茶道家探偵
妖怪のDNAを持つ「妖人」と
いう設定が新鮮で、現実の差
別問題を彷彿とさせる『妖奇
庵夜話 その探偵、人にあらず』
を読んで、その独特な世界観
に引き込まれました。
妖奇庵夜話
その探偵、人にあらず
榎田ユウリ（著）
単行本で大ヒットした話題作、
ホラー文庫で登場!
美貌の青年茶道家・洗足伊織
は、妖怪のDNAを持つ異質な
存在。
しかし明晰な頭脳と、不思議
な力を持つがゆえに、警察に
頼られて、妖怪がらみの事件
に巻きこまれることに。
茶道家探偵、鮮烈に登場。
その探偵、人にあらず
榎田ユウリ（著）
Amazonより
主人公の洗足伊織は、美貌と
毒舌、そして冷静な洞察力を
兼ね備えたキャラクターで、
彼の一挙手一投足に目が離せ
ません。
特に印象的だったのは、伊織
と新人刑事・脇坂の掛け合い。
脇坂の天然さと純粋さが物語
に軽やかさを与えつつも、彼
の成長や真剣さが胸を打ちま
す。
また、小豆洗いや座敷童など、
妖人たちの個性も愛らしく、
それぞれのエピソードに、こ
ころ動かされました。
物語全体を通して、人間の悪
意や偏見が描かれており、最
後には「本当に怖いのは妖人
ではなく人間なのではないか」
と考えさせられます。
悲しい結末もありながら、キ
ャラクターたちの絆や優しさ
が救いとなり、読後感は複雑
ながらも満足感でいっぱいで
す。
榎田ユウリさんのストーリー
テリングは見事で、一気に読
み終えてしまいました。
この作品はミステリーとして
も、ファンタジーとしても楽
しめる傑作だと思います。
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