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サクレクール寺院から見るパリの絶景~ゾラ後期の傑作小説『パリ』との関係についても

前回の記事ではエミール・ゾラの『ルーゴン・マッカール叢書』ゆかりの地をご紹介した。

そして今回の記事では『ルーゴン・マッカール叢書』を書き上げたゾラが満を持して執筆した「三都市双書」の最終巻『パリ』の主要舞台となったサクレクール寺院をご紹介したい。


サクレクール寺院はモンマルトルの丘の上に立つ教会だ。

こちらは凱旋門から見たサクレ・クール寺院。小高い丘の上に立っていることがわかると思う。

モンマルトルの丘周辺は観光地としていつも賑わっていて、お土産屋やカフェも多い。ちなみに、スリも多いとのことなので油断は禁物である。

ここはたくさんの画家や芸術家が集まっていた地域としても有名で、今でもその雰囲気が残っている。

モンマルトルの丘を少し上るといきなりサクレクール寺院の巨大な伽藍が目の前に飛び込んでくる。

一段一段階段を上っていく。日差しを遮るものも何もないので夏場は体力的にもかなり厳しい。

だが、少しずつ上って行くたびに目の前の巨大なサクレクール寺院がいよいよ眼前に立ちはだかってくる。その迫力たるやなかなか味わえるものではない。この感覚は苦労して歩いたものだけに与えられるご褒美だ。

途中の段階ですでにこの絶景。この教会がいかにパリの中でも高い位置にあるかがよくわかる。

教会の目の前に到着。この教会は1877年に着工されたということで、比較的新しい建築物だ。たしかに見た目も綺麗で新しい印象を受ける。

教会内部も外観の通り広大な空間が広がっている。天井を高く作っているのが特徴的でドーム頂上部から差し込む光が美しい。正面の巨大な壁画にも注目したい。この教会がいかに力を込めて作られたかが感じられる。これほど巨大かつ精緻に作るとなると膨大な労力と費用がかかったことだろう。19世紀も終盤にかかろうという時期にこれほどの規模の教会を建てたというのは非常に大きな意味がある。この辺りのことをゾラはまさしく『パリ』で描いている。

そしてこの教会は有料で展望台に上ることができる。エレベーターはなく徒歩のみ。せっかくなので私も気合いを入れて上ってみることにした。


ご丁寧にも上り始めに「あと236段だ!GOOD LUCK!」と案内があった。この階段に心折れる人が多いのだろうか。こんな励まし方をする教会は初めて見た。

かなり上までやって来た。もう少しだ。


いよいよ上部まで到達。ここからの景色はどのようなものなのだろうか。

おぉ!これは・・・!

想像よりもかなり高い位置からパリを一望できた。凱旋門から見た景色ともまた違う素晴らしさだ。

少し位置を変えてみよう。尖塔越しに見るパリだ。

エッフェル塔もばっちり見えた。

苦労してここまで上ってきた価値はある。ここに上らなくてもたしかにパリの絶景は見渡すことができる。だが尖塔や円柱越しに見るパリのパノラマはそこにさらなる味わいを与えてくれる。これはぜひあきらめずにここまで上ってくることをおすすめしたい。

さて、ここまでサクレクール寺院についてご紹介したが、冒頭でも述べた通り、私がここに来たのは何と言ってもゾラの『パリ』があったからこそだ。

『パリ』は「ルーゴン・マッカール叢書」を書き上げたゾラの集大成とも言える作品だ。とにかくゾラらしさ満載で、「THE ゾライズム」と言いたくなるような作品である。

そして前回の記事でも紹介した「ルーゴン・マッカール叢書」ではフランス第二帝政期のパリのあらゆる階層の人たちをじっくり見ていくことになったが、今作『パリ』ではそれらの階層の人々がこの物語ひとつに一堂に会することになる。これは壮観だ。読んでいて、「お、これは『ナナ』的だ、ここは『ジェルミナール』だな、ほぉ!『獲物の分け前』『金』も顔を出してきたぞ」というゾラファンにはたまらないストーリーになっている。

そしてこの物語で重要な意味を持ってくるのがこの「サクレ・クール寺院」なのだ。

続きは以下の記事にて↓


今回の記事は以前当ブログで紹介した以下の記事を再構成したものになります。

続きは上の記事でお話ししていますのでぜひこちらもご覧ください。ゾラはなんとこの『パリ』という小説で、あろうことかサクレクール寺院を爆破しようとします。なぜゾラがそんな過激な筋書きを書こうとしたのかもこの記事でお話ししています。

前の記事はこちら

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