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瞑想の技法:呼吸 (Breathing)

今回は瞑想の基礎知識とともに、瞑想の実践的な方法を解説していきます。これまでは主に瞑想を行うとどんな良いことがあるか”という点を中心に解説してきましたが、実際のやり方に注目していきます。瞑想を行うにあたって、最も基本的なことはまず“呼吸 (Breathing)”です。呼吸を整えていく方法から始めていきましょう。

・鼻から吸って、口から吐き出す

 基本的なことですが、このように呼吸を繰り返していきます (Figure 1)。鼻から息を吸うメリットはまず脳へ酸素を送りやすくなることが挙げられます (*1)。 そして、もう一つは鼻から外気を吸うことで脳をクールダウンする効果があります (*2)。

ただし、流派によっては「鼻から吸って鼻から出す」「口から吸って口から出す」などいろいろあるかもしれません。その場合は「自分の慣れた方法で」呼吸しましょう。

・ゆっくり吸ってゆっくり吐く

吸気のときは3〜5秒以上かけてゆっくりと吸い、呼気のときもそれより長い時間をかけてゆっくりと吐き出しましょう。これは目安に過ぎませんが、1分あたり4〜8回の呼吸数がちょうど良いと思われます。呼吸が早い人はゆっくりと呼吸することに慣れていきましょう。

・プラーナ (Prana) を呼吸する

せっかくなのでただ単に空気を吸ったり吐いたりするだけではなく、周囲に無限に存在するエネルギープラーナ (Prana)”を吸っていきましょう。

プラーナはもともとサンスクリット語に由来し、“生命エネルギーを司るもの”を指す言葉で“氣 (Chi, ki)”の一種であるとも考えられています。そして氣と同様に身体を活力的/健康的に保つ重要なエネルギーまたは生命力であるとされています (*3)。ポリネシア語ではマナ (mana)、ヘブライ語では「生命の息吹」を意味するルア/ルアック (Ruah/Ruach, רוח)と呼ばれています。ある程度指導と訓練を受けた人なら誰でも感じることができます。プラーナは次の3つの分類があると考えられています:太陽プラーナ (Solar Prana)、空気プラーナ (Air Prana)、地表プラーナ (Ground Prana) (*3)。詳しい話はここでは省略しますが、我々の周りに常に存在しているエア・プラーナを吸い込むように意識してください。

・プラーナの感じ方

プラーナはそこら中に存在しています。プラーナを感じる方法は“プラーナを意識する”ことで感じられます。“プラーナはある”と意図すれば特別なヒーラーや特別なサイキック(超能力者)でなくとも誰でも感じることができます。

・プラーナを一般人に知覚させた研究

2015年にはインドの大学の研究で老若男女811人(10歳〜66歳、平均年齢24歳)を集め、“両手の間でプラーナを感じる”、“空気プラーナを吸ってみる”という実験研究を行いました (*4)。

Figure 2は“両手の間にプラーナを感じてどう思ったか”というアンケート結果です。その結果は99%の人が“両手の間にプラーナを感じた”と回答、さらにそのうち61%の人が“心地よい (Nice Feeling)”と回答しています (Figure 2)。

また前と比較して“リラックスした/平和な気持ちになった”と回答した人が26.7%増加し、“自分のオーラ (aura) などを知覚した”という人が28.6%いたという結果が得られました。


Figure 3は“空気中のプラーナを吸ってどう感じたか”
というアンケート結果です。先程と同様に“プラーナを吸ってリラックスした”と感じた人が61.7%、“幸せ (Happy) な気分になった”という人が62.3%、“集中力が増した”という人が20.5%、という結果になりました。

このように簡単な説明と実践でプラーナを感じたり見たり呼吸したりすることが可能です。空気のようにどこにでも必ず存在するので、“プラーナを意図して吸い込む”ということを行っていきましょう。


・舌のポジション (タン・ロック)

舌は(可能なら)上顎の天井に先端をつけて固定します (Figure 4)。タン・ロック (tongue lock) とも呼ばれる呼吸法です。これはヨーガのNABHO MUDRA (ナボ・ムードラ) と呼ばれる技法から来ています (*5)。もっと進んだポジションもありますが、このポジションを維持できれば十分です。

目的は副交感神経を活性化し“落ち着き/リラックス”効果をもたらします。同様に脳、肺、心臓、内分泌系に影響し、血圧を下げて脈を遅くし、代謝を活発にする効果があります。また、舌をロックすると同時に眉間に意識を集中するとサードアイ(心眼)を活性化するとされています。

