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日常の中の異常

まだ暑い日は続いていますが、
夕方、外を歩いていると自分
の影がいつもより伸びている
と感じました。
これは、秋の兆しかなぁ…

『きのうの影踏み』を読みま
した。


きのうの影踏み
辻村 深月 (著)

あるホラー作家のもとに
送られてきた手紙には、
存在しない架空の歌手と
ラジオ番組のことが延々
と綴られていたという。
編集者たちの集まりによ
ると、チェーンメールの
ように、何人かの作家に
も届いているという。
かくいう私にもその手紙
は届いていた。
その手紙のことを調べる
うちに、文面の後ろのほ
う、文字が乱れて読み取
れなくなっていた部分が、
徐々に鮮明になってきて
いる……。
ある日、友人作家が手紙
のことで相談があると言
ってきた。
なんと、その手紙、サイ
ン会で手渡しされたとい
う。
誰がその人物だったかは
わからない。
けれど、確実に近づいて
きているーー。
(「手紙の主」)。
その交差点はよく交通事
故が起こる。
かつてそこで亡くなった
娘の霊が、巻き添えにし
ていると、事故死した娘
の母親は言っているとい
う。
その娘が好きだったとい
う「M」の字の入ったカ
ップがいつもお供えされ
ていた。
ある雨の日、そのおばさ
んがふらふらと横断歩道
にさしかかり……。

死が母娘を分かつとも、
つながろうとする見えな
い深い縁を繊細な筆致で
描く「七つのカップ」。
闇の世界の扉を一度開け
てしまったらもう、戻れ
ない。

辻村深月が描く、あなた
の隣にもそっとそこにあ
る、後戻りできない恐く
て、優しい世界。

【解説:朝霧カフカ】

きのうの影踏み
辻村 深月 (著)
Amazonより

読者の心に深く沈み込む、
恐ろしくも優しい短編集
です。
日常の中に潜む不気味さ
と、人間の複雑な感情を
巧みに描き出している。
辻村さんの世界観に引き
込まれます

母と子の絆

作品の多くで母と子の関
係が描かれ、その中には
失われた娘への思いが込
められています。
母親の深い愛情と喪失感
が、現実と幻想の境界線
を曖昧にし、読者の心を
揺さぶります。

恐怖の本質

辻村の筆致は、単なる驚
愕や戦慄を超えた恐怖を
紡ぎ出します。
「手紙の主」や「だまだ
まマーク」といった物語
は、意味のない事柄への
恐怖や、理解することで
生まれる戦慄を巧みに描
き出しています。

余韻を残す結末

多くの話で、正体や結末
を明確に示さない手法が
取られています。
これにより、読者の想像
力が刺激され、物語の余
韻が長く心に残ります。

日常の中の異常

平凡な日常の一コマの中
に、気づいた瞬間に恐ろ
しさが滲み出る要素を巧
みに配置しています。
この手法により、読者は
自身の日常を振り返り、
潜在的な不安や恐怖を感
じずにはいられません。
辻村深月の『きのうの影
踏み』は、恐怖と愛情、
現実と幻想が絡み合う、
深遠な短編集です。
その優しくも冷たい文体
は、読者の心に静かに、
しかし確実に染み入り、
長く心に余韻を残してい

怖いけど、優しい恐怖に
心暖かくなるそんな辻村
ワールドを楽しみたい方


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自己紹介
noteがスキ
❤️になってきた。より

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