nemui

ただの書き散らかし。

nemui

ただの書き散らかし。

最近の記事

こどもがうまれた

たかだか50cmのからだながら、いっちょ前にヒトである。そのちいさいなからだは、端々に私の知っている誰かの面影を宿している。 不思議なもので、この爆発的な生命力の塊を眺めていると死のイメージが頭をよぎる。この子宿す面影の多くがもうこの世にいない人のそれだからだろう。 私が彼らから受け継いだ血を、引き継いだ命。 もちろん私もこの子もいずれ息を止めるけれど、 それまでの重なり合う刹那の時間を、これ以上ないくらいに慈しもうと思う。

    • 睡眠と私。ナルコレプシーという病のこと ~vol.5 受診②覚醒

      前回まで 睡眠に関わるトラブルの発生要因は様々なので、もし悩んでおられる方はたとえ遠くても総合的に判断できる専門医にかかってほしい。 私が訪ねたのはここ。 10年前のことなので記憶も朧だが、1泊2日の検査入院を3万円位で受けた。検査は2つで、①夜寝るときにヘルメットのようなセンサーを付け、どんな脳波?が出ているか、消灯から何分で入眠するか ②日中静かな部屋に横になった場合何分で入眠するか を計測した。 センサーのコードがどれだけ邪魔だろうが、ヘルメットが煩わしかろうが

      • 気がつけば鼻を擦っている。 鼻の穴の、  鼻先に 向かって三角になるその 先端あたりが いつも痒い。 美容室でシャンプー台に上がるとき 歯医者で大きく口に器具を突っ込まれ 鼻呼吸が唯一の生命線のとき、 鼻先が痒くて痒くて気になって、どうしてもモゾモゾと手を伸ばして鼻先を引っ掻かずにはいられない。 夫は私のその癖がとても気になるようで そんところが痒いわけがない、カッコ悪いから掻くな!と私の右手を抑えようとするが 抑えられれば抑えられるほど痒みは無意識の弱いもの

        • 睡眠と私。ナルコレプシーという病のこと ~vol.4 受診①with上司への感謝~

          ここまで、発症の経緯や悪化の様子、症状について書いてきた。 15歳からこの突発性に訪れる眠りと共存してきたわけだが、さすがのおおざっぱな私もこの状況には疑問を持ち、18歳の頃に病院を訪ねた。 その病院では簡単な問診ののちに「あなたここまで一人でこれたのでしょう?では病気ではありませんよ」という診断が下された。絶望だった。病気と言ってほしかった。病気じゃないなら、私ただのなまけものじゃないか…そうか、やっぱりなまけものなのか…仕方がない、なまけものとして生きていくしかないん

          睡眠と私。ナルコレプシーという病のこと ~vol.3 症状~

          ナルコレプシーがどんな病気か、どのくらいの方がご存知だろうか。 NPO「なるこ会」がよくまとめてくれている。 端的に言うと、「眠い。てか寝てる。あと足とか膝とかガクガクしたり、たまにおばけとか見たりもする」ってかんじ。 私の場合も問題だったのはもちろん急に寝てしまうことで、テスト用紙はよだれまみれ、気づけば山手線一周、自転車に乗ったまま壁に激突、などなどエピソードは枚挙に暇がない。 加えて、感情が高ぶったときに体の力が抜けてしまうというのも結構危ない。階段を下りている

          睡眠と私。ナルコレプシーという病のこと ~vol.3 症状~

          睡眠と私。ナルコレプシーという病のこと ~vol.2 悪化~

          親元を離れ初めての一人暮らし。 とりあえず布団とカーテンとCDコンポだけで迎えた最初の夜は、ホームシックで辛くて悲しくてぜんぜん眠れな、、、、くなんかなかった。 いつでもどこでもどんな状況でも目を閉じるや否や眠れるのは、寂しいとき悲しいときにはとりわけ便利だ。 しかし寂しかったのなんて本当に最初だけ。それなりに厳しい親の目と、無駄に校則と規律の厳しい高校生活から解き放たれた私は、連日連夜安酒を重ね、いつの間にかピアスが8個あき、髪にはメッシュが入り、全力で自由を満喫し始めた

          睡眠と私。ナルコレプシーという病のこと ~vol.2 悪化~

          睡眠と私。ナルコレプシーという病のこと ~vol.1 発症~

          はじまりは高校1年生の時。 家から電車で1時間かかる高校に通っていた私は、授業が起きていられないのは早起きのせいだと思っていた。朝6:32発の電車に乗らないと、0時限(1元の前に特別授業が毎日ある)に間に合わない。進学クラスは夕方の補講もあって、家に着くのは毎日9時を過ぎている。そりゃ眠いよね、と。 しかしとにかく、吐くほど眠い。というか気づけば寝ている。眠気を限界まで我慢すると頭痛と吐き気がしてくる。名前を呼ばれて慌てて我に返る。スパルタで有名な英語の直美先生がこっちを

