怒りを管理するための10の健康的方法(nickwignall.comの10 Healthy Ways to Manage Anger Issues)の翻訳


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この記事の著者であるNick Wignallは臨床心理士、ライター、講師、ポッドキャスター。ダラスにあるテキサス南西メディカルセンター大学で臨床心理の博士課程、シカゴ大の社会科学で修士号取得、ダラス大の英文学で学士号を取得。American Board of Professional Psychology(ABPP、アメリカ専門心理士認定機関)の認定を受けている。the Academy of Cognitive Therapy(認知療法・行動認知療法家国際認定組織)の認定取得。Association for Behavioral and Cognitive Therapies(アメリカ行動療法認知療法学会)とニューメキシコ心理学会の会員。
北カリフォルニア出身、現在は妻と3人の娘とジャーマンシェパードと一緒にアルバカーキで暮らしている。
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怒りを管理するための10の健康的方法


この記事は、健康的かつ効率的に、怒りの問題(anger issues、アンガー・イシュー)、を取り扱うための実践ガイドである。

これから私は、あなたに、自分の怒りに対処するための10の実践的な方法、を説明する、これらは、あなたを、問題の核心に踏み込ませるだろう、覆い隠すのではなく。これらの技術は、私がセラピストとしてまた心理士として、仕事で用いているのと同じものである。

もし、これらの概念と技術を少しでも、自分の生活に取り入れることを学べれば、あなたは、自分の怒りに支配されていると感じることが減り、怒りが生じるあらゆる状況に、より自信をもって、対応できるようになるだろう。

 メモ:これは怒りについての三部作の第二部である。一部(The Secret Life of Anger )と三部(How to Handle Other People's Anger Like a Pro)へのリンク


目次

自分が興味を持った箇所に飛ぶために以下のリンクを自由に使ってほしい

 ・怒り問題に関する感情的に健康的な10の対処法

 1.自分の怒りの引き金を予測する

 2.怒りと強要の違いを認識する

 3.怒りを承認する

 4.自分の怒りの背後にある、より静かな感情に目を向ける

 5.怒りについての語彙を増やす

 6.物語るのをやめる

 7.怒りではなく、強要を管理する

 8.自分の怒りについて、順延券(レインチェック)を出す

 9.怒りを紙に書く

 10.長期的利己主義者になる

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怒りの問題に対する感情的に健康的な10の対処法

心理士として、私は、いつも、自分のクライアントと共に、怒りの問題に対処するために、より健康的な習慣と道具を作ることに取り組んでいる。以下は、私のお気に入りの10の技術と概念である、これらは、あなたが自分の怒りとより良い関係を築くために役立つだろう。

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1.自分の怒りの引き金を予想する

通常、驚きは怒りを強める。

例えば、誰か、同僚が、最近あなたが行ったプレゼンについて批判する不愉快なメールを送ってきた。ほとんどの人は、少くとも、自己防衛的になって、その結果、怒るだろう。

だが、では、別の同僚(偶然、あなたの職場での一番の親友でもあった)が、あなたのプレゼンを批判したとしよう…、あなたは、さらにも増してより傷つき、より怒りを感じるのではないだろうか、なぜなら、それは、あまりにもショックでサプライズだから。

もちろん、我々は、常に、自分の怒りの反応の引き金となる物事を予想することはできない。だが、驚くほど多くの場合、それは可能である。これは言い換えるなら、自分の怒りのパターンは、かなり予想しやすいということ。

もし、あなたがよく怒るなら、それは決まった数人、もしくは、いくつかの物事があなたの怒りの引き金である場合が、ほとんどではないだろうか。これについては常識のレベルで理解できることである、だがその一方で、賭けてもいい、あなたは、自分の怒りの引き金の詳細な地図を作る時間をとったことがない。

自分の怒りの引き金の景色の製図を始める方法:

1.数日か一週間かけて、自分の怒りを追跡する。自分のスマホに「怒り」いう名前か、何か覚えやすい名前でメモファイルを作る。

2.自分が怒っているのを感じたら、必ず、メモをとっていくつかの情報を書き留める(4W)。

 ・関係者は誰か?

 ・何が起こった?

 ・いつ起こった?

 ・どこで起こった?

