筋肉は嘘をつかない
筋肉は裏切らないと言ったのは、NHK番組『みんなで筋肉体操』における近畿大学准教授の谷本道哉だけど、精神と肉体は別物という考えが主流であった時代に三島由紀夫が『若きサムライのために』の中で心と身体はつながっている、ということを書いてます。
本作にも登場するこの言葉、主人公の身体と精神の変化もおもしろい小説です。
フェイク・マッスル 日野瑛太郎
第70回江戸川乱歩賞受賞作品で、筋肉が本物か偽物か誰が糸を引いているのかミステリーなのだけど、主人公の松村のキャラのせいか明るく、軽快でポンポンと読め、おもしろい。漫画のように目に浮かぶおもしろさ。ドキドキハラハラしたり、くすっと笑えたり、えっ?と驚いたり、心と頭を動かせて楽しめます。
わたしは、トレーニングマシーンのレッグプレスとかショルダープレスとか基本的なものはやるけど、重たいものをつけて持ち上げるウェイトはやりません。やらなくっちゃだけど。
そのウェイトのやり方とか、筋肉を大きくするための食事、休養等、筋肉の勉強にもなり興味深かったです。
筋肉は奥が深い。かわいがったりいじめたり休ませたりして育てていくもので、魅せる(見せる)筋肉、使える筋肉、生きるための筋肉があり、心(精神)もそうなのかな、人の多面的なものも、育てていくものなのかも。生きるための筋肉があれば、心も生きることができるかな。
巻末の江戸川乱歩賞の各審査員の選評もおもしろく、お得感があります。東野圭吾、綾辻行人、有栖川有栖、辻村深月、湊かなえと豪華!