『今を生きる』から、いい映画とは
本当に大好きな映画で一生涯宝物にしたい作品。何度見ても泣いてしまいます。
人生で一度は是非見てほしい。
初めて見終わった後すぐに文庫本を注文するほど感動したことを覚えています。
今は亡きロビン・ウィリアムズ演じるキーティング先生が、厳格な寄宿学校の国語教師として赴任してくるところから物語が始まります。
親の期待を背負って、勉強詰めの日々を送る若き青年たち。
そんな彼らにキーティング先生は詩を通して、
君たちはどう生きるのか、人生とは何か、
ということを教えていきます。
型破りな授業に戸惑っていた生徒も、
次第に彼の言葉に魅了され、
自分の人生を自分の足で歩むことを学んでいきます。
キーティング先生役のロビン・ウィリアムズさんは元々コメディアンで、
ディズニーアニメーション『アラジン』のジーニーの声を担当していたり、
『ナイトミュージアム』でルーズベルト大統領の役を演じていたりと、
とても幅広く活躍されていました。
この、ロビン・ウィリアムズさんの演技がいい。
素晴らしいです。
『ミセス・ダウト』でも、『ナイトミュージアム』でも、この『今を生きる』でも、
一瞬でロビンさんの虜になってしまいます。
『今を生きる』の作品の中での彼は、
情熱的で活発で、プロパガンディストのように見えるような振る舞いをする反面、
どこか物悲しげで哀愁漂う表情が垣間見え、
内に秘めた悲しみを写したような瞳がとても印象的です。
演技がというより、ロビン・ウィリアムズという人間のひとつの大きな魅力のようです。
そんな彼の魅力がこの役に完璧に重ねられて、
観る者を惹きつけて離さないのです。
なんとも言えない、哀しみのこもった表情。
どんなに溌剌としていても、
その奥に潜んだ痛み、苦しみが、
瞳に映り、何かを訴えてくるようなのです。
彼の演技は本当に楽しい。
でも、それと同じくらい苦しい。
もちろんロビン・ウィリアムズだけでなく、他の役者も素晴らしいです。
私はただ映画が好きなだけで、演技に関しての知識は全くないので、
素晴らしい映画とそうでない映画を批評することは難しいです。
ですが、自分の中でいつも指標としているのは、
「作品にしっかり浸かれたか」
つまり、観ている間に、
「この役者さんは誰だろう」とか、
「どういうふうに撮影したんだろう」とか考えてしまうような作品は、いい作品とは言えないと思っています。
凄い作品は、本当に映画を見ていることを忘れます。
観終わって初めて、
ああ、これは映画だったんだと気づくのです。
そして、凄い役者さんは、どんなに有名なスターでも、
その作品の中では完全にその人物に変貌していて、役者であることを忘れさせます。
観終わって初めて、
やっぱりこの俳優さんは素晴らしい演技をするなぁと思います。
演技がもはや演技ではなくなっていて、
完全に、その人物になっているので、
私たちも完璧に物語の世界に入り込み、
完璧に人物の感情に寄り添うことができます。
そして、そういう役者は瞳の表現まで完璧なんです。
ちなみに私の中での最高の役者はジョニー・デップです。
超ビッグ俳優なのに、作品を見る度にそれがジョニーだということを本当に忘れてしまいます。
本当に凄い。
舞台や映画には、舞台上と観客の間に「第4の壁」というのがありますが、
第4の壁を消し去ってしまうくらい素晴らしい作品ってなかなかないです。
でもそういう作品に出会ったら、もうそれは一生涯の宝物になります。
カルぺ・ディエム
国語教師のキーティング先生は、映画を観る私たちにも詩の素晴らしさ、人生の素晴らしさを教えてくれます。
親の敷いたレールで満足なのか
みんなと同じ道を歩くんじゃない。正々堂々と自分の道を生きなさい。
人生はあっという間に過ぎる。今を掴むんだ。
いつもと違った視点から見ると、世界は随分と違って見える。世界は広い。
井の中の蛙で人生を終わらせるんじゃない。
キーティング先生の言葉は素晴らしいものばかり。
百聞は一見にしかず。
是非ご覧ください。