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『夜と霧』などナチスのホロコーストのおすすめ解説本をご紹介
はじめに
私は2019年に、イスラエルとポーランドを訪れました。その体験はnoteでも以下の記事などでまとめています。
私は学生の頃からずっとアウシュヴィッツに対する関心を持ち続けていました。人間の負の歴史を考える上で絶対に避けることのできないのがアウシュヴィッツだと思っていたからです。そして実際にその地を訪ねて私は忘れられぬ衝撃を受けることになりました。
その体験についてはここではお話しできませんが、私は帰国後改めてホロコーストや第二次世界大戦、特に独ソ戦について学ぶことになりました。今回の記事ではそんな私が参考にしたおすすめの参考書をご紹介していきます。
それぞれのリンク先ではより詳しくその本についてお話ししていきますのでぜひそちらもご覧ください。皆さんのお役に立てましたら幸いでございます。
1 芝健介『ホロコースト』
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私たちはホロコーストと聞くとアウシュヴィッツ強制収容所を思い浮かべがちです。
たしかに最大規模の虐殺が起きたのはアウシュヴィッツではありますが、ナチスによるホロコーストはアウシュヴィッツ以外でも大量に行われていました。
そしてホロコーストはヒトラーという独裁者一人の狂気によって命じられ実行されたというイメージもありますが、実際にはそうではありません。それまでの歴史的経緯や戦争の進展、組織の問題が絡み合いホロコーストが引き起こされたのでした。この本ではなぜホロコーストが起きたのか、そしてアウシュヴィッツだけではなく様々な地で行われた虐殺についても語られていきます。
この本はホロコーストの歴史を学ぶ入門書としてとてもおすすめです。ホロコーストはアウシュヴィッツだけではなく、一連の巨大な虐殺事件であり、それがどのような経緯で起こったのかが非常にわかりやすく解説されています。
新書ということでコンパクトにまとまっていてとても読みやすいのもありがたいです。アウシュヴィッツやホロコーストの歴史をまずはざっくり学んでみたいという方にぜひおすすめしたい1冊です。
2 フランクル『夜と霧』
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『夜と霧』は世界的に知られた名著中の名著です。私がこの本を初めて読んだのは学生の時でした。その時の衝撃は今も忘れられません。
そうした読書体験があったからこそ私は2019年にアウシュヴィッツを訪れたのでした。
この作品は心理学者フランクルがアウシュヴィッツやミュンヘンのダッハウ収容所での経験を綴ったものです。
下でも紹介するワシーリー・グロスマンの『トレブリンカ収容所の地獄』では絶滅収容所の悲惨さが描かれたのに対し、『夜と霧』では強制収容所という極限状態においてどのように生き抜いたのか、そしてそこでなされた人間分析について語られていきます。
この本はあまりに有名でこれ以上私がとやかく言う必要もありません。
この本は絶望的な状況下でも人間らしく生き抜くことができるという感動的な話が語られます。
収容所という極限状態だけではなく、今を生きる私たちにとっても大きな力を与えてくれる本です。
3 ワシーリー・グロスマン『トレブリンカの地獄』
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この作品はソ連のユダヤ人作家グロスマンが従軍記者として独ソ戦の前線に従軍し、ナチスの絶滅収容所を発見した際に書かれた報道記事です。
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ホロコーストというと、私たちはアウシュヴィッツを想像してしまいますが、トレブリンカという絶滅収容所についてこの作品では語られていきます。そこでは80万人以上の人が殺害されています。その凄惨な殺害の手法は読んでいて寒気がするほどです。それを現地で取材したグロースマンはどれほど衝撃を受けたのか想像することもできません。
この作品を書いたグロスマン本人もこの惨劇に打ちひしがれていたのでした。彼もユダヤ人です。彼の母もナチスによって殺されています。
目を反らしたくなりそうな現実をそれでもグロスマンは書き続けました。
その迫力は鬼気迫るものがあります。読んでいてあまりの恐ろしさに心臓の鼓動が早まり、呼吸が浅くなっていくのが自分でもわかりました。この本を読む時の精神的負荷はかなりのものになります。私はこの作品はフランクルの『夜と霧』に匹敵するのではないかと思いました。それほどこの作品が発する力は強力です。
『夜と霧』では強制収容所で生き延びたフランクルの経験が基になっています。
ここで強調したいのはフランクルがいたのは強制収容所だったということです。劣悪な環境で死者が多数出たものの、働ける限り殺されはしませんでした。
