
QNKSを授業で使ってみよう!
探究する時のスパイラル
「問いの設定」
「情報収集」
「整理分析」
「まとめ表現」
これらを取り入れている授業が増えてきています。以前、研修会に参加した時に「情報収集と整理分析を分けて学習したり交流したりできていますか?」という話が話題になりました。
そこで、今回はqnksのなかのNとK(抜き出しと組み立て)について、例を入れながら考えてみました。
「抜き出す(N)」と「組み立てる(K)」を明確に分け、それぞれを使いこなせるようにするためには、以下の点が重要になります。
① 目的の違いを理解させる
• 「抜き出す(N)」は、情報を集める行為(材料集め)
• → 事実やデータを集めることが目的。主観は入れない。
• 「組み立てる(K)」は、集めた情報を整理し、意味をつくる行為(料理する)
• → どの情報をどう関連付けるかを考える段階。主観的な思考も含まれる。
→ 例:料理に例えると…
• N(抜き出す) = 材料を買ってくる
• K(組み立てる) = 材料を切って炒めたり、煮たりして料理にする
→ 例:探究学習に例えると…
• N(抜き出す) = 歴史の資料から「戦国時代の武将の政策」を調べる
• K(組み立てる) = 調べた政策を「成功したもの・失敗したもの」に分類して分析する
→ まずは 「NとKの違い」 を意識できるよう、具体的な例を示して説明することが大切。
② 2つの行為を意図的に分けた活動を設計する
「N」と「K」を同時にやろうとすると、生徒が混乱しやすい。
時間を区切って、2つの行為を意識的に分ける活動を取り入れる と、明確に使いこなせるようになる。
活動例
1. 「抜き出すだけ」の時間を設ける
• 例:資料から「○○について書かれている部分だけ」を抜き出すワークをする
• ポイント:「自分の考え」はまだ入れない
2. 抜き出した情報を「組み立てる」時間を設ける ⭐︎背骨をつくる⭐︎
• 例:「共通点・相違点」「原因・結果」「分類・関連」などの視点で整理させる
• 「この情報とこの情報はどうつながるか?」を考えさせる
→ 例:社会科の授業で「江戸時代の文化」を学ぶ場合
• N(抜き出す):「資料から江戸時代の文化の特徴を書き出す」
• K(組み立てる):「武士・庶民・農民の文化の違いを表現したい順や関連を意識して書き出す」
このように、抜き出し(N)と組み立て(K)を 「別の作業」として扱う ことが、習慣化のポイント。
③ フレームワーク(型)を使い、違いを視覚化する
視覚的に整理すると、NとKの違いが分かりやすくなる。
例えば、以下のような表やマッピングを使うと、意識的に分けて考えやすくなる。
例1:「NとKを分ける表」
抜き出す(N) 組み立てる(K)
事実やデータを集める データを比較・整理して意味を見出す
例:江戸時代の識字率は世界最高レベルだった 例:識字率の高さが浮世絵や出版文化の発展につながった
→ このような 「NとKを分けるシート」 を用意すると、違いを体感しやすい。
例2:「マッピングで可視化」
• N(抜き出し) → 情報を付箋に書き出す
• K(組み立て) → 関連する情報をグループ化し、線で結ぶ
→ CanvaやJamboardなどのデジタルツールを使うと、グループで編集しやすい。
④ 振り返り(メタ認知)を取り入れる
子ども自身が「今はNをやっている」「次はKをやる」と意識できるようにすることも重要。
授業の最後に、次のような問いを投げかけると、NとKの違いを振り返る機会になる。
• 「N(抜き出し)でどんな情報が見つかった?」
• 「K(組み立て)では、その情報をどう整理した?」
• 「NとKを分けて考えると、どんな良さがあった?」
→ こうした 振り返り活動を繰り返すことで、NとKを意識して使い分けられるようになる。
まとめ
「抜き出す(N)」と「組み立てる(K)」を明確に分けて使いこなせるようにするには…
1. NとKの目的の違いを理解させる(例え話を使う)
2. 時間を区切って、NとKを分けた活動を設計する(順番を意識する)
3. ワークシートやマッピングを使い、NとKを視覚化する
4. 振り返りを通して「NとKを意識する習慣」をつける
この流れを意識していけば、子どもがが 「今は情報を集める時間(N)」「次は考えて整理する時間(K)」 と、自然に使いこなせるようになっていくはずです。
自分の問い→見えたもの、考えたものを短く抜き出す(書き出す)→抜き出したもので背骨になるもの(中心の考え)を組み立てる
また、K(組み立て)の中に自分の考えを入れることで、深まりにつながる交流や学習につながります。
子どももチャレンジ!教師もチャレンジ!