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父と母の仲直りの仕方が、すごいんですけど

子供のころより、両親のケンカをまったく見たことがない……という人はいるのだろうか。
(小さな頃より、さまざまな理由で親が2人揃っていなかったという方もおられるかもしれないが)

私の両親は、20代前半で結婚し、それから兄と私を産んで4人家族を形成し、暮らしてきた。
私が子供のころは、基本的には両親の仲は悪くなく、「母は父のことが好きなのだなぁ」と子供心に感じて育った。

しかし時折、「のっぴきならない空気」が流れていることがあった(笑)

やべぇ……親が口きいてない……どうやらケンカしたんだな


ケンカそのものは見ていないが、翌朝の空気で知らされるパターン(笑)

台所で無言で家事をする母に、私はこそこそと近づいてゆき、それとなく「どうしたの、なにかあったの」などと様子をうかがったものでした。

思い出す限り、子供時代に何度か繰り広げられた「両親の大喧嘩」

その度、私はオロオロしました。


中でも、私が中学生のころのそれを、よく覚えている。

何でケンカしたのか知らないが、おそらく、売り言葉に買い言葉的なケンカだったのだと思う。お互いがお互いを傷つけ合ったのだろう。

父と母が口をきかないまま、数日が過ぎた。


しかし、母はそんなときにも父のご飯を用意するし、仕事から帰ってきてそれを食べる父。
父は無言でささっと食べ終え、ごちそうさまも言わずに立ち上がり、茶碗を台所の流しに持ってゆく。そして、すぐに別の部屋へ行ってしまう。

あわわ。

やばいよ、やばいよ。

私はハラハラしながら、状況を見守った。


いつもの「小さなケンカ」なら、その場で終わるか、その日のうちに戻っているのに。

大きなヤツは、冷戦状態になるんだよなー。



冷戦数日を経た、ある朝。

その朝も、父がムスッとしたまま、無言で玄関で靴を履き、仕事に出かけようとしていた。

じっと、かがんで、紐靴を結んでいる父。

背中が、まだ、怒っている。


もーーーー…………。

どうすんの、これ。
いつまで続けるつもりなの。


……とそこに、母が追いかけて行って、父の背中を上からギューーッと抱きしめたのである。



3秒だったか、5秒だったか、10秒くらいだったか。
誰も何も言わない時間が流れた。

母は、黙って父を後ろから抱きしめていた。

私は母の後ろから、それを見ていた。

母が思いを込めて、抱きしめているのが見て取れた。


私は母の強さを見た。
父も、母を振り払うことはせず、黙ってそれを受け入れていた。

「……行ってくるぞ」

玄関を出てゆく、父のその声色に、冷戦の雪解けを感じた。

その夜、帰ってきた父は、まだ少しぎこちなさを残しながらも、母と口をきいていた。どうやら仲直りへと向かっていることを察知し、私はホッとしたのを覚えている。

*****


このシーンを、父も母も、もう忘れてしまったろうか。

今の私くらいの年齢だった両親が、こんな風にして、仲直りをしていたことを、今、不思議と思い出す。

この「抱きしめ作戦」は、言葉を超えた仲直りである。子供の私には伺い知れない、「夫婦ふたりだけのやり方」があったのだろう。

親を親としてではなく、人間として見るようになって久しいが、あのときの母は「えらかったなぁ」と、大人になった私は、今思う。
「自分から歩み寄る強さ」がなくては、できないことだった。

ケンカというのは、どちらか一方が悪いということはなく、互いに言い分があり、互いに自分が正しく、相手が間違っていると思っている。

だから、「ごめんね」と歩み寄れる方が、一歩、上手(うわて)なのだと私は思っている。


だが一方で、対話なしに、「ごめんね」ひとつで突然ケンカを終わらせることは、よいことばかりではない。

というのも、仲直りをしたとて、根本問題は解決しておらず、同じような種類のケンカは、今後もずっと続くからだ。
言葉を尽くしてお互いの言い分を理解し合って、折り合いをつけていないから、同じ種類のケンカをし続けることになる。

そう……両親は、80歳を超えて尚、同じ種類のケンカをしている(笑)


「ケンカの型」があるかのごとく、同じルートを辿って、同じケンカを勃発させている。それを二人ともが、私に愚痴ってくるようになった。

母はもう、父を抱きしめたりしない(笑)
「なんでこっちばかりご機嫌とらなきゃいけないの!!」と言うようになった(笑) 

私は、抱きしめることで、ケンカを終わらせられるのも仲直りのひとつだと思うが、言葉なしの仲直りは危険だなぁとも学んだ。

ケンカそのものを終わらせるための「フィジカル」と、今後同じことでケンカしないための「対話」。


両方が必要なんだよなーって、両親を見て思う。

どんなカップルも、円満な結婚生活を継続するには、「ケンカをしないで仲良く暮らす」か、「ケンカをしても仲直りをする」以外の方法は存在しない。

若い人たちよ、今の時代、結婚するのも大変らしいが、結婚を継続するのは、やっぱりそれ以上に大変なのですよ。
ご自分の両親を見て、そう思いませんか(笑)

だから恋人時代のときから、ふたりだけの仲直りの方法を紡いでください。誰かとパートナーシップを結ぶ際、それが一生の武器になるんじゃないかしら。

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