          睡眠と私。ナルコレプシーという病のこと ~vol.1 発症~

          明智光秀を雑に語る

          ※下記文章は、全く専門家ではない私が文献も再確認せず雑~に書いてます。悪しからず!※ 明智光秀という人の名前を知ったのは、三浦綾子『細川ガラシャ夫人』だった。 敵も息を飲むほどの絶世の美女でキリシタンという時点で既に相当のキャラなのだが、さらに明智光秀の娘とくれば、その濃さは淀君級。(比較がこれで正しいかは自信がない) 一般には、裏切り者の象徴として超有名なのは父・光秀であり、娘・ガラシャのことはそれほど知られていないように思う。私は変なこどもだったので、本能寺の変を知

          明智光秀を雑に語る

          コンプレックスとグローバル

          今度はニュージーランドの話。 大学2年生の時、思い立ってバイトを3つ掛け持ちして貯めた20万円で、こんどは一人で2週間ニュージーランドに行った。なぜ行こうと思ったか動機は思い出せない。でも行ってよかった。価値観が変わった。 私はとても地味な顔をしている。ブスというほどではない(と思う)が、私が大学生だった2000年代前半は浜崎あゆみがそのでかい目をひんむいて映るポスターが街中に溢れており、私もなんとか目を大きくしたくて四苦八苦していた。中学高校ではアイプチでいつも瞼をかぶ

          コンプレックスとグローバル

          無知と偏見とグローバル

          オーストラリアで、ミャンマー人家庭にホームステイ。 それが私の最初の海外体験だ。 当時私が暮らしていた町ではシドニーと文化交流事業を行っており、毎年中学生を10人程度送っていた。親の負担は確か10万円だったとおもう。その他の渡航費滞在費を町が用意してくれるばかりか、出発まで毎週公民館にALTの先生が来てくれての英語の強化授業、現地の歓迎会で披露するための盆踊り(!)やオーストラリア国歌・愛国歌の練習などなど準備は万端、期待に胸を膨らませて夏の日本から寒いオーストラリアに飛

          無知と偏見とグローバル

          カワイさん(仮名)のこと

          カワイさんと初めて会ったのは4月だった。 上京したばかりのもっさりした田舎者、チャラい癖に人見知りの内部進学組、あるいは異性となると一言も喋らず口ごもる中高一貫男子校/女子高出身者、ハイパーコミュ障ばかりのそのクラスの中で、彼女はそのどのグループにも属さない人だった。 色白の小さな顔、細長くすっと伸びた手足にセンスの良い服を纏った彼女はとても都会的に見えた。こんな人と友だちになれるんだろうか。東京ってすごい!18歳のわたしはドキドキしながら、カワイさんの隣に座った。 本

          カワイさん(仮名)のこと

          フェミニズムと不妊治療と。

          6年ほど不妊治療をしていた。ごく正確に言えばまだ私と彼の分身のたまごは遠くの病院の冷凍室で私が迎えに来てくれるのを待っているわけだが、自分の中ではもう、あの治療の日々のことは過去形になりつつある。 というか、離れたい。あの世界から。見たくなかったあの世界から。 不妊治療というのはご存知の方もいるかもしれないが、ものすごくお金がかかる。保険が適用されないので国の目が光らない自由診療のため、あちこちの病院が「うちがいちばん!」と主張しお互いをディスりあうカオス状態、実際問題ど

          フェミニズムと不妊治療と。

          目黒通りをベスパで。人生の満足について。

          私たち夫婦は車を持っていない。都内暮らしには贅沢品だ。駐車場だってこのあたりでは月に4万円もする。 だから車が買えない代わりに、もう何人持ち主が変わったかも怪しい中古のベスパに乗っている。しょっちゅうエンストするし燃費は悪い。でもかわいい。とてもかわいい黒いベスパ。 私は免許をもっていないから、バイクに乗るときはいつも夫の背中に掴まってその体温に浸ったり、風で聞こえにくいのに話しかけてくる彼の耳元に口を近づけてえっ聞こえないよと言ってみたりするのだがそれはなんだかとても愛

          目黒通りをベスパで。人生の満足について。

          「鬼滅の刃」の熱狂の渦におもうこと

          出版業界にちょっとだけ関わる仕事をしている。 不景気にあえぐ出版業界にとって、鬼滅の刃は久しぶりの、本当に久しぶりの彗星のごとき存在だ。深夜枠から始まったアニメの大ヒットが原作にも還元され、瞬く間にこの20年ほぼ不動だった首位ONE PIECE抜き去った。コロナ禍による紙書店の閉鎖と人気のための欠品が重なったから、各電子書籍ストアは大々的にプロモーションを展開し今すぐ読みたいユーザーを囲いこんだ。さらにその人気絶頂での連載終了宣言は、業界関係者の「売れるときに売りまくれ魂」

          「鬼滅の刃」の熱狂の渦におもうこと

          無駄にハードル上げるのってばかみたいだよねって話

          最近立て続けに「えっそんなことでよかったの?」ということがいくつかあった。Aについてプレゼンしなさい、という議題に対して、私はAを踏まえたA´を用意してしまっているらしい。A’はその先でよかったのに。そしてA’はやっぱり難しいから、パッと用意できないことに焦ったりなんかしてた。違う、Aでよかったのに。 私はもしかして、勝手にA´を用意しようとして取り組んでは勝手に自信をなくして、Aを準備すればよかった機会をずいぶん逃してきたのではなかったか。(それはつまりバカだということな

          無駄にハードル上げるのってばかみたいだよねって話