている社長には深く感謝している。