3.一週間かそこら、メモをとったら、自分の発見を復習する。何か浮かび上がるテーマやパターンはないか?例えば、あなたは仕事で一番強く怒る傾向にある?もしかすると特に、いつも仕事のミーティングがある時?それとも、ほとんどのあなたの怒りは、パートナーとのやり取りの中で生じているかもしれない。

怒りの引き金の現状の地図が出来たら、来たるべき怒りを予想することが可能になる。そして自分の怒りを、予想できれば、そして無防備でなければ、その怒りがより弱く感じられ、より効率的に対処する準備ができているはずだ。


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2.怒り(アンガー、anger)と強要(アグレッション、aggression)を区別する

怒りを感じ時には、怒りと強要は違う、ということを自分に言い聞かせることが大事だ。

怒りは普通の感情であり、自分もしくは自分が気にかけている人が、何らかの不当な扱いを受けている場合に、我々が皆、感じるものである。言うなれば、それは不正と不当に付随する感情である。

そして、その他のすべての感情と同じように、それは我々が直接コントロールできるものではない(幸せが、単に「降って湧く」ことしかできないように、あなたは、怒りを「拒否」することはできない)。

だが、怒りは、ほぼ常に、強要の欲求を伴う。強要とは、あなたが、怒りに従って行動をする場合を言う。怒りは、感覚であり感情である、だが、強要は、意思決定であり行動である。例:

 ・パートナーが自分のその夜の服装のチョイスについて皮肉を言ったので、あなたは怒りを感じた(怒り)、あなたは、すぐに自分で考えた皮肉でやり返した(強要)。

 ・自分の前の車が、時速55マイル(88キロ)ゾーンなのに時速35マイル(56キロ)で走っていることに対し、あなたは怒りを感じた(怒り)、あなたは、ガスをパンチし速度を上げて、追い越し、すれ違いざまに睨めつけた(強要)。

怒りと強要の区別を学ぶことは重要だ、なぜなら、あなたの制御下にあるのは強要だけだから。自分の怒りに関しては、あなたは、実際には、何もできない、だが、あなたは、自分の強要はコントロールできる。そして、怒りの問題を扱う最善の方法の一つは、実際に、自分の強要の問題(アグレッション・イシュー)の管理に上達すること。

感情を軽減するために、あなたは、自分の怒りを表現し、「吐き出す」必要がある、という昔の人の考えは全くの誤りである。事実、数十年間の、様々な真っ当な研究が示しているのは、強要という形で(たとえそれが無害な強要であっても)自分の怒りを排出する、「リリース(解放)する」のは、実際には、自分の怒りを強めるということ。

その代わりに、怒りの問題に効率的に対処するための最も有用な方法の一つは、自分の強要の特定とコントロール、に上達することである。

さて、強要は、物理的な行動の形をとることもある(誰かを殴る、ドアを強く閉める、など)。だが、それと同じだけ、強要は、より微妙(わかり難い)形もとる:

1.アグレッシブ・スピーチ(強要的会話)。我々は他者との話し方において強要的になることがある。怒っている時の自分の話し方のデフォルトのパターンを理解することが大事だ、なぜなら、ブチ切れるのは、通常、自分の怒りに油を注ぐだけだからだ(そして対立を悪化させる)。

2.アグレッシブ・シンキング(強要的思考)。最も巧妙で(そしていくつかの点で最も強力な)強要の形とは、自分の思考である。特に、怒った時に浮かぶ、我々の自動的な思考の習慣、それは通常、ネガティブ・セルフトーク(ネガティブな独り言)の形を取る。我々が、頭の中で、自分に言い聞かせる、何があったのか、なぜ自分は怒っているのか、に関する物語。

強要的会話と強要的思考パターンを実際にコントロールする方法については、後でもう少し触れるが、だが、まず最初は、自分が強要的になる傾向全般への自覚を高めることが重要だ。そして、怒りという感情と強要を分離すること。

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3.自分の怒りを承認する

承認(validate、ヴァリデイト)が意味するのは、何かが正当であると認めること(正当とは、道理である、理解できるということ、たとえそれが望まないものであったとしても)。

例えば:友人が泣きながら電話をかけてきたとする、友人は仕事を首になって、金銭的に生活していけなくなることに怯えている。友人は、起こったことをすべて、そしてどれだけ動揺しているかを語った。さて、あなたはどのような反応をしますか?

おそらく、あなたが最初にすることは何らかの形の承認だろう。

あなたは次のようなことを言うだろう:

 ・なんてことなの、サラ、つらいでしょう。

 ・酷い話だよ。どんなにつらいか、想像もできない。

 ・つらいなあ。会って話せるように、そっち行った方がいい?

