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天使の囀り:貴志祐介
今回貪った本→https://amzn.asia/d/7cVARyU
死恐怖症は、古来から、王侯貴族の心の病として知られている。毎日、生活のために数多くの問題と格闘しなくてはならない人間の心には、不確かな遠い将来に起きる死への恐怖など取り憑く余裕がない。欲しいものをすべて手に入れてしまった人間の虚脱感、心の隙こそが危険なのだ。
超久しぶりのホラー小説。
この手のものを読むときは、さんざん「こわい」描写をぶつけられた挙げ句、結局よくわからないまま終わるパターンは最も避けたい事態なので作品選びは慎重になる。
そして出会ったこの本。
読み始めるとまあ、、、抜け出せない。ぐんぐん引き込まれ一気読みしてしまいました。
後半につれ徐々にスリリングになる展開もさることながら、シンプルに文章が読みやすいです。不要なレトリックがなくノーストレスで、ゆっくり、しかし着実に世界観に引き込んできます。
主人公がホスピス医ということで要所に心理学が散りばめられ、人間の深層心理が説明される。加えて不可解な現象に対して神話要素が丁寧に絡められる。
この2つが説得力となり、「掴みどころのない恐怖」というよりは、「きちんと説明された理詰めの恐怖」みたいなものが迫ってきます。
「天使」がテーマのホラーということで、どんな感じになるのか全く予想がつきませんでしたが、久しぶりのホラー小説はあたりでした。
でも、読むのに疲れるジャンル。
しばらくはいいかな。