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洗脳と信仰の境界線
シリーズ第7弾『妖奇庵夜話
誰が麒麟を鳴かせるか』を読
みました。
今回のテーマは「洗脳と信仰
の境界線」。
現代社会の闇を鋭く切り取り
ながら、人間の脆弱さを浮き
彫りにする展開に、息をのむ
思いでした。
妖奇庵夜話
誰が麒麟を鳴かせるか
榎田 ユウリ (著)
都内で起こった偽装自殺殺人
事件。
被害者は不可解なメッセージ
を体に刻み息絶えていた。
やがて妖人の宗教団体「麒麟
の光」が捜査線上に浮かび、
休暇で沖縄に滞在していた妖
人茶道家の伊織も協力を頼ま
れ…。
誰が麒麟を鳴かせるか
榎田 ユウリ (著)
Amazonより
物語の舞台が沖縄に移ったこ
とで、新たな文化的要素が加
わり、より重層的な物語にな
っています。
特に、神女との出会いを通じ
て伊織の内面が掘り下げられ
る場面は、これまでにない深
みがありました。
SNSでの妖人差別発言という
現代的な問題設定は、リアリ
ティがあり、読者の共感を呼
びます。
そこから展開する殺人事件と、
謎のメッセージの解読過程は、
ミステリーとしても秀逸でし
た。
新たに登場した女性弁護士・
ひろむのキャラクターが、物
語に新しい風を吹き込んでい
ます。
脇坂との関係性の変化も含め
て、キャラクター間の力学が
複雑化し、より深みのある人
間ドラマが展開されています。
特に印象的だったのは、宗教
団体における《麒麟》の存在
を巡る議論です。
伊織が妖人としての麒麟の存
在を否定する場面は、単なる
ファンタジー要素の否定では
なく、人間の信仰心と洗脳の
境界線を問いかける重要な転
換点でした。
榎田ユウリさんの筆力は健在
で、ファンタジーとミステリ
ー、そして社会批評を見事に
融合させています。
特に、「愛と洗脳はどこが違
うのか」というテーマは、深
い思索を促します。
『妖奇庵夜話』シリーズは、
回を重ねるごとに社会性を増
し、単なるエンターテインメ
ントを超えた作品に進化して
います。
特に今回は、新興宗教や SNS
の問題など、現代社会の課題
に正面から向き合う姿勢に、
作者の覚悟を感じました。
この作品は、ミステリーとフ
ァンタジーの枠を超えて、現
代社会の闇と人間の本質を鋭
く描き出しています。
青目の影が薄くなる一方で、
新たな脅威が浮上する展開に、
次巻への期待が高まります。
クライマックスに向けて、物
語がどのような結末を迎える
のか、今から心躍る思いです。
Kindle版
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noteがスキ❤️になってきた。より
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