僕はうつじゃないと言うけれど
夫の様子が変わっていったのは引っ越す前からかもしれない。16歳年上で、なんでも頼れて甘えていたのに引っ越しに関する事務的なことを面倒くさがっり、「これ、やっといて」と書類をよく読まずにわたしに渡すようになり、怒りっぽくなって。
引っ越ししてからは、気分が沈むことが多くなってきている。夜眠れずにいたり、帯状疱疹ができたり。
年齢のせいだ。76歳だもの。年をとるということはそういうことだ。だけど、夫はそれを受け入れることができない。
こんなはずでなかった。ぼくは、弱くない。強いはずだ。
ぼくはうつじゃない。甘えているだけ。自分でなんとかしなくっちゃと思っている。
病院にいくような人でない。どうすればいいんだろう。
ツレがうつになりまして 細川貂々
その後のツレがうつになりまして 細川貂々
7年目のツレがうツつになりまして 細川貂々
作者もツレも描いていたとき、その中にいたとき苦しかったと思う。だけどそれを明るくかわいい漫画で表現しているのがすごい。苦しいのに明るい。それは夫婦の愛情があるからというのが大きいし、お互い素直に感情を出し合っているからだと思う。
泣いたり怒ったりイライラしたり、歌ったり踊ったり。
苦しいを明るく表現しているから伝わる。
苦しくなった。
夫もこれかも。
ううん。夫は違う。
ただの加齢だ。みんな通る道。
ねぇ、死にたいと思う?
・・・わからない。このまま死んでもいいのかなぁと思うけど
死ぬ勇気はない。
もう充分かな、と思う。
たくさん嫌なことも楽しいことした。
なんで自分のことばかりなの?
わたしのことは考えないの?
わたしはノブリンのことばかり考えているよ。
前の家に戻ってもいいよ。
ノブリンのしたいようにして。
今、夫は新しい家の図面をひいている。
引っ越ししたばかりなのに。
今度はわたしがうつになっちゃうよ。
いつ治るの?
3年かかるって。ノブリン80になっちゃうよ。
僕はうつじゃない。
甘えているだけ。
言っちゃいけないことばかり言ってしまう。
だけど彼らのように夫婦の愛情だけは忘れないようにしていこう。
歌ったり踊ったり、泣いたり(わたしだけど)怒ったり(ノブリン)うつであってもそうじゃなくっても。年齢のせいでも。認知症でも。
人生、上を目指さないで。
希望をもって。