しかしグロスマンの描いたトレブリンカは絶滅収容所といわれる収容所です。ここはそもそも大勢の人を殺害するために作られた場所です。そこに移送された者で生存者はほとんどいません。移送された人々は騙され、強制され、追い立てられ、次第に自分の運命を悟ることになります。そして圧倒的な暴力の前で無力なまま殺害されていきます。これはまさにフランクルの言う地獄絵図です。グロスマンはフランクルの描かなかった地獄を圧倒的な筆で再現していきます。『夜と霧』と一緒に読むと、よりホロコーストの恐ろしさを体感することになります。
ホロコーストを学ぶ上でこの本がもっとフォーカスされてもいいのではないかと心から思います。ワシーリー・グロスマンは日本ではあまり知られていませんが、これは非常に残念なことです。フランクルの『夜と霧』と並んで評価されてもおかしくないほどの作品です。この本がもっと世に知られることを願っています。ホロコーストの実態を知る上で非常に重要な資料です。ぜひ手に取って頂きたい作品です。
4 M・ベーレンバウム『ホロコースト全史』
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この本はホロコーストの歴史をさらに詳しく学ぶには最適な一冊です。
この本ではナチスによるホロコーストが試行錯誤の末進められていったその過程がかなり詳しく語られます。そしてアメリカをはじめとした連合国がホロコーストの事実を知っていながらそれを無視したという驚きの事実もこの本では語られます。
ホロコーストの現場で何が起きていたのかという視点と、それに対して連合国がどのように対応していたのかというマクロな視点がこの本では繋がっていきます。ホロコーストを国際情勢からも見ていくことでよりその実像に迫ろうとしています。
この本は時系列に沿ってホロコーストの経過を解説していくので、何かわからないことや調べたいことがあるときにもピンポイントで調べることができとても便利です。
そして何よりこの本で私の印象に残っているのは掲載されているたくさんの写真でした。
この本は写真資料が豊富です。しかもその写真がかなりショッキングなものばかりです。
ガリガリに痩せほとり、服を着ていない無数の遺体が巨大な穴の中に折り重なっている写真など、他の本ではあまり掲載されないようなものも多々あります。ホロコーストの悲惨さがストレートに伝わってきます・・・
ホロコーストについてより深く学ぶにはこの本はとてもおすすめです。資料集として利用するのにも抜群だと思います。
5 C・アングラオ『ナチスの知識人部隊』
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この本は虐殺に突き進んでいった青年知識人たちにスポットを当てた作品です。彼らがいかにしてホロコーストを行ったのか、そしてそれを正当化していったのか、その過程をじっくり見ていくことになります。
この本で印象に残ったのはやはり、戦前のドイツがいかに第一次世界大戦の敗戦をトラウマに思っていたのかということでした。
そうした恐怖が、その後信じられないほどの攻撃性となって現れてくるというのは非常に興味深かったです。
ここではこれ以上詳しくはお話しできませんが、以下の記事では本書の重要箇所を引用しながらより詳しくお話ししていきますのでぜひご参照頂ければと思います。
6 ティモシー・スナイダー『ブラッドランド ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』
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この本はスターリンとヒトラーの大量虐殺について書かれたものです。
しかもこれまで語られてこなかった事実がこの本で明るみに出されます。これは以前当ブログでも紹介した『スターリン伝』と同じく、新たな資料がソ連崩壊によって次々と発見されてきているからです。
そして何より、この本はナチスによるホロコーストについても多くの言及があります。
上でも申しましたが、私は2019年にアウシュヴィッツを訪れました。人類の犯した悲惨な過去を学ぼうと思ったからです。
しかしです。この本を読んで自分がいかに何も知らないのかということを思い知らされることになりました。
それはこの本を読んでいく過程で皆さんにも明らかになっていくと思います。アウシュヴィッツに対する見方が変わってしまうほど衝撃的な事実がそこにはありました。
訳者が「読むのはつらい」と言いたくなるほどこの本には衝撃的なことが書かれています。しかし、だからこそ歴史を学ぶためにもこの本を読む必要があるのではないかと思います。
そもそもこの本を読むきっかけとなったのはスターリンの大テロル(粛清)と第二次世界大戦における独ソ戦に興味を持ったからでした。
スターリンはなぜ自国民を大量に餓死させ、あるいは銃殺したのか。なぜ同じソビエト人なのに人間を人間と思わないような残虐な方法で殺すことができたのかということが私にとって非常に大きな謎でした。
その疑問に対してこの上ない回答をしてくれたのがこの『ブラッドランド ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』でした。
