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睡眠を改善する良い習慣と栄養、睡眠薬について

では本日は睡眠を改善する習慣、栄養、そして睡眠薬についてもお話しさせて頂きます。

睡眠を改善する良い習慣① 運動



皆様スキー、スノボのアクティブスポーツを楽しんだ日の夜は
泥のように眠った等の経験はありませんか?
運動と睡眠改善の運動は長い間睡眠の改善と関連しており、睡眠障害の非薬理学的治療オプションとしての運動の有効性に関する証拠が蓄積されています。1)

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ただし睡眠不足が慢性化している方は注意が必要です。
119人の慢性疼痛患者を対象とした2014年の研究では、睡眠不足が運動量の減少につながることがわかりました。2)

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運動習慣によりかえって痛みをもたらす、倦怠感が増悪するなどの不調が出現する場合は、トレーニングをスキップしたり、それを短くしたりして徐々に身体に運動習慣を刷り込まして慣れさせていきましょう。

また深夜の運動はアドレナリンの分泌により概日リズムを乱す可能性があるので日中に運動プログラムを組み込んだ方がよさそうです。(それでも深夜に運動する方が日中に全く運動しないよりかは睡眠の質は改善するようです)3)

しかし個人の『許容範囲内の運動は間違いなく睡眠の質を改善してくれる』ので、日中に無理のない範囲で運動をしてみましょう。

1) Kline CE. The bidirectional relationship between exercise and sleep: Implications for exercise adherence and sleep improvement. Am J Lifestyle Med. 2014 Nov-Dec;8(6):375-379. doi: 10.1177/1559827614544437. PMID: 25729341; PMCID: PMC4341978.
2) Baron KG, Reid KJ, Zee PC. Exercise to improve sleep in insomnia: exploration of the bidirectional effects. J Clin Sleep Med. 2013 Aug 15;9(8):819-24. doi: 10.5664/jcsm.2930. PMID: 23946713; PMCID: PMC3716674.
3) Murray K, Godbole S, Natarajan L, Full K, Hipp JA, Glanz K, Mitchell J, Laden F, James P, Quante M, Kerr J. The relations between sleep, time of physical activity, and time outdoors among adult women. PLoS One. 2017 Sep 6;12(9):e0182013. doi: 10.1371/journal.pone.0182013. PMID: 28877192; PMCID: PMC5587264.


睡眠を改善する良い習慣②寝る時間を一定にする

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ヒトには体内時計が備わっており、光、気温を手掛かりとして睡眠スケジュールが組み込まれています。つまり24時間前後で睡眠するように体内に概日リズムとして組み込まれているのですが、『睡眠を阻害する悪い習慣』でお話しした環境により少しずつ狂っていってしまいます


またその概日リズムは悪い習慣以外にも乱れていってしまいます。
それは【休日の寝だめ】です。
それにより体内時計は狂ってしまいますし、睡眠の質も低下してしまうし、学生に対する研究では学業成績の低下が示唆されています。2)

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では体内時計を整えるにはどうしたらいいのでしょうか?
寝る前のルーチンを脳内に叩き込むのが有用かもしれません。
睡眠前のルーチンとして『眠たくなくても理想とする時間に床につく』『毎日同じ時間に起床し、まずは日光を浴びる』『寝る前毎日読書をする、瞑想をする』などを行うことで、概日リズムは修正されていくはずです。

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くれぐれも脳が興奮するような【ゲームをする、熱いお風呂にはいる】、【ブルーライト系統】は習慣化に取り入れないでください。

1)Swaminathan K, Klerman EB, Phillips AJK. Are Individual Differences in Sleep and Circadian Timing Amplified by Use of Artificial Light Sources? J Biol Rhythms. 2017 Apr;32(2):165-176. doi: 10.1177/0748730417699310. Epub 2017 Apr 2. PMID: 28367676; PMCID: PMC5593073.


2)Phillips AJK, Clerx WM, O'Brien CS, Sano A, Barger LK, Picard RW, Lockley SW, Klerman EB, Czeisler CA. Irregular sleep/wake patterns are associated with poorer academic performance and delayed circadian and sleep/wake timing. Sci Rep. 2017 Jun 12;7(1):3216. doi: 10.1038/s41598-017-03171-4. PMID: 28607474; PMCID: PMC5468315.

