鬼時短:小柳はじめ
今回貪った本→https://amzn.asia/d/0cT3LuEj
電通で行われた労働環境改革(残業時間の削減)の内容を明らかにした本です。
超人的なハードワークを文化としている電通。若手女性社員の悲劇をきっかけに社内の時短改革に踏み切ります。
著者の小柳さんとは日蓮聖人降誕800年慶讃事業にてご縁がありました。当時を思い返すとコロナ渦において様々なことが制限される中、こちらの要望を最大限叶えてくださいました。
ということで、業種は違えどなにか一つでも吸収できたらということで手に取った次第。
さて、読了後まず思ったのは、阿部寛主演でドラマ化してほしい。。。笑
というのも、「池井戸潤原作ですか?」というぐらい書かれているノウハウの裏には凄まじい人間ドラマを感じたんです。
願わくば書籍だけに留まらず、映像化して多くの人に届いてほしい内容です。
読めば読むほどこれは「人生」(人間関係)のバイブルのように感じました。
人は一人では生きていけません。どんな形であれ組織で生きています。仕事をするうえで人間関係の裏の裏まで言及されている。
ご自身の電通時代の経験から裏打ちされた言葉には、強く説得力がありページをめくればめくるほど逞しい言葉たちが飛び込んできます。
そして、本書で言うところの「企業」を「教団」に置き換えてみると、個人的にしっくりきました。
仏教教団は一般の皆さんが思うよりも組織的です。特に日蓮宗の行政機関にいる自分にとっては頷かされる内容が多かった。
以下は本書で語られる「鬼時短」8つの鉄則です。
一つひとつ実体験を交えながら丁寧に解説がなされます。そして、この8つの鉄則の根底にあるのは「嘘偽りのない実直さ」ではないかなと感じました。
小柳さんがおっしゃるように現代は嘘が通用しません。どんなに巧妙に隠しても白日のもとにさらされ、瞬く間に拡散する時代です。
思えば鎌倉時代。混迷を極める世情において、ひたすら「正直でホワイトな私欲」をもって法華経をひろめた僧侶がいました。我々はその志を引き継ぐ教団・集団なんだと思いを改たにしました。
ビジネス書として、なにか一つでも血肉にできればと手に取った本書ですが、意図せず僧侶としての自覚も新たにしてくれた「鬼時短」。
業種関係なくおすすめです。
※ちなみに表紙にもある「鬼」の字ですが、さすが小柳さんという一芸が。
よくみていただくとわかりますが、鬼の字にツノがありません。これは鬼子母神の故事になぞらえています。
かつての悪鬼ぶりは捨て去って、しかし鬼気迫るパワーはそのままに善を追求するという新しい経営者の在り方を象徴しているそうです。