この本は大量殺戮の歴史について学ぶ上で非常に大きな意味がある作品です。ぜひおすすめしたい作品です。
7 アーレント『エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』
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この本はアーレントの有名な「悪の陳腐さ」という言葉が生まれた作品になります。
アーレントはこの作品でナチスのホロコーストにおける恐るべき殺人システムの背景を考察します。
ホロコーストの責任者の一人であるアイヒマンは極悪人であるはずだ。そうでなければあんなことはできるはずはない。
世界中の誰しもがそう思っていました。
しかしアーレントはそれを覆す「悪の陳腐さ」という概念を提唱することになります。ここに世界中の人たちの衝撃があったのでした。
「命令だから」「義務だから」「服従せねば自分が危険だから仕方なくやった」
もしすべての人がそう言ったら一体誰を裁けばいいのだろうか。そうした問題がここで浮上してきます。
アイヒマンの悪の陳腐さはこうした難しさをはらむため、世界中で激しい議論を呼ぶことになりました。
ホロコーストをどのように考えていくかという問題の大きな手掛かりとなる一冊です。
8 B・シュタングネト『エルサレム〈以前〉のアイヒマン 大量殺戮者の平穏な生活』
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この本ではアイヒマンが「悪の陳腐さ」とは真逆の人間だったという驚きの事実が明かされます。あまりに衝撃的。
「アイヒマンは悪の化身のような人物ではなく、どこにでもいそうな普通の人間だった。官僚システムの中の単なる歯車の一つに過ぎず、命令に盲目的に従うだけの陳腐な人間に過ぎなかった。そんな人間が大量虐殺を犯していたのだ。」というのがアーレントの論です。
しかしです。この『エルサレム〈以前〉のアイヒマン』ではそんなアーレントの理論が覆されかねない衝撃的な事実が語られます。 というのも、この本では近年研究が進んできた資料によってモサドに逮捕される前のナチス時代、そしてドイツ、アルゼンチンでの逃亡期間のアイヒマンの言動が語られます。
つまり、文字通り「エルサレムでのアイヒマン裁判」以前のアイヒマンの姿が語られることになります。 そしてそこで明らかにされるアイヒマンは「悪の陳腐さ」とは真逆の姿でした。アイヒマンは単なる権力の歯車などではなかったのです。
アーレントの「悪の陳腐さ」という言葉はあまりに有名です。 「誰もが悪をしうるのだ」という概念そのものは私も同意しますし、このことを世界中に発信した意義はとてつもなく大きなものだったと思います。 ですが、その理論が生まれるきっかけとなったアイヒマンが「悪の陳腐さ」とは真逆の人間だった。
アイヒマンから生まれた理論はアイヒマンには適用できない。 だが人間全体としては「悪の陳腐さ」はいつどこで誰にでも起こりうる理論である。 こうした何とも矛盾した問題を私達は突きつけられることになります。
あまりに衝撃的な一冊!非常におすすめです!
9 仲正昌樹『悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える』
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上で紹介した『エルサレム〈以前〉のアイヒマン』は大作ではあるものの文章自体は読みやすく、すらすら読めるのですが、残念ながらアーレントの作品はとてつもなく読みにくいです。
そんなアーレントの作品をまずはざっくりと理解するのにいい参考書はないかと探していたところ出会ったのが、ここで紹介する『悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える』 です。
この本ではアーレントの代表作『全体主義の起源』と『エルサレムのアイヒマン』を中心にアーレントの生い立ちや哲学者としての道のり、思想が解説されていきます。
読んでいて驚くほどわかりやすいです。初学者でも理解しやすいように書かれていることがとても伝わってきます。
そしてこの本ではなぜアーレントの思想が今を生きる私達にとって重要なのかということを丁寧に語ってくれます。
ここがはっきりしないとなかなか本を読む気にも、学ぼうという気持ちにはなりませんよね。
「なぜ」が明確になると読む意義がはっきりして、気持ちも変わってきますよね。こうした点もこの本のありがたい所です。
ハンナ・アーレントは有名ではありますが実際にその作品を手に取る機会が少ない思想家の代表例なのではないかと思います。
この本はそんなアーレントの思想を学ぶ入門書として非常にありがたい1冊です。
10 独ソ戦のおすすめ参考書18冊一覧
これまでナチスのホロコーストの参考書をご紹介しましたが、そのホロコーストの背景となった独ソ戦についてのおすすめ参考書もここでご紹介します。
