グループホームの風景~ホーム大喜利#5~
私は気が付けば福祉業界に22年生息してまして、これまで様々な場面で色んな方々と遭遇してきました。
そんな中、この記事では読んで楽しいもの、笑えるもの、考えさせられるものなどを大喜利風にUPしたいと思います。
前回はここから
「学校は?…」見当識障害について
人は今を生きています(当たり前ですが😅)
時間は【過去から現在そして未来へ】一定方向に流れているなどと言われます。
この流れ実は本当なの?って感じるのがこの認知症。
時間の概念を超越した世界が入居者の中では日々起こっている訳です。
今回はそんなお話です。
今回も前回登場のレビー小体型認知症のCさんです。それではどうぞ!!
<AM10時ベッドに横になっているCさんを起こしに向かう職員との会話>
Cさん:「あのー学校に行かなければ?」
Aさん:「どうしたのCさん!学校って?」
Cさん:「だってもうみんな学校に行ったのでしょう?
こんなに遅くまで寝ていて叱られてしまうわ…」
Aさん:「それじゃー早く起きて準備しなければね…ところで学校はどこにあるの?」
Cさん:「そんなことも分からないの?
えーと えーと…
あれどこだったかしら?お姉さん知っている私の学校?」
Aさん:「それじゃー まずはお茶でも飲んで思い出しますかね…」
Cさんはもともと勉強は余り好きではなかったようですが、時々学生時代にタイムスリップするみたいです。
Cさん10時のお茶の時間に起こす際、ベット内ではしっかり覚醒しており受け答えははっきり出来ています。
上述の受け答えをCさんが真剣に話している分、聴いている職員は面白いですよー
(あ!笑っちゃダメダメ…😄)
それでは紐解いてみますか!!
解説
Cさんの時間軸は明らかに学生時代の様です。
寝ていた時に学生時代を思い出したのか?
目覚めたとたん過去に戻ったのか?
状況は色々考えられます。
時間や場所などが分からなくなる状況を「見当識障害」「失見当識」と言います。脳の部位に海馬が有りますが、ここが機能しなくなると上記の症状が現れます。時間や場所の記憶について実は相当高度な脳の働きです。
記憶保持の働きにおけるメカニズムは、脳科学などの分野で研究されています。私達臨床の現場(グルホなど)にて日々入居者との関りを注意深く見ていると、脳機能が低下した状態になると人は失った機能を取り戻すべく、脳内の本来司る部位の役割を越えて補完する働きがあると感じます。
しかし見当識障害は認知症が進行するに連れ、脳の補完機能を越えて時間や場所などがますます分からなくなり、混乱に拍車が掛かります。
そんな時はやはり本人に寄り添う関りが必要になります。
対応
それではもう一度Aさんと職員の会話を振り返ります。
Cさん自身本人の言動にこだわり過ぎると、心配や不安が助長されてしまいます。そうなると更なる周辺症状(帰宅願望・暴言など)を引き起こすリスクが考えられます。
そのため職員は傾聴・共感からCさんに極力穏やかに過ごしてもらうよう話題を少しづつ変えながら誘導していきます。
(これで落ち着けば良いのですが、更に不安な状況になることもしばしばあります😅)
まとめ
今回は「学校は?…」見当識障害について
書いてみました。
時間の流れについて、実は人によって様々なのかと感じます。それは健常者だとしても良い思い出や悲しい記憶に囚われてしまう経験はあります。
認知症から引き起こされるこれらの
【時空の迷走】は脳の機能不全により顕現します。
また
他疾患治療のための内服薬などの副反応
(飲み合わせによる成分の変異など)
便秘やその他の身体的不調など
複合的な要因も関係していると入居者を観察していると分かってきます。
さてその後Cさんは、10時のお茶を飲んで軽食を食べている頃にはさっきの話はすっかり忘れ、隣の入居者と談笑されているのでした。
それにしても認知症になってもCさんの学生時代の記憶は今なお甦ります。
学生時代はどんな思い出があったのでしょうか?
そしてまた違う場面で同じ様な発言は繰り返されます…。
【Cさん今度は時間に間に合って学校に行けるといいですね】
なーんて考えるのでした😁
今回はここまで
最後まで読んで頂きありがとうございます
次の記事で会いましょう。
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