この場合、承認とは、単に、あなたが友人の苦しみを認めることである。重要なのは、これは、彼らの身にこれから起こることを軽視するという意味でも、アドバイスをしてこれからどうするべきか、もしくは、なぜこうなったのか原因を伝えるという意味でもないということ。

あなたの反応が以下のようなら、あなたは友人が多くないだろう:

 ・いや、大したことないって。首なんてよくある。大丈夫だよ。

 ・どうしてそんなに動揺しているの…、自分も去年首になったけど、落ち着いてたし問題なかったが。

 ・君がやるべきなのは、元気を出して、履歴書を書き直して、仕事の空きを知ってる人がいないか連絡を取ってみること。

違いがわかるかな?

誰かがつらい時期にあって苦しんでいる時、重要なのは(少なくとも、初期段階では)、彼らの困難とつらさを承認してあげること。これによって彼らは、あなたが気にかけていること、自分は一人ではないこと、そして、(彼らの感じているものがつらいものだとしても)彼らは壊れてしまったわけでも、何かがおかしくてそう感じているわけでもないこと、を知る。

私がこれらの例を挙げたのは、怒りの問題で苦しんでいる人のほとんどは、他人の苦しみを承認することがとても上手であるのに、自分自身の(怒りの問題を含む)感情の苦しみについては、実際には、全く未承認であるからだ。

怒りの問題を持つ人たちは、怒りを感じることについて、自分に辛辣である場合が多い。彼らは、自分が怒ることを、弱さの兆候、もしくは堕落と捉える。彼らは自分を、何があっても「冷静」でいられるように見える人たちと、比べる。彼らは、気持ちをコントロールし、より良い気分でいることができないことについて、自分を批判する。

不幸なことに、この自分の怒りに対するすべての自己批判は、ネガティブさをさらに積み上げるだけ。さて今や、怒りを感じていることに加え、彼らは怒りを感じることに恥を感じている。もしくは、怒りを感じることに不安を感じている。もしくは、孤独を感じている、なぜなら彼らは怒っているから。もしくは、その他のいくつかの難しい感情を感じている。

さて、これほどのネガティブな感情を積み上げてきたので、彼らは自分の気分を改善するために何かをしなければならないと感じている。そして、これは、さらに自己批判を強めるか、もしくは、他者に対して批判的になるか、いずれかの形を取ることが多い。なぜなら、我々は、他者をけなす時、比較において、必然的に自分を持ち上げることになる。そして、これは、一時的には、何らかのつらさを軽減するとしても、長期的には、事態を悪化させる。

ということで、あなたの怒りとの関係がどんなものであれ、最初に自分が怒っていると気付いた時に、すぐにそれを承認することが、常に最善となる。そして、通常、自分の怒りを承認する最善の方法は、短い、だが自分への思いやりのあるセルフトーク(独り言)である。

 1.「私は、こんな些末なことに腹を立てていることが気に入らない。だが、道理ではある、最近自分が感じていたストレスを考えれば。別の時なら、私はあまり気にしなかっただろう。」

 2.「自分が怒っているのを感じる。私は知っている、私は私の怒りの引き金を引いたものに対してコントロールを持たない、my feelings are what they are.(*自分の気持ちは、あるがままそのままのものだ?、それ以上でもそれ以下でもない?)、だが、私は、自分が何をするかについてはコントロールできる。私は、長期的にみて、今自分が何を考え何をすべきかに関して、自分の最善となる決断ができる。」

 3.「怒りを感じるのは少し怖い。心配だ、自分が、前に大学で一度ブチ切れして誰かを本当に傷つけてしまった時みたいに、なってしまうんじゃないか。でも、私は、自分が怒っているからといって、怒りに従った行動をとる必要はないことを理解している。」

自分の怒りを承認するということが意味するのは、単に、少しだけ時間をとって、自分が怒っていることを認識し、怒りを感じることには何の問題もない、と自分に優しく言い聞かせること。

どの感情の引き金が引かれるかについて、あなたは、自分の鼻詰まりについて持つ責任以上の責任を持たない。あなたに責任があるのは行動だけ(あなたが、自分の怒りをどうするかという自分の選択だけ)。

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4.怒りの感情の背後にある、より静かな感情に目を向ける方法を学ぶ

強力な感情の反応の只中では、ほぼずっと、自分は一つの大きな感情を体験しているかのように感じられる:

