睡眠と私。ナルコレプシーという病のこと ~vol.2 悪化~
親元を離れ初めての一人暮らし。
とりあえず布団とカーテンとCDコンポだけで迎えた最初の夜は、ホームシックで辛くて悲しくてぜんぜん眠れな、、、、くなんかなかった。
いつでもどこでもどんな状況でも目を閉じるや否や眠れるのは、寂しいとき悲しいときにはとりわけ便利だ。
しかし寂しかったのなんて本当に最初だけ。それなりに厳しい親の目と、無駄に校則と規律の厳しい高校生活から解き放たれた私は、連日連夜安酒を重ね、いつの間にかピアスが8個あき、髪にはメッシュが入り、全力で自由を満喫し始めた。
若さと時間を持て余した愚か者たちは、やれ朝までカラオケだの、ファミレスで朝まで語るだのという信じられない暴挙に出がちである。
この生活リズムの乱れがおそらく、睡眠障害を加速させた。(当時は病気だなんて思っていなかったし、眠いのは個性だと受け入れていたから、そこまで深刻に考えていなかった。アホか)
次第に「ああ、あの寝る人ね」というキャラクターが完全に定着し、寝る人として人に頼りながらなんとか学生生活をそれなりに順調に送っていた。
思い返せば
・1限目出席して気づけば5限(複数回)
・自転車漕いだまま寝落ちして壁に激突(複数回)
・いい感じになっていた男の子を呼びだしたまま寝落ち、夜中にドアの外で待たせたまま連絡付かずに破局(複数回)
・新卒採用面接、グループ面接中に寝落ち(複数回)
と、ほぼ事故だらけ。こんな私と仲良くしてくれた人たち、懐深くて驚く。
とはいえ授業はとてもついていけたものではない。ぶっちゃけ高校までは学年トップだったし勉強ができなくて苦しかったことなんてなかったけれど、いざ大学に入れば難関と呼ばれる試験を突破した人たちばかり。彼らの水準に合わせて展開される法律講義を、寝たまま理解できるはずなどない。かえすがえすもよく卒業できたものだ。
4年生の最後まで、1年で取るべき必修科目の単位が複数残っていたので卒業できるかどうか本当にギリギリ。今でも単位発表の瞬間の夢を見てハッとして起きる。絶対に教授たちのお情けで通してもらったのだと思う。
入学した時には法科大学院に行って弁護士になるのも良いなァなんて思っていたけど、数百万かけて通わせてもらった大学を寝て過ごしてしまったのに、また数百万かけて大学院に寝に行くわけにはいかなかった。
学生時代のアルバイトも、事務系は全部アウト。大切な書類にヨダレ落としてしまったこともあるし、PC入力は画面全部に文字連打…みたいなことになるので、とにかく寝なくて済みそうな仕事を探す必要があった。
そして私は、営業職を選び就職活動を行って、何とか寝ながらもとある大手証券会社に拾ってもらったのであった。