ナチスのホロコーストを学ぶ上でソ連やスターリン、独ソ戦は避けては通れません。これらとの関係性の上でホロコーストは行われました。
とは言え、恥ずかしながら私自身スターリンを学ぶまで独ソ戦のことはほとんど知りませんでした。いや、そもそも第二次世界大戦におけるヨーロッパ戦線のことすらほとんどわかっていなかったのです。
第二次世界大戦というと、私は無意識に太平洋戦争を連想してしまいます。どうしても日本が戦った戦争ばかり頭に浮かんできます。アジアでの悲惨な戦闘や太平洋での玉砕、本土空襲や沖縄戦、そして原爆投下、ソ連の侵攻・・・
しかし「第二次世界大戦」という名の示す通り、この戦争は世界規模の戦争でした。そしてその主戦場はやはりヨーロッパだったのです。ですがそのことがあまり意識には上ってこない。スターリンやソ連史を学ぶ流れで独ソ戦を学んだ私は改めてそのことに驚きました。これほど巨大な戦争について知っているようでほとんど何も知らなかったという事実。
ヒトラーがポーランドに侵攻し、その後ホロコーストを行い、最後には連合軍に負けヒトラーが自殺して戦争が終結した。
中学高校の教科書ではこの歴史について詳しくは書かれません。私は高校の時に日本史を選択したので高校世界史の教科書でどこまで書かれているかはわかりませんが、少なくとも日本史の教科書では第二次世界大戦のヨーロッパ戦線についてはほとんど記述はありませんでした。
つまり、私のような日本史選択の人間には第二次世界大戦の詳しい流れを知る機会がなかなかないのです。知ろうと思えば自分で調べなければなりません。大学時代は勉強する時間があるかもしれませんが、社会人になってから改めて第二次世界大戦を学ぶとなると時間的にも体力的にもやはり厳しいですよね。
日本が戦った太平洋戦争については様々なドラマや映画、ドキュメンタリーが作られているのでメディアを通じて私たちはその流れをなんとなく知っています。
ですがこの「なんとなく知っている」というのが厄介で、これがあるが故に第二次世界大戦全体への関心が薄れてしまうのではないかと思います。もし日本が戦った太平洋戦争についてほとんど知らなかったのなら「あの戦争とは何だったのだろう」という関心が生まれてくるだろうからです。そしてその流れで第二次世界大戦全体の流れも知らざるをえなくなってきます。
ですが「なんとなく知っているが故に」、学びがそこで止まってしまうのです。ドラマや映画、ドキュメンタリーで見た太平洋戦争のイメージで止まってしまうということが起ってしまうのです。
被害者としての日本。玉砕し、原爆を投下された日本。戦争に苦しむ日本人。平和を奪われた生活・・・
私たちはどうしても自分達日本に感情移入してしまいます。日本側の目線に立ってしまいます。どんなに気を付けても日本に対して中立ではいられません。好悪何かしらの感情から逃れることができません。
だからこそ独ソ戦を学ぶ意義があるのです。
想像を絶するほどの規模の戦いとなった独ソ戦は戦争の本質をこれ以上ないほど私たちの目の前に突き付けます。そしてその戦争に対して第三者的な目線からその歴史を学ぶことができるのです。もちろん、完全に中立な眼で見ることは不可能です。しかし当事国であった日本の戦争よりもはるかに距離を保った視点で戦争を学ぶことができるのです。
なぜ戦争は起きたのか。戦争は人間をどう変えてしまうのか。虐殺はなぜ起こるのかということを学ぶのに独ソ戦は驚くべき示唆を与えてくれます。私自身、独ソ戦を学び非常に驚かされましたし、戦争に対する恐怖を感じました。これまで感じていた恐怖とはまた違った恐怖です。ドラマや映画、ドキュメンタリーで見た「被害者的な恐怖」ではなく、「戦争そのものへの恐怖」です。
戦争がいかに人間性を破壊するか。
いかにして加害者へと人間は変わっていくのか。
人々を戦争へと駆り立てていくシステムに組み込まれてしまえばもはや抗うことができないという恐怖。
平時の倫理観がまったく崩壊してしまう極限状態。
独ソ戦の凄まじい戦禍はそれらをまざまざと私たちに見せつけます。
もちろん太平洋戦争における人々の苦しみを軽視しているわけではありません。
ですが、あえて日本から離れた独ソ戦を学ぶことで戦争とは何かという問いをより客観的に学ぶことができます。
「戦争の本質とは何か」という問いを独ソ戦を通して学ぶことで何が生まれてくるのか。それは「日本における戦争とは何だったのか」、「今の日本はどういう状況なのか」という問いです。
日本が戦った太平洋戦争とは何だったのか。なぜ戦争は起こってしまったのか。戦争中日本は何をしたのか。
独ソ戦を学んでから改めて日本の戦争を考えてみるとこれまでとは違ったものが見えてくるのではないでしょうか。
というわけで前置きが長くなってしまいましたが、独ソ戦のおすすめ参考書を以下リストアップします。それぞれのリンク先でより詳しくお話ししていますので興味のある本があればぜひご参照ください。
1 大木毅『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』
独ソ戦の全体像が分かりやすく解説されたおすすめの入門書!
