ダモクレスの剣気分を味わえる居酒屋
先日、カウンターで飲んでいたら、目の前にハサミがあり、切っ先が私を狙っていました。
その横ではスタッフさんが客に出す料理の盛り付けをしています。
おそらく彼がハサミをそこに置いたのでしょう。
たまたま私に照準を合わせるかのような位置に。
もし、わざとその場所を選んだのだとしたら。
故意に私へ刃を向けたのだとしたら。
ほろ酔いの私は、そんな妄想を楽しんで……ふっと酔いが醒めました。
「ダモクレスの剣」を思い出したからです。
ハサミは、馬の毛で頭上に吊るされていたわけではありませんが、スタッフさんが取ろうとして手を滑らせたら、かなりの確率で私へと飛んでくるでしょう。
「今、おまえは好きなものを飲み食いできる幸運に浸っているが、つねに危険が付きまとっていることを忘れるな」
そんな、天からの声も聞こえてきました。
酒量が増えがちな師走。
酒席という王座に居続けるのはリスキーなことです。
先ほどの声は肝臓の神様からのものだったのかも。
仕事帰りにはダモクレスの剣を思い出し、
飲みの席には目もくれずの日を増やします。