タン・ロック呼吸は慣れるのに時間を要する場合があるので、気が散るようなら通常のポジションで呼吸し、慣れたらタン・ロック呼吸に移行していきましょう。



・瞑想の呼吸法の実践


まずはリラックスできる姿勢で座ります。

リラックスできる服装で、必要に応じてシート/クッション/毛布などを使用します。


目を閉じてゆっくりと呼吸していきます。

可能なら舌をタン・ロックのポジションで呼吸します。

「1、、、2、、、3、、、4、、、」と吸ったら

「5、、、6、、、7、、、8、、、(9、、、10、、、)」と吐いていきます。

自分のペースで呼吸することが大事です。

ゆっくりと一定のペースで呼吸を繰り返します。

呼吸が安定してリラックスするまで続けます。


次は、プラーナを可視化します。

あなたの周囲には金色に輝くプラーナが存在しています。

あなたがどこにいても空気があるようにプラーナが存在しています。

周囲に漂うプラーナを感じて可視化します。

自分が常にプラーナに囲まれてプラーナの中にいることを認識します。

そしてプラーナを鼻から吸っていきます。


自分の体の中にプラーナをどんどん吸い込んでいきます。

新鮮なプラーナを鼻や頭頂や全身から体に取り入れます。

そして古いエネルギーを口から吐き出していきます。

体の中をプラーナで満たしていきます。

体の隅々までプラーナを行き渡らせます。

手の指先までエネルギーが浸透していくのを感じます。

手のひらを上に向けてエネルギーを感じます。

両方の手のひらからプラーナや氣やエネルギーが出入りするのを感じます。

頭の中で可視化 (Visualization) できる人はエネルギーやプラーナを可視化します。

続けて光の粒子が鼻や全身から入ってくる様子を可視化し続けます。

リラックスしながら瞑想の脳波(アルファ波/シータ波)を保ちます

プラーナが自分の身体を満たしていく様子を想像します。

プラーナで満たされた自分の体が光り始めるのを想像します。



ゆっくりとした呼吸を続けます。

周囲にあるプラーナを意識し続けます。

呼吸のたびに新鮮なプラーナが入ってくるのを可視化し続けます。

全身にプラーナが満ちている状態を想像します。

プラーナを吸い、プラーナを吐き出すほど全身に満ちているのを想像します。

全身から強い光が放たれていることを想像します。

全身が新鮮なプラーナで完全に満たされた状態を可視化します。


日常とは異なる自分自身の姿が光で満たされた状態を想像します。

雑念が入ったらまたそれを吐き出して光の粒子を取り込みます。

常にプラーナを取り入れ、プラーナを吐き出す呼吸を維持し続けます。

他のことは考えず、体の隅々まで光が行き渡ることを想像します。

10分〜15分間、この呼吸を続けます。

もっと続けられる人は30分間、この呼吸を続けます。

もっと頑張れる人は1時間、この状態を維持します。

さらに高みを目指す人は2時間以上、チャレンジしてもいいでしょう。

自分にとってちょうど良い時間だと思ったらゆっくりと姿勢を崩します。

そしてゆっくりと目を開けて自分の体の感覚を確かめます。

通常は呼吸を整えて次のステップへと進んでいきますが、今回は呼吸法だけの瞑想です。

やってみた人は終わった後でよく水分と休息をとるようにしてください。

慣れてない人はいつでも寝て大丈夫な環境で始めるのが良いでしょう。

今回の瞑想の技法は呼吸法なので基本中の基本の技法になります。

上の研究に示されているようにプラーナは簡単な説明で誰でも感じることができるようになります。ぜひ何回もやってプラーナの感覚を研ぎ澄ませてください。

そして、ただのプラーナ呼吸でも熟練するとかなり良い瞑想効果が得られます。

もちろん、これまで紹介した免疫力向上効果や抗炎症効果も得られます(*6, *7)。

瞑想の基本ステップとして今回の呼吸法を参考にしてみてください。

(著者:野宮琢磨)2025.2.23

野宮琢磨 医学博士, 瞑想・形而上学ガイド
Takuma Nomiya, MD, PhD, Meditation/Metaphysics Guide
臨床医として20年以上様々な疾患と患者に接し、身体的問題と同時に精神的問題にも取り組む。基礎研究と臨床研究で数々の英文研究論文を執筆。業績は海外でも評価され、自身が学術論文を執筆するだけではなく、海外の医学学術雑誌から研究論文の査読の依頼も引き受けている。エビデンス偏重主義にならないよう、未開拓の研究分野にも注目。医療の未来を探り続けている。


引用/参考文献

*1. Bayrak Ö, Polastri M, Pehlivan E. (2025). Effects of Nasal and Oral Breathing on Respiratory Muscle and Brain Function: A Review. Thoracic research and practice.
*2. Gallup AC, Gallup JrGG. (2007). Yawning as a brain cooling mechanism: nasal breathing and forehead cooling diminish the incidence of contagious yawning. Evolutionary Psychology, 5(1), 147470490700500109.
*3. Manasa B, Jois SN, Prasad KN. (2020). Prana–the vital energy in different cultures: Review on knowledge and practice. Journal of Natural Remedies, 128-139.
*4. Jois SN, Aithal R, D'Souza L, Gayatri R. (2015). The perception of prana and its effect on psychological well being. Journal of Research: The Bede Athenaeum, 6(1), 210-215.
*5. Sunitha S, Chandra PS. (2021). Mudra therapy and its classification. International Journal of Health Sciences and Research (IJHSR), 11(1), 118-126.
*6. 瞑想と星の力で抗炎症作用と免疫力アップ. https://note.com/newlifemagazine/n/n39e238816738 
*7. 瞑想と氣功で炎症誘発物質NF-κBを抑えようhttps://note.com/newlifemagazine/n/nd5bbded4efa7 

画像引用
*a. https://en.wiktionary.org/wiki/nasopharynx#/media/File:Pharynx_diagram-fr.svg
*b. https://en.wikipedia.org/wiki/Khecarī_mudrā
*c. Image by jcomp. https://www.freepik.com/free-photo/that-woman-sat-bed-raised-her-hand-put-laptop-pillow_8351733.htm
*d. https://firefly.adobe.com
*e. https://www.bing.com/images/create?

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