2 神野正史『世界史劇場 第二次世界大戦 熾烈なるヨーロッパ戦線』
WW2の流れを掴むのにおすすめな入門書
3 神野正史『世界史劇場 ナチスはこうして政権を奪取した』
ヒトラーの権力掌握の過程を知るのにおすすめな入門書
4 A・ナゴルスキ『モスクワ攻防戦ー20世紀を決した史上最大の戦闘』
独ソ戦をもっと知るならこの1冊!
5 M・ジョーンズ『レニングラード封鎖 飢餓と非情の都市1941-1944』
80万人以上の餓死者を出したサンクトペテルブルクの包囲戦
6 A・ビーヴァー『スターリングラード―運命の攻囲戦1942-1943』
独ソ戦最大級の市街戦を描いた戦争ノンフィクションの金字塔
7 A・ビーヴァー『ベルリン陥落 1945』
ソ連の逆襲と敗北するナチスドイツの姿を克明に描いた名著
8 アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』
独ソ戦を体験した女性達の声に聴く。日本で漫画化もされた名著
9 V・ザスラフスキー『カチンの森 ポーランド指導階級の抹殺』
ソ連が隠蔽したポーランド人大量虐殺事件とは
10 S・D・ゴールドマン『ノモンハン1939 第二次世界大戦の知られざる始点』
日本はなぜ悲惨な敗北を繰り返したのか。衝撃の名著!
11 A・ビーヴァー/L・ヴィノグラードヴァ『赤軍記者グロースマン 独ソ戦取材ノート1941-45』
ソ連のユダヤ人従軍記者が見た独ソ戦の現実とは
12 ワシーリー・グロスマン『人生と運命』
独ソ戦を生きた人々の運命を描いたロシア文学の傑作!
13 ワシーリー・グロスマン『万物は流転する』
スターリン死後も続くソ連抑圧時代の苦悩を描く傑作小説
14 キャサリン・メリデール『イワンの戦争 赤軍兵士の記録1939-45』
ソ連兵は何を信じ、なぜ戦い続けたのか?人間の闇に迫る名著
15 ティモシー・スナイダー『ブラッドランド ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』
独ソ戦の実態を知るのにおすすめの衝撃の一冊!
16 逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』
本屋大賞受賞のおすすめ小説!独ソ戦を戦う狙撃兵の少女を描いた話題作!
17 モンテフィオーリ『スターリン 赤い皇帝と廷臣たち』
ソ連の独裁者スターリンとは何者だったかを知るのにおすすめの参考書!
18 ローラン・ビネ『HHhH』
ナチス占領下プラハでのナチ高官暗殺作戦を描く傑作小説!
おわりに
ホロコーストは他人事ではありません。
アーレントが「悪の陳腐さ」という概念で表したように、一度歯車になってしまったら誰しもが加害者になりうるのです。当然、私も例外ではありません。ある特定の状況に置かれたら人は何にでもなりうるということをホロコースト、独ソ戦から私は強く感じたのでした。
悲惨な歴史をくり返さないためにも、なぜそれは起こってしまったのか、なぜ誰も止められなかったのかというメカニズムを学ぶことが重要です。
ただ単に「平和は大事」「殺人はよくない」で済む問題ではありません。そう思っていてもなお戦争をしてしまうのが人間の悲しい現実です。
だからこそそういう状況になる前に世の中の流れに気づき、その流れを止めなければなりません。
歴史を学ぶというのはそういうことだと私は思います。この記事がそのための一助になりましたら幸いです。
以上、「『夜と霧』などナチスのホロコーストのおすすめ解説本をご紹介」でした。
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