通勤訓練日誌その1
いま私は過労によるうつ状態で休職中の身だ。
ただ、4月から復帰のめどが立ってきたのもあって、とはいえいきなり4月に職場まで行くのはハードルが高いな、と思ったので、勝手に通勤訓練を開始している。
その覚書みたいなものをつけていこうと思う。
<前段>
うつ状態になった際、休職に至るまで、また休み中の過ごし方などはネットにいろいろと情報が溢れているが、存外復帰という文脈で書かれたものは少ない。否、企業や人事、上司向けに書かれた記事は多いのだが、当の本人が抱える、感じるであろう感情の起伏や体調云々に関して書かれたものは非常に少ないということである。
なので、私も復帰にあたりいろいろ抱えている不安があるものの、今のところよりどころとなるものはあまりない。だから、今回の体験を少しでも書き記して、後世の役に立てば幸いである。
さて、うつ状態である人間が復職するということは、実は休職し始めることよりも、体調や精神を整えることよりも難しい。
飛行機は離陸時と着陸時に最も事故が起きやすいというが、復職はまさにそれに似ている。休職開始が離陸とすると、復職はまさに着陸。もとの生活に戻るまでの長い滑走路に向けて降下し始めるシーンである。いかに着陸の瞬間に起きる衝撃を最小限にとどめ、機体(自分の体と心)へのダメージを抑えるか(ソフトランディングするか)がキモであり全てである。
実際、復職後の再休職率は50%を超えている。理由は様々あれど、これは結果的にソフトランディングができず、機体ないしは滑走路(職場環境)、もしくはその両方が傷ついた結果だと言わざるをえない。
現代の日本で精神疾患を抱えたビジネスパーソンは増え続けているため、一昔前に比べれば随分とそのあたりに理解のある会社、制度が整っている会社も増えてきた。それでも実例として復帰した例はまだまだ少ないし、その後健康に働き続けている例はもっと少ない。
まずは私の前提条件がどういうものか、確認の意味も込めて整理してみよう。
<前提条件>
◯私のスペック;
・鬱による休職は2回目。前々職でパワハラによる鬱で1年休職ののち退職、2社目も10ヶ月程度しか続かず、現在3社目。現職は2年半働いた後に過労による鬱で休職し、半年が経過。復職を考え始めている。
・責任感が強くクソ真面目。周りからの期待に応えようとする(周囲の評価に頼っていきている)ため、できない、しんどいと言ったSOSが出せず抱え込む癖がある。また、自分に対しても厳しく些細な体調不良はむしろ「サボろうとしている」と𠮟咤してしまう感じ。最近流行りのHSP(めっちゃ繊細な人)であるという自覚もあり、人一倍感受性が強いため疲れやすく、人の目を気にしがち。
・現在の職場に対してはマイナスのイメージは少なく、仕事そのものも嫌いではなかったので、休職はわりとショック(実際休職しはじめるまでは仕事人生のなかで最も輝いていたかもしれない)。職場の人が好きで、そこに向けて復帰したいと考えている。
◯職場のスペック
・わりと大手のグループの中核企業
・人材系サービスをやっていることもあり、職場の環境はオープンで理解あるスタンスの人が多い。復職プログラムなどは明確でないにせよ、その部分を人事や上司が個人的努力で補ってくれようとする姿勢がある(悪い点でもあるが)。
・元のポジションに戻りたくない、と言った私の希望を聞き入れて異動が叶うぐらいには柔軟。
・一方でベンチャーが急成長して大手になっているため、まだまだ中枢部は新卒至上文化が垣間見えることもあり、精神疾患を患った私のいわゆる出世コースは閉ざされた可能性も十分にある
・一言で言えば良くも悪くもいい人が多い。人の善意で成り立っている部分もあり、仕組み化ができていない箇所も多々ある。人との関係性次第ではしんどい部分も出てくる。
<休職時の初期症状>
・吐き気、嘔吐、痙攣、自己肯定感の極度の低下、ネガティブ思考、希死念慮、自傷行為(軽度)
→はじめは職場と逆方向の電車に乗ることもできないぐらいだった。
<最近の状況>
平日昼間に職場のある大阪駅や職場の入っているビルの近くで読書や書き物ができるぐらいまでは回復。配偶者が同じ職場のため、職場の情報は定期的に聞いており、一部の同僚、上司とは月に1回程度はランチなり飲みなり行っている。
<通勤訓練1にちめ>
来週月曜日に職場まで行って産業医面談を行う必要があるため、それに向けて慣らし運転という意味合いが強い。当面は職場のビルに入っている喫茶店でこうして書き物をしたり読書をしたりが目標。
もともと漠然と考えていたが、今日は天気が良かった(重要)のと、いってみようかな、と考えてめんどくさいという感情が少なかった(眠気はあった)ので決行。
配偶者と一緒に「出勤」。
最寄駅に向かう道すがら、胃のあたりがムカムカする、声が出にくくなるといった症状が現れる。
いつも平日昼間に気軽にいける時とは様相は違う。
動悸が激しくなることなく、手が冷える感じ。
ムカムカや声が出にくくなる感じを抱えたまま職場のあるビルへ。途中人が増えてくるため、前の微妙な速度で歩いている人を抜かした際、配偶者が非常に早歩きになって、置いていかれる感じがちょっとしたが、自力で足をはやめて追いつけた。
そのまま目標の喫茶店にゴール。
到着後はムカムカは収まり、緊張はしているものの、こうして日誌をつけるに至っている。この後はランチぐらいまではこうしているつもり。
※なおこの喫茶店は喫煙スペースのあるフロアにあり、社内の人間もよくテイクアウトで利用している。普通に誰かと会う可能性はある。
<総評>
今日はとにかくいけるとこまで行ってみよう。が目標だったので、クリア。途中体調のシグナルが出た際、ここで戻るべきか、という風にも考えたが、いったん無視してみた(こういうことをするから抱え込むし自分の出すサインに気づかないということは理解しているが)。それ以上に行ってみたい、やってみたいという気持ちが強かったということにしておく。
なんにせよ、平日ここまで来れたのはすごい。めっちゃ頑張った。たぶん地上最強。という感じで自分を褒め称え続けている(この日誌もその確認の意味合いが強い)。
今は配偶者の出勤時間に合わせているが、復職した場合はもう少し早まるかもしれない(要するに、より通勤ラッシュに近い時間帯になる可能性がある)。
タイミングがあればそのあたりにもチャレンジ してみたい。
明日は大阪でカウンセリングを行う予定のため、長丁場になりそうだ。
今日のところはこのあたりで。