雨の日
しとしと。
雨の割には曇りのようでいて、曇りのようでいて確かな雨足。
急に暗くなる一歩手前の夕方前。
母親が迎えにきたのか一緒に帰路につく小学校低学年の男の子がひとり。
1ピースだけ透明の黄色い傘に黄色いかっぱ。
足も黄色の長靴の徹底ぶり。
そんな親の心配を他所に棒付き飴玉を咥えながらルンルンと雨の中をズイズイと進む。
ちょっと親から離れて水たまりに飛び込む。
きっと楽しくなって叫んだのだろう。
勢い余って飴が落ちた。
1秒くらい飴を見つめて泣きそうな顔をする。
飴は雨の中に沈んだ。
彼の心の中に、ようやく雨が染み込んできたようだ。
微笑ましい。
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