 ・フリーウェイで、自分の前に割り込みをされ、衝突寸前だった、恐怖(fear)、または恐慌(terror)に支配された。

 ・近親者を亡くしたことがわかった時、悲しみに支配された。

 ・ミーティングであなたの発案に対し、部長が皮肉を言った、怒りに支配された。

だが、問題は:我々が、だた一つの感情だけを体験することは、ほぼありえない、ということ。通常、どのような感情の昂ぶった状況でも、少なくとも数個の感情が同時に生じている。

もちろん、通常は、一つの支配的な感情、もしくは、主要な感情が存在している。だが、その一つの大きな感情の「背後」には、通常、数えられるほどのより小さな感情が存在する。

 ・フリーウェイで、割り込みをされ、衝突しかけた、恐怖(fear)または恐慌(terror)に支配された。だが、あなたは少しの安堵も感じている(衝突しなくてよかった)、そして、無茶をしたドライバーに対するちょっとどころではない怒りも。

 ・近親者が亡くなったことを知って、あなたは悲しみに支配された。だが、あなたは、最近その人と話せていなかった罪悪感も感じている、もしかすると後悔も。

 ・部長がミーティングで、あなたの発案に対して皮肉を言った、怒りに支配された。だが、あなたは、恥ずかしさも感じている、同僚の前で批判をされたので。加えて、恐怖もある、あなたは、彼らの批判が正しく、自分の発案は良いものじゃなかったかもしれないと心配もしている。

要点は、あなたがどれだけ怒っていたとしても、通常は、同時に、いくつかの別の感情も生じているということ。そして、怒りに自分の感情の景色を占拠させるよりも、それらの別の感情を探すことの方が、ほぼ常に、良いアイデアとなる。

理由の一つは、焦点と注意を怒りから他の感情へと移すことは、怒りの激しさを拡散し弱化する。そして、怒りの感覚の少しの減少が、怒りに従い強要の行為に及ぶか、それとも、怒りを抑えてより建設的な方法で状況に対応するか、の違いを作る場合もある。

だが、あなたが怒りの背景にあるより静かな感情に目を向けることを学ぶべきであるより大きな理由とは:怒りが、他の感情から気を逸らすための防衛機構である場合が多いということ。

これに関しては本当にたくさんの例がある:

 ・夜の帰り道での、ロードレイジ(運転中の激怒)は、あなたが嫌っている自分の仕事についての憂鬱を避ける方法である。

 ・パートナーに対する皮肉と不満は、相手との関係における自分の本当の欲求と必要に関する難しい会話をすることの気まずさ・恥を避けるための方法である。

 ・自分の仕事の出来の悪さに対する自己批判と怒りは、自分は向上することも自分の定めた目標へ到達することも決してないという恐れを感じることから気を逸らすための方法である。

問題は、あなたが、他のつらい感情に対する防衛として、常に、怒りを利用していると、あなたは常に、本当の問題に背を向け、放置し続けることになる。その間、あなたは、ますます怒れる人になり、そのことで気分を害する(人生の他の部分、人間関係、健康、仕事などで引き起こされる大災害は言うに及ばず)。

なので、次、自分が怒っているのに気付いたら、まず、立ち止まって、それを承認してほしい。それから、怒りの背後に目を向け、自分がその以外の感情を体験していないか観察する。自問する:私は、自分の怒りを、これらの別の感情を避ける、もしくは、それらから気を逸らすために利用してはいないか?

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5.自分の怒りの語彙を増やす

怒りの背後に隠れた小さな感情は見逃しやすい、同様に、自分の怒り自体の微妙に異なる変種も見逃しやすい。

例えば:仕事の長い一日を終え、玄関をくぐった、あなたのパートナーがぶしつけな言葉を言った、怒りの引き金は引かれた。さあ、自問しよう、今私が感じているのは正確には何か?

私は単に怒っているだけなのか?それとも、私は煩わしさをより感じている?苛立っている?不満?

ほらね、いくつかの点で、怒りとは、様々な種類を持つ、よりもっと大きい感情の類族のカテゴリーである:

 ・激高(rage、レイジ)は、急性の怒りの極限の形、その激しさの中ではほとんど「盲目」的になる

 ・恨み(resentment、リゼントメント)は、遥かにより激しさの弱い怒りの形である。だが、その長期の持続性と「しつこさ」は、恨みにとても強い影響力を持たせうる。

 ・不満(frustration、フラストレーション)は、怒りのよりマイルドな形であり、通常は、特に、自分が求める目標または目的地への到達が阻まれた時に生じる。

 ・短気(impatience、イ厶ペイシェンス)は、怒り特有の変種である、自分の期待通りに予定が完了されないことに関係する。

他にもいくらでもある、だが、要点は、あなたが、単に「怒り」をずっと感じているというのはありえないだろう、ということ。あなたの怒りには、微妙だが重要なごく僅かな違いが、たくさんあるのではないか。そして、これらの怒りの別の形・色合いを理解することは、実際に、怒りの問題をより効率的に管理する役に立つ可能性がある。

