防腐剤「塩化ベンザルコニウム」が鼻に与える悪影響とは?
薬品・防腐剤・香料不使用の「サイナスリンス」
コロナ禍において注目され、愛用者も増加している「鼻うがい」だが、
防腐剤が含まれていることで鼻の不快症状を悪化させているかもしれない。
防腐剤とは、微生物の増殖を抑制し、
製品を腐敗しないようにするために用いられる成分のことで、
身近な商品によく使われている。
「塩化ベンザルコニウム」は防腐剤の代表的なものの一つであるが、
「鼻うがい」商品にも使われていることが多い。
塩化ベンザルコニウムによる繊毛機能障害
塩化ベンザルコニウムが人体に与える影響のなかに繊毛機能障害がある。
気道上皮(空気の通り道となる気管、鼻腔や副鼻腔など)の繊毛は、
異物や細菌を体外に排出する重要な役割があり、
この繊毛のはたらきが悪くなると、慢性副鼻腔炎、慢性気管支炎や
肺炎にかかることも多い。
鼻腔や副鼻腔を洗浄し、繊毛のはたらきを正常に保つことを目的とする
「鼻うがい」であるのに、
鼻うがいに含まれる塩化ベンザルコニウムによって
繊毛機能を低下させてはならない。
好中球機能にも影響を及ぼす塩化ベンザルコニウム
炎症時に細菌やウィルスを貪食、殺菌することで、
感染を防ぐ役割を果たす好中球。
塩化ベンザルコニウムはこの好中球のはたらきを弱めるということも
報告されている。
つまり、鼻炎の症状を緩和させたくて「鼻うがい」を使用しても、
塩化ベンザルコニウムが含まれていると鼻腔内の粘膜の腫れが増し、
鼻炎症状を悪化させてしまうというこだ。
防腐剤不使用、無添加の鼻うがいを選ぼう
世に溢れている様々な商品を選ぶ際に、
塩化ベンザルコニウムが含まれているかどうかを一つの基準にしてみるのも
良いかもしれない。
比較的安全と言われている塩化ベンザルコニウムではあるが、
量には注意が必要である。
特に、毎日使用する「鼻うがい」においては、
微量であっても蓄積していく懸念もあるため、
塩化ベンザルコニウム等を含まず、
極力シンプルで無添加のものを選んでいただきたい。
「サイナスリンス」
サイナスリンスは、防腐剤不使用。
低刺激にするため香料すら使用しておらず、成分は塩と重曹のみ
(純度99%以上の医療用塩化ナトリウム・重炭酸ナトリウム)。
どなたでも安心して使用していただける「サイナスリンス」は
医師が開発した製品で、現在全国4,500以上の医療機関で
推奨・販売されている。(※1)
アメリカでは約3割の人が「鼻うがい」を日常的に行っている。
そんなアメリカでは、健康を保つために必要な常在菌まで殺してしまうと
される薬品は禁止されているものが多いが、
日本ではまだまだ当たり前のように使用されている薬品もあるので、
製品選びには慎重になりたい。
鼻うがいのメーカーとして、
正しい「鼻うがい」が広まってほしいと切に願っている。
参考資料:Is the use of benzalkonium chloride as a preservative for nasal formulations a safety concern? A cautionary note based on compromised mucociliary transport - Journal of Allergy and Clinical Immunology (jacionline.org)
※1 2021年12月、自社調べ