日本ベッドの歴史(11): 線径から見直した新たなマットレスと「五感で感じる」展示会 ─2006年─
スプリングから改良した新たなマットレス
2006年(平成18年)、80周年を迎えた日本ベッドは再び、マットレス製品の改良に本格的に取り組みました。
ポイントは、マットレスのもっとも根本的な部分であるスプリング。 開発は線径レベルの見直しから行われました。
まず、1.2mmから1.7mmまで、0.1mm刻みで線径の異なる硬鋼線を使ってコイルスプリングをつくり分けました。更に、その線径の違う6種類のスプリングを組み合わせて、かたさを表現する技術を導入し、芯から寝心地をつくり込みました。
0.1mmずつ線径の異なる硬鋼線を用いるということは、それだけ材料の種類が増えて製造上の負担が増えることになりますから、一般的には通常のメーカーで積極的に導入する方法ではありません。
スプリングユニットを、単にポケットコイルマットレスの「土台」として扱わず、寝心地にバリエーションをもたらす大切な要素と捉えている日本ベッドならではの選択でした。
開発された製品は、表面のクッション層を工夫するだけでは実現しえない、より深い骨格部分で身体を支える本物の安心感、安定感を持ったマットレスとなりました。
記念展示会 「SLEEP SOLUTION -stage1- ~五感で感じる快眠空間~」
同年6月、日本ベッドは東京新宿のリビングデザインセンターOZONEで「眠りに関する情報発信」を意識した記念展示会を開催しました。
展示会のテーマは「五感で感じる」。
「SLEEP SOLUTION -stage1- ~五感で感じる快眠空間~」と題して、さまざまなアイテムを体験していただけるよう会場を設営しました。
マットレス製品単体では表しきれない「上質な眠り、本当の心地よさ」を、空間全体で表現する試みでした。
会場は、開発された新しいスプリングユニットを、ユニットのまま直接体感していただける「スプリング体感スペース」、光や音、動き、香りで表現された「イメージスペース」に区分け、それらが緩やかにつながる形に構成されました。
いち早くお披露目した新たなマットレスは、かたさ違いでぐるりと会場を取り巻き、6種類の寝心地の違いを、来館者の方々に思うまま自由にお試しいただきました。
展示会場各所に、嗅覚、聴覚、視覚など実際に五感で感じ取れるような工夫が施され、マットレスの周囲には、穏やかな香りが漂い、ここちよい音がやわらかく鳴り、気持ちの和らぐ光が揺らいでいました。
手でさわって確かめ、目で見て動きから時間の流れを感じ取っていただける展示品も並びました。
日本ベッドは、山田照明株式会社の協賛を得て、オリジナルの照明「目覚めの照明 Mezamy メザミー」を開発し、会場中央に展示。機能と両立したデザインは高い評価を得ました。
会場壁面には大きく「快眠 五感の基本情報」と題したパネルを設置しました。
快眠セラピスト三橋美穂さんの快眠理論を「朝の五感」と「夜の五感」のそれぞれにまとめ、日本ベッド版として編集。視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の五感で感じられる「質の良い睡眠に導く要素」を「朝の覚醒時・夜の入眠時」に分けて整理しました。
併せて、寝室コーディネートのヒントとして取り入れていただけるよう、ベッドメーカーならではの眠りのノウハウをご紹介しました。
また別の壁面には「快眠 今私が欲しいゲストルーム」と題して、ホテルの客室パッケージプランを展示しました。
「よい眠り」を実現する部屋であることをポイントに、宿泊客の性別、年齢、ライフスタイルといったリアルに思い描ける「人(利用者)」側からの目線で企画された提案は、当時まだあまり例のない新しいものでした。
7月には日本ベッド 大阪ショールームと、同ビル内別会場に於いて、テーマを同じくした展示会を開催しました。