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『ユートロニカのこちら側』

やふぅー٩( 'ω' )و
今回は、読んだ本の感想を書きます。


小川哲著 『ユートロニカのこちら側』 (早川書房 、2017)


本書5ページに記載されている「ロボット工学の三原則」。
以前聞いたような気がするのは、去年鑑賞した映画「M3GAN(ミーガン)」(AI人形ホラー映画)だったかな。

オマージュなのだろうか。
本書、ストーリー内の様々な箇所で、漫画や映画、小説を思い出した。



あらすじ

マイン社の提供する、特別携帯地区「アガスティアリゾート」。
働かなくて良い、治安の良い理想を描いたような都市。
審査があり、地区に移住することが出来るのは選ばれた者だけである。

豊かな生活の保証の代わりに居住者が提供するのは、彼らの見聞きした情報(個人情報)である。
豊かな保証を求めた居住地に住む者の、様々な思いが交錯する連続短編小説だ。


感想

理想社会は、本当に誰にとっても理想なのか。
西洋哲学的な考え方や、それに沿ったような、現代の生き方や考え方に対しての問いのようなストーリーだと思った。

理想の世界(≒誰かの思想の押し付け)なんかぶち壊せ!!的なノリさえ感じた。
ぶち壊せ!!感が強いのは、個人的に第4、5章。
第4章では、親子3代で我が強いし、ぶち壊そうとした結果のユートピア。
第5章では、「アガスティアリゾート」で起きるはずもない事件を、起こそうとする理想世界に絶望した人々が描かれている。

小川さんの本を読むのは、これが3冊目。
3冊目にして、小川さんのデビュー作を読んだ。

作品を全作読んだわけではないし、私の読書量が膨大でもなく、専門家なわけでもない。
ただ、小川さんの本に出てくる登場人物は、非常に自我が強いと思う。
3冊に共通して、「自分は」が強い(エゴイズム)主人公が多い印象。

3冊とも違う話だが、3冊に共通していることがある。
そして、私は多分それが苦手だ。
実際にこんな人がいたら……と思うのに、なぜだか小川さんの作品を読みたいと思ってしまう。
嫌だと思うことに意図的に近づこうとする、私の訳のわからない心理が働く。

面白い。
けれども、面白くないとも思う。

世界観が面白いし、考え方も面白い。
面白くて、同時に何かがひっかかるクセの強い作品。


おすすめです。

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