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勇人#4 「コロナ禍のハリウッド&ビジネスからクリエイティブへ」

皆さん、こんにちは。いつの間にか金曜日投稿に変わった、ロサンゼルス在住の勇人です。コロナ禍の中、皆さんいかがお過ごしですか?

さて、私が住んでいるロサンゼルスでは感染者数が急増し、ようやく室内営業が許されたレストラン等がまた閉めるよう通達されるなど、大変な状況が続いています。ただ、ロサンゼルスの日常の雰囲気に関しては、普通に車も走ってるし、あまり変わらずという感じがします。みんながマスクをしていること以外は。

で、とてもリベラルなカリフォルニアなのでみんな率先してマスクをするのかと思いきや(保守的な州では憲法で保障された個人の自由に反すると言ってマスク着用を拒否する人が多い)、ここロサンゼルスの近隣地域でもマスクを拒絶する住民が多いことにびっくり。

また、感染を防ぐため、カリフォルニア州政府からビーチをしばらく閉鎖するよう通達されたオレンジ・カウンティー群が反発し、州に訴訟を起こす決議案を出すまでの騒動に。

ちなみに、サーフィンのメッカでもあるオレンジ・カウンティー郡ハンティングトン・ビーチ市の、ある動画が拡散している。これは、ハンティングトン・ビーチで若者二人がマスクの入った箱を持って無料で配り歩く企画なんですが、マスク付けるのに拒否反応起こす人が多く(ほとんどの人はマスクをしてなかった)、無料で配っているにも関わらずその行為自体が神経にさわるようで、まわりから罵倒され、襲われそうになったり、「あなたにとって神とか何か」とまで聞かれる始末に。これがすぐ近くにあるハンティングトン・ビーチで行われていたのでかなりびっくり。動画見てると、アメリカ南部の超保守的な場所かと錯覚するほどでした。

こちらがその動画になります。英語ですが、なんとなく雰囲気は伝わるかと思います。

まぁ、そんなこんなでアメリカ全土(多分)では撮影が完全に止まっていたのですが、その代わりコマーシャルとかに関しては役者が自宅で撮影する感じのが増え、自分でライティングやカメラのセッティングをして、恐らくズームか何かでクルーから撮り方の指示を受け、それを撮ってコマーシャルを流すやり方が増えてるように思います。あとは写真を並べて音楽をかけてCG追加して終わり、みたいなのもあり、外で撮影する必要のないコマーシャルが多くなりました。かなり大手のCMでもそんな感じでした。

ハリウッド大作の公開状況も色々と変わり、全米最大の劇場チェーンであるAMCがユニバーサルスタジオとディールを組み、今まで劇場公開してから三ヶ月経たないと作品をオンライン配信できなかったのが、わずか三週間でできるようになり、しかも、オンライン配信の一部の収益を劇場に分配するという画期的なシステムが出来上がりました。日本と比べて色々と進んでいるハリウッドではありますが、劇場とスタジオの関係に関して言えばかなり保守的で、コロナがなければこんなディールなんて有り得なかったのですが、劇場も背に腹を変えられなくなったんでしょう。今回はAMCとユニバーサルのディールでしたが、他の劇場チェーンやスタジオとも似たよな事が起きるかも知れません。これからどうなっていくか、ハリウッドにも変革の波が押し寄せてきてます。それにしても最初に劇場で公開してから一ヶ月も経たないうちにオンラインで見れちゃうとは…

ご興味のある方は、こちら、原文となります。

さて、そんな混沌としたカリフォルニアですが、最近になってようやく撮影が少しずつ再開され、少人数、ソーシャル・ディスタンス、マスク着用というルールで行われ始めてます。

役者は引き続きオンラインでオーディションを受けたり、演技クラスをズームで受講するなど、今の状況下で出来る限りの事をやってます。

私はと言いますと、コロナ禍中は必需品の買い出し以外は全く外に出ず、室内に引きこもっていたので、これを機にAdobe Premiere Pro(動画編集ソフト)やPhotoshop(写真や画像の編集ソフト)の使い方をオンライン・コースを通じて習いました。日本でもあると思いますが、Udemyというオンラインコースのプラットフォームを利用しました。実はこれ、めちゃめちゃ安くて($10 - $15) はまるので、いろんなコースを取っちゃいました。ただ、一人だと挫折する可能性が高いので受講パートナーが必要と判断し、後輩と一緒に取って毎週どこまで進むかを設定し、週一でキャッチアップとディスカッションのライン会議をやってました。一時期Premiere ProとPhotoshopを同時に勉強してたので、水曜日はPremierer Pro、金曜日はPhotoshop、という風に週二回、ラインでビデオ会議やってました。Gaiくん、付き合ってくれてありがとう!

