【絵本】 お星さまの穴
ある夜のことです。
おふたりさんはいつものように夜のお散歩を楽しんでいました。
すると空からキラキラと光るものが地面に落ちるのが見えました。
ふたりが急いでかけよると、そこには
見たこともないものが二つ並んでいました。
すると相棒さん。
突然そのお星さまを
すぽっ!
するとどうでしょう。
お星さまのキラキラが少し強くなりました。
それを見ていたねじりさんも同じく
すぽっ!
こっちのお星さまもさっきより少しキラキラが強くなりました。
おふたりさん、まずはほっと一安心。
それからお星さまをやさしく磨きながら
これからどうするべきか、ふたりは一生懸命考えました。
そしてふたりは思います。
もしかするとお星さまはみんなを照らすことで
元気になるのかもしれない、と。
そこでふたりはお星さまに元気になってもらえるよう
お星さまと一緒にみんなのところへ出かけることにしました。
*
到着したおふたりさん、さっそくみんなに声をかけます。
あっちをキラキラ。
こっちをキラキラ。
実はお星さま、みんなを輝かせることが大好き!
それはお星さまの元気の源でもあります。
その夜、お星さまはみんなに会えてとっても幸せでした。
そしてそれは森のみんなにとっても同じようでした。
*
みんなを照らした後、お星さまとおふたりさんは
お星さまと最初に出会った道に戻ってきました。
そう言うと、ふたりは顔からお星さまを外しました。
すぽっ!
すぽっ!
お星さまはみんなをキラキラ照らすうちに
どんどん光が強くなってきていました。
お星さまはみんなのお陰で元気を取り戻していたのです。
そしてふたりにはどうやらそれがわかっていたようでした。
なにせお星さまの穴がむぎゅむぎゅと小さくなって
ふたりの顔がどんどん窮屈になってきていましたから。
顔から外したお星さまの穴はもう元に戻りつつありました。
小さくなっていくその穴を、ふたりは最後まで静かに見守ります。
しばらくすると穴はとうとう完全にふさがり
傷もすっかり治っていました。
ふたりはお星さまが元気になったのを見届けると
今度は空へ向かってお星さまを優しくぽーんと飛ばしました。
宙に浮いたお星さまはそのままゆっくりと
ふわふわ空へ舞い上がっていきます。
そして途中こちらに向かって何度かキラキラと光りました。
恐らくそれは「バイバイ」の合図でした。
おふたりさんもその合図を見て、大きく大きく手を振りました。
お星さまの姿が遠く遠く見えなくなった頃
ふたりはまたいつものように
夜のお散歩に出発したのでした。
おしまい。