過酷な日々を過ごした地に舞い戻って人生を見つめ直す@ホーチミン
私はベトナムホーチミンに数えきれないほど旅行に行っている。ホーチミンの香り、エネルギー、食べ物、そして人、全てが大好きだから。
ただ、裏目的が明確にあって、"ベトナムでもがいていた自分"を追体験するためでもある。何を追体験しにいくのか?
ホーチミンで得た、いちいち衝撃的な感情を取り戻し、自分を錆びさせず自分の人生を振り返り改めて成長のきっかけをつくるためだ。
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2018年4月1日。ちょうどほぼ6年前。
ハタチのときにベトナムの広告営業&ライターのインターンをすることを決意し、ホーチミンに降り立った。家族とたくさんの友人後輩が羽田空港まで見送りに来てくれたこと、出国ロビーで親に最後まで手を振り続けたときのなんとも言えない心細さを忘れられない。
心細くもマレーシア経由でホーチミン入り。
会社に用意してもらった貸家の一室は綺麗だったけど初日からヤモリの死骸が落ちてて、シャワーは水。自分のでっかい鞄で階段沿いにあったツボを割った初日。
いきなり記事の和訳や執筆をするも、グダグダで同い年の3日くらい入社が先輩の子に厳しく文章を直される。
ちょっとしてから営業のえの字も知らないけどとりあえず営業もスタート。トリップアドバイザーで片っ端からお店を調べてリスト化、カタコトの英語でいきなりテレアポ1日40件、アポ訪問は5件。自分で電話をかけ続け、アポを取らないと行くあてもない。その辺歩き回って片っ端から名刺を配る飛び込み営業もした。
営業資料もなければ費用対効果なんてことも知らないから提示するということさえ眼中になく、とにかく商材の説明。上司のアポに同席して盗んだ英語の言い回しをとにかくパクったが今度は長く喋り過ぎて相手の課題を知ることもしない。そもそも相手に課題を聞くとは何か。そんなことも何にもわからないハタチ。
雨季のスコールの中バイクに乗って土砂降りのまま訪問。土曜日の夜に記事の執筆をしてたら営業先から電話かかって疲れてきたけど、この1件を逃して契約のチャンスを捨てることになるならと思い、シャワーももう浴びたのにまたバイクで30分のところまで訪問。でも行っても全然商談できなかった。
飲食店を営業した際には、美味しいピザは振る舞っておしゃべりしてくれるけど一向に契約の返事はない。いいね!とめっちゃ褒めてくれるけど急に音沙汰がなくなる。I will not work with you anymore.とショートメッセージを送りつけられ音信不通になったことも。とにかく振られまくった。懇意にしてくださった大人の方に、私はどうしたらいいのでしょう?と泣きそうになりながら相談したこともあった。上司には、私に魅力がないから契約が取れないと言われた。
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マジで過酷だったけど、一方どこかでこれを求めていた自分がいて、後でネタにできるし、泥臭くこんなにカオスな中どうにかしようとしているのもどこかで楽しんでもいた。卓上カレンダーに帰国日から逆算して残りの日にちのカウントダウンを全部書いていって、どんどん減っていく残り日数を見ては焦りながら目標達成に向かうのも、ここまで真剣な毎日を送ることへの充実感もあった。
結局、今の自分の原点なんだ。今、社会人として仕事にフルコミットして成果は道半ばだが成長しつづけいつ死んでも後悔ない人生を送れている。ベトナムで得た、死にそうになりなるほどもがくことや、それだけコミットして道を切り拓くことへの憧れの気持ち。遠慮なく毎日自分はダメだとつきつけられること。感情剥き出しで"圧倒的行動量""フルコミット"の尊さを教えてくれたのはベトナムのホーチミンという地だ。たくさんのベトナム人、そしてベトナム人に限らずいろんな国籍の経営者に会って受け取ったエネルギーと行動力とビジネスへの想い。
こういうのに触れて、自分の今後の人生にフレッシュでパワフルなエネルギーを入れ直したくて、当時訪れた場所や働いていたオフィスビルを見に行っては色々おもいだすようにしている。
自分の人生における衝撃であり、定期的にこの地に戻ってホーチミンの香りとエネルギーに触れてあの時の衝撃的な日々の記憶と感覚を取り戻したくなるんだ。
私は"大人"になりたくない。"大人"になって感情をコントロールし、ちょっとのことは仕方ないと思えること。コントロールできることできないことの分別をつけてうまく生きること。私はそんなうまくできない。
それでも少しずつ大人にはなっている。その中でどこかで限界を決めてしまう自分も出てくるし、心がサビついてしまうときもある。いちいちビビって何にもできなくなることもある。
本当の"大人"はもっとうまくやれるのかもしれないけど私は"大人"になればなるほど、いろんなものをなくしてしまう気がして。
だから、定期的にホーチミンに戻ってハタチの自分の感情を取り戻したい。
ハタチの自分に対して今の自分がGood&Moreを振り返りフィードバックをして成長したことと根底変わらないこと、そしてまだまだできていない伸びしろを見つめ直す。
ホーチミンのあの空気と音の中でリアルに思い返すことで、感情も全部取り戻せる。
その地がホーチミンだから、私は何度でも行ってしまう。心のメンテナンスと心への給油のために。
わたしだけのホーチミンの思い出、だいぶ特殊だけど、異国の地で過ごしたこと、挑戦してみたこと、やっぱり人生においてとても尊いし、その地で過ごしたことを振り返る意味は本当に大きい。別の地でもそうだったかもしれないけど、人生に"if"はないから、この人生におけるあの地での日々は一生の宝だ。