睡眠を改善してくれる栄養;マグネシウム

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マグネシウムの不足は、脳内での興奮を引き起こし睡眠障害を惹起する可能性があります。1)
日本人の食事摂取基準(2015年版)では、1日のマグネシウムの推奨量を330mg/日前後で設定されていますが、平成27年国民健康・栄養調査におけるマグネシウムの1日の摂取量の平均は243.9㎎で、推奨量と比較すると、不足傾向にあるようです。2)

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マグネシウムが豊富な食材はたくさんあり、文献2)で提示した健康長寿ネットさんのサイトを参考に食生活を見直すのもひとつかもしれません。
 

1)Nielsen FH, Johnson LK, Zeng H. Magnesium supplementation improves indicators of low magnesium status and inflammatory stress in adults older than 51 years with poor quality sleep. Magnes Res. 2010 Dec;23(4):158-68. doi: 10.1684/mrh.2010.0220. Epub 2011 Jan 4. PMID: 21199787.

2)
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-mg.html#:~:text=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E3%81%AE%E9%A3%9F%E4%BA%8B%E6%91%82%E5%8F%96,%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%EF%BC%88%E8%A1%A81%EF%BC%89%E3%80%82

上記により改善がなければ、生活の質が低下しているのであれば
医療機関を受診しましょう。


状況によっては躊躇なく睡眠薬使用を!?

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今までの睡眠薬の主流は、ベンゾジアゼピン系(BZ)睡眠薬が主流でした。
それは長期使用により依存性を生じ、中断により不眠再燃、不安症、離脱症状がおきてしまう、非常に恐ろしい薬なのですが、精神科専門医以外の内科等で乱用されている歴史がありました。

世界的なBZの使用状況を見渡してみますと、リスクに敏感な欧米では脱BZが主流ですし、アジア圏の使用状況においても、なんと日本においては、韓国の2-3倍、中国の3-5倍も使用されていました。(2010年の古いデータで恐縮ですが)1)

当クリニックでは基本的にはBZ系は使用しません(BZ系が必要な患者さんは全症例、信頼のおける精神科医に紹介を行っています。)

そこで睡眠薬のゲームチェンジャーが出現しました。それがデュアルオレキシン受容体拮抗薬です。(商品名 デエビゴ、ベルソムラ)

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デュアルオレキシン受容体拮抗薬はオレキシン受容体1とオレキシン受容体2を阻害(ブロック)することで覚醒状態から睡眠へと導きます。

メリットとしては依存性のリスクが圧倒的に少ないことが挙げられます。またその他転倒リスク、呼吸機能へのリスクが少ないことが挙げられます。
デメリットとしては悪夢(1.8%)などが見られますが、臨床上のメリットの方が大きく上回ると感じています。2)

2020年7月に販売されたデエビゴはベルソムラよりも圧倒的に睡眠作用は強いと想定され、小生の外来において、患者さんの満足度は驚くほど高いです。(新薬につき最大14日間しか処方できませんが、、、)

つまり従来の睡眠薬のネックを取り払った夢の薬です。

当院での症例をお話しします。
患者Aさんは60歳男性で奥様に引き連れられてやってきました。
(奥様は当院に高血圧で通院されています。)

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Aさん「もともと神経質で不眠傾向にあったが、最近になり特に寝れなくなった。日中はイライラするし、仕事でもミスを連発するようになった。そして血圧も上がってきてしまった。寝るために深酒もしているのだが一向に解決しない
奥様「夫が家でイライラするために、顔を合わすために喧嘩となります。別居状態も考えています。

小生としては本来であれば、これまでお話しさせて頂いた『睡眠の良い習慣、悪い習慣』を実行して頂いてから、デュアルオレキシン受容体拮抗薬を処方することにしているのですが、ご夫婦で社会的に悪影響が認められ、不眠に伴う高血圧合併も示唆されたために初診の段階で、デエビゴを処方しました。

さて二週間後の外来ではどうなったでしょうか?

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ご夫婦でニコニコした表情で入室され
奥様「昔の大好きな主人に戻りました。家庭にも平穏が訪れました」
Aさん「睡眠ってほんと大事なんですね、こんなしっかり寝れたのは10年ぶりです。毎日が楽しいです」と大満足な様子です。
また血圧も正常化しており、不眠に伴うステロイドホルモン由来の高血圧だったようです。
Aさんの場合は『睡眠の悪い習慣』の全てに当てはまっており、それらを除外することで次回の外来ではデエビゴも不要になりました。

Aさんからの症例からもわかるように、不眠により社会的に悪影響が認められる場合は、躊躇なく安全性が高い睡眠薬は使うべきだと愚考します。

睡眠は幸せな毎日を送る上で必要不可欠なものです。
当記事が皆様の睡眠ライフの一助になれば幸甚です。

最後まで稚拙な文章に目を通して頂き誠に感謝致します。
Purevidence株式会社CEO 消化器内科専門医

1)
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2)file:///C:/Users/%E6%B5%A9%E4%B8%80/Downloads/%E3%83%87%E3%82%A8%E3%83%93%E3%82%B4%E9%8C%A0%EF%BC%92%EF%BC%8E%EF%BC%95%EF%BD%8D%EF%BD%87_1_1.pdf



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