理由の一つとしては、自分が体験している怒りの形がどんなものであるかより注意深く考えることは、単純に、あなたを減速させてくれる。誰が何をして自分は不当に扱われたか、どうすればその報いを受けさせられるか、に関して駆け足の思考をする代わりに、あなたの精神はより慎重で黙想的な検討モードに入る、自分が今体験している怒りは具体的にどの怒りの形態に該当するのか、と。

怒り語彙を増やすこと、そして、怒りの種類を見分ける力を伸ばすことは、怒りを感じた時に、あなたが自分自身に対して、より思いやりを持ち、承認をするためにも役立つ可能性がある。使い古された、「はい、自分はまた腹が立ってきた…」、と言う代わりに、あの時は自分は恨みを感じていた、そして、別の時は不満を感じていた、と理解することは、自分の怒りにも一理あるということを知る助けとなりうる。

ということで、自分の怒りを承認し、その背後にあるより静かな感情に目を向けたら、少しだけ時間を取って、自分が今体験している怒りは正確にはどのタイプなのかと、自問する。

以下は、怒りの語彙を改善するために役立つ簡単な練習:

 ・白紙の紙とペンを取り出す

 ・スマホのタイマーを3分にセット

 ・できるだけ多くの怒りの言葉(アンガー・ワード)を箇条書きしてみる、つまりは、不満(frustration)や短気(impatience)などの、「怒り」という言葉の類義語や変種である言葉

 ・3分経ったら、シソーラス(類語辞典)を起動して「怒り」と入力、どんな興味深い類義語があるか見てみる、そして、自分の箇条書きに加える。

 ・それから、見付けた類義語を類語辞典にプラグインし(*見付けた類義語をさらに辞書検索し、?)、自分の箇条書きにさらなる怒りの変種を加える

 ・ボーナス:友人かパートナーと一緒にこれをやって、お互いのノートを比べてみよう

怒りの語彙がより大きくより洗練されるほど、自分の怒りの微妙だが重要な変種を見つけやすくなる。これに上達すればするほど、あなたが対処しようとしている怒りの問題がどんなものであれ、より効率的にそれを管理できるようになる。

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6.物語るのをやめる

次、あなたが、本気で怒った時、一瞬だけ時間を取って、自分は自分の精神を用いて何をしているのか、自問してほしい:あなたの思考はどこにある?怒りの大一番の中で、あなたの内面のセルフトーク(独り言)は何を言っている?

思うに、あなたは、自分が本気で怒った時には、自分が感じている感情と同じだけか、それ以上の思考を持っていることに気付く。

数十年に及ぶ心理学的な調査は、思考は感情のエンジンである、と結論している。古代のストイックの哲学者が数千年前に示唆したように、この世界の物事は我々の気持ち(どのように感じるか)を変化させない。自分が物事をどう考えるか(物事に対する自分の捉え方)が、自分の感情と気持ちに結びつく。

現代の心理学では、これはcognitive mediation(コグニティブ・ミーディエイション、認知仲介?)と呼ばれている。思考は、我々の捉え方と、我々の気持ちの感じ方、の関係性に、常に介在もしくは影響をしている、という考え。

この考えは、(怒りの問題への対処能力を含む)難しい感情の管理に、強力な影響を及ぼす:<自分の習慣的な考え方が、自分の習慣的な感じ方(気持ち、気分)を決定する>

これが意味するのは、もし、あなたが怒りを感じている場合、その原因は、何らかの形であなたが自分は怒っていると考えていることにある、ということ。そして、通常は怒りに結び付くこの思考形態(style of thinking)のことを、rumination(ルーミネイション、回想・反芻)と呼ぶ。

回想・反芻とは、過去に起こった嫌なことを何度も繰り返す思考形態である。これは、他者が自分をいかに不当に扱ったか、どう対処すべきだったか別のやり方はなかったか、もしくは、なぜ奴らは報いを受けるべきか、という物語の再生の形を取ることが多い。

例:

 ・パートナーからの辛辣な言葉の後で、あなたは、あなたのパートナーがこれまでに言った辛辣な言葉のすべての事例を再生し始める、あらゆる方法で自分に言い聞かせる、いかに彼女が酷いやつで思慮を欠くか。

