どうぶつの森の深みを目の前にして
「私、どうぶつの森が好きなの。」
ゲームを全くしない私にそう話してくれた70代と思われる女性は、その面白さを少女のようなキラキラした目で紹介してくれた。
女性の言うどうぶつの森は、「あつまれどうぶつの森」というゲームのことだ。
ゲーム内にある自分の島でマイホームを建てたり畑を作ったりするのはもちろんのこと、株や商品売買などの経済活動も行えるゲームだそうだ。
島の所有者の許可が下りれば、飛行機に乗って別の島に遊びに行くこともできるらしい。
何だか世界一周旅行も簡単に出来てしまいそうな、面白そうなゲームだ。
その女性は一人で黙々とゲームをしている訳ではない。
どうぶつの森の世界(以降、第二の世界)においても、現実世界の家族、子供たち、孫らとコミュニケーションを取り、3世代で遊んでいるというのだ。
どうやら家族全員で、目の前の現実世界と第二の世界の二重生活しているようだった。
面白いのは、現実世界と第二の世界ではそれぞれの役割が少し異なる点だ。
現実世界では家事、ご近所付き合い、趣味の写真に忙しいその女性は第二の世界ではバリバリの投資家だという。
その女性が稼いだ資産を家族で共有し、新しい商品作りや思い出作りに活用しているそうだ。
この話を聞いて、私の分析的思考は止まらなくなってしまった。
ツッコミどころとでも言うだろうか、一つの物語内におけるアプローチテーマが満載だったからだ。
二重生活という概念の面白さ
ひと昔前の日本の男女格差
仮想空間の行き先
家族内コミュニケーション方法の進化
聞き手の興味関心により、さまざなテーマで深掘りができる話だろう。
いつもならテーマを一つ選んで深掘りするが、今日は敢えて深掘りをせずに引いてみようと思う。
私はただ、キラキラしたその女性の目を見て羨ましいと思ったのだ。
彼女が持つ家族、ワクワクした心、その日常が素敵だと思ったのだ。
それだけなのだ。
時には何かを分析するのではなく、その時感じた感情をそのまま表現してみることで見えてくるものがある。
情報疲れで思考が止まらなくなった日は、深掘りせずに引いた視点で流してみるという選択も我々現代人には必要なのかもしれない。
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