一度オンラインコースを購入して、次にまた別のオンラインコースを購入しようとすると、普通の値段に戻ることが多いのですが(初回はスペシャル金額の$10だったりする)、ネットでUdemy Discount Codeと打てば、$10とか$15とかで受けられるクーポンが出てくるので、いつもそれ使ってます笑。

フォトショップは前から使いたかったのですが、どうも毎月支払わなくてはいけないサブスクリプションモデルに抵抗があり入ってなかったのですが、これを機にようやく入り、入って本当に良かったと思います。今までは、ちょっとした編集でも編集者にお願いしなければいけなく(JPGをPNGに変える等、ファイル形式を変えるだけでも頼んでいた)、そうするとお金が余計にかかるだけではなく、先方も良い迷惑なので、ちょっとした編集は自分でできた方が無駄な時間と出費を抑えられるから習ってやるべきだとずっと思ってました。実際にやってみると編集作業の流れもわかるし、何ができて何ができないのかもなんとなくわかるので、色んな意味で効率が良くなったと思います。

あとは、プロデューシング・パートナーと映画の脚本を書き始めました。一緒に監督もする予定です。

私の場合、ビジネスから始まって、そこからクリエイティブの世界に進んで行ってるので、今は出来るだけ多くのクリエイティブな経験を積んでいる最中です。ロサンゼルスでMBAを取りに来たときはエンタメ業界の経験が皆無で、クリエイティブでは勝負できないと思い、まずはビジネスから入ろうと決め、フィルムスクールではなく、ビジネススクール(MBA)に進みました。ただ、究極の目的は現場で役者や監督、クルーと一緒に作品を作っていくことだったので、オフィスで映画に関する数字の分析をずっとしていたいわけではありませんでした。この期間は長かったですが、同時並行でクリエイティブの経験も積んでいきました。

弱肉強食の世界、ハリウッドでは差別化がとても大事なので、自分の位置付けに関しては次のようになるよう、意識してました。

1。クリエイティブの世界では、MBAを持っているビジネスができる人。
2。ビジネスの世界では、クリエイティブな世界に入っているクールな人。
3。ハリウッドでは、日本とのコネクションが強いプロデューサー。
4。日本では、ハリウッドで活動している日本人プロデューサー。

こんな感じで各分野で一番でなくてもそれらを組み合わせることによってユニークな存在になれるよう心掛けました。実際、MBAの成績はかなり悪く、インターンやイベント運営等、学業以外の活動に精を出しすぎてAcademic Probation(学業不審者でこのまま行けば進級できない)に3度もかかるという不良学生でしたが、それでもクリエイティブコミュニティーの中ではMBAホルダー、数字、ビジネスのことが分かる、という位置付けになってます。

MBAのおかげでハリウッドのビジネスの世界に片足突っ込むことができたのですが、そこからクリエイティブの世界に進もうとすると、これまた高い壁が立ちはだかっているのです。

例えば20世紀フォックス勤務時代、ハリウッド作品の世界での売り上げやマーケットシェア、競合スタジオの実績等の分析を行っていたのですが、これってハリウッド業界の仕事ではあるものの、クリエイティブからはほど遠い。

クリエイティブな仕事を目指すべく転職しようとしても、他のスタジオに転職はできても似たような職種で採用される可能性が高く、分業制のアメリカでは職種を変えることは容易ではないのです。

例えば、ファイナンス部門から製作部門に異動することはほとんどありません。製作部門のファイナンスをやる事はできますが、ファイナンスの職種に変わりはないのです。

俳優や監督と会って、脚本やキャスティングに関して議論をする仕事ではないです。メジャースタジオでは製作の仕事に近くなればなるほど花形と言われ、脚本開発や製作部門が超花形で、ファイナンスでも、どの企画を実際の映画として製作するかを決めるディール・アナリシスチームがファイナンス系では超花形だったりします。

ちなみに複数ある企画の中から実際の製作まで進む作品は極限られており、このプロセスをグリーンライトと言います。グリーンライトとは青信号の事ですが、赤から青に信号が変わったら車は発進する事ができるので、グリーンライトする事によって企画が進む、という意味で使われます。グリーンライトされたと言えば、ゴーサインが出た、という意味になります。今度機会があれば、色んなハリウッド用語についての解説もしたいと思います。

さて、話を戻すと、ビジネスの世界からクリエイティブな世界に進むためには、20世紀フォックス以外の場所でクリエイティブの経験や人脈を築いていく必要性があり、これまた色々あったのですが、その話はまた別途。

ではまた、Vol 5で!

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