 ・運転中、軽く接触事故になりかけた後で、あなたは考え始める、いかに自分の町の全てのドライバーが酷いドライバーであるかというあらゆる理由を、いかに他の人たちがもっと自分みたいな運転をすればより安全になるかを。

 ・仕事で、自分の新しいプロジェクトに対していくつかの批判を受けた後で、あなたはぼやき始める、いかに自分の部長が馬鹿であるか、いかに自分の価値が単に見過ごされているだけか。それとも、彼らが意図的に自分に破壊工作をしている、彼らは自分の仕事を妬んでいる、自分に成功してほしくない、という可能性について嘆くかもしれない。

要点は、自分に起こったことについて回想・反芻する時、我々は、自分の怒りの炎に油を注いでいる、ということ。何が起こったか、なぜか、本来ならどうなるべきだったか、について、物語れば物語るほど、我々の怒りは大きくなり、我々はそれに呑み込まれる。

ボトムライン(最終的な結論、最も重要な点):怒りを脱出する最速の方法は、その怒りに至るまでに何が起こったかを物語ることをやめること

酸素がなければ火はすぐ消える、物語と語りがなければ怒りもすぐに消える。

なので、あなたが怒りを感じていることに気づき、それを振り払えない時には、次のことを試してほしい:自分の意識と、自分が自分に語っている物語に注意を向け、物語ることをやめたらどうなるか確かめる。物語るのをやめて、ラジオをつける。もしくは、全く別の物語を語る(お気に入りのパートナーとの思い出トップ5、ビートルズのベストテンを偉大さの順で挙げる、スーパーボウルはどこが勝つかその理由、など)

これは簡単なことではないが、もし、あなたが、自分に語っている自分の怒りに結び付いた出来事に関する物語を、変化させることができれば、あなたは遥かにより効率的に怒りの問題に対処できるだろう。

怒りと物語りにまつわる自分の思考を変化させることについて、さらにアイデアを求めるなら:Cognitive Restructuring : The Complete Guide to Changing Negative Thinking(コグニティブ・リストラクチャリング:ネガティブ思考を変えるための完全ガイド)

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7.怒りではなく、強要を管理する

先にも述べたように、あなたは自分の感情を直接変化させることはできない。幸せという感情を降って湧かせられないように、怒りを単に拒否することもできない。自分の感情に影響する物事を変えること(ほとんどが、自分はどう考えるか、自分はどう行動するか)によって、間接的に影響を与えることしかできない。

怒りの問題の管理において、これが意味するのは、(一般的に広まっている怒りの管理の概念に反して)、実際には、怒りはあなたが管理できるものではない、ということ。

だが、あなたは自分の強要は管理できる、これは、あなたが後悔する行動をとることを防ぐ、おそらく気分の改善にも役立つ。怒りと強要についてもう一度確認したい場合は上の第2項を読んでほしい。

我々のほとんどが「強要」という言葉を聞いたことがあり、物理的な暴力行為(誰かを殴る、など)を思い浮かべる、だが、ほとんどの強要の形は、実際には、もっと微妙な(わかり難い)ものである。それは二つの形を取ることが多い:アグレッシブ・スピーチ(強要的会話)とアグレッシブ・ソウト(強要的思考)。

強要的会話と強要的思考をうまく管理する鍵は、怒りに関する二つの一般的な迷信を消し去ること:

 1.表現されなければ、怒りは解放されない。

 偽。数十年に渡り、研究はその逆を示してきた、事実:怒りを表現したり、怒りに従った行動をとることは、怒りを増幅させる傾向にある。自分の強要的会話を抑制することの方が、実際には、遥かに有用である(そして、心理学的にも全く不健康ではない)。言うなれば、舌を噛むこと(*出かかった言葉を我慢して飲み込む)は、実際には、全く正式な対処法である。

 2.怒りは「ネガティブ」な感情である。

 感情に関する研究者のほとんどは、実際には、怒りをポジティブな感情として概念化している。怒っている状態の人は、最終的にネガティブなこと(例えば、強要的会話)をするが、だが、怒りそのものは「ネガティブ」ではない。事実、怒りの体験(それが実際にどう感じられるか)はポジティブなものである、それが心地良いという意味において。ほら、怒りというものは、自我を増長させる感情である、それが自分自身について良い気分にさせてくれるという意味において。考えてみてほしい:あなたが誰かに対し怒っている場合、物語は、その誰かはどこか間違っている、もしくは悪い