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小説のようなもの

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2022年11月の記事一覧

観覧車

観覧車

かんらんしゃ、ってさ可愛らしい名前のくせに漢字にすると和菓子の見た目みたいにダサいよな。

回るだけだもんな。

コーヒーカップもね。

コーヒーカップは、コーヒーがついてる時点であの匂いと大人っぽさが演出されるから良いんだよ。

その割にはファンシーさのカケラもないおこちゃまな見た目とハンドルを回してぐるぐるするというむしろ下品な感じだね。

コーヒーカップはコーヒーカップの中のコーヒ

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雨の日

雨の日

しとしと。
雨の割には曇りのようでいて、曇りのようでいて確かな雨足。

急に暗くなる一歩手前の夕方前。

母親が迎えにきたのか一緒に帰路につく小学校低学年の男の子がひとり。

1ピースだけ透明の黄色い傘に黄色いかっぱ。
足も黄色の長靴の徹底ぶり。

そんな親の心配を他所に棒付き飴玉を咥えながらルンルンと雨の中をズイズイと進む。

ちょっと親から離れて水たまりに飛び込む。

きっと楽しくな

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はにかみのつもりがニヤニヤ

はにかみのつもりがニヤニヤ

100m走。
屈伸しておいてコースに立つ。
これから始まるという高揚感や不安で固まった空気。
グラウンドの白線の間に立っているだけなのに、クラスメイトの歓声から分離しているような空気。
意識が既に走り終わっている。

パンッ!

ゾワゾワと血流が急なゲリラ豪雨で増水した河川のようにゴウゴウと音を立てて、一歩目の地面の感触と体に跳ね返る衝撃を煙と共に世界から切り取る。

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ジェットコースター

カタカタカタカタカタカタカタ。

「見て!今のコユキちゃんの顔みたいな雪化粧した富士山だよ!」

「ありがとう。褒め言葉として受け取るね。真っ青な空みたいな顔だと訂正したい気分だよ」

「空もキレイだね〜コユキちゃんの心みたいに澄んでるね!」

「ありがとう。真っ白で空っぽになりたい気分だよ。富士山になりたい。」

「富士山になったらどんな気分だろうね?寒いとか思うのかな」

「どうだろう。きっと

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煙たい

煙たい

あと10分くらいで職場に戻る。
荷物を置いて、まずは一服。

煙は肺の中を踊り、頭の中でも踊る。
張り付いた顔で煙に浸る。

気だるげに片足に体重をかける。
腰ではなく、胸に片手を組んで、そこに右手の肘を乗っけて一緒にタバコを支えてやる。

タバコの癖に重い。
座りたいと思いながら壁に背中を預ける。
崩れ落ちたいのだけれど僅かの理性を使って我慢する。

何回タバコを弾いただろうか。
どう

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いや、別に。特には。

ソファの皮が擦れる音。
疲れていることを思い出した。
0時から傾いている針に気づくと瞬く間に全身で明日のことを気にし始めてそわそわする。

役員会でプレゼンをするとか、そんな大それたことはない。
むしろ、今日したことを同じようにするだけだ。
何も気にすることはない。

走り去る車が間をつくる。
どうやら眠いようなので横になる。
暖色を発する天井は、横になる私の心を目覚めさせる。

デートを週末にひ

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勇敢

あの人すごい。
自分の鞄置き去りにして。

私の夕刊に載ったな、これ。
ナイスガイ。
何も轢かれた猫ちゃんのことばっか新聞に載せなくてもいいじゃんか。
つまらん人ばっかり。
哀れんで、憐れんで、哀れな人ばっか。
哀れだわ。
私まで哀れみたいだ。
みんな、哀れが好きなんだ。
あわれ。あれれ。あられ。あるら。あぶらかたぶらじゃー。

私はもしかして、少し勇敢なんじゃなかろうか。
あわれなあれれな人たち

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