【創作短編】megumo #1
おれの臍に巣くった《蜘蛛》が、女の指のような生白い、脚をひろげて、しがみついた腹からおれを、見上げてくる……
<壱>
はじめは全然何も気づかなかった。よっていつが「はじまり」であったのかをおれは知らない。徐々に、臍が内部から盛り上がってくるような気が、しだしてからでさえ、――自分の臍を毎日くわしく点検する習慣なんておれには無かったし、何より、わかりやすい異常感、痛みとか、痒みとか、熱とかいったようなものを、一向身体に感じなかったので、ちらと目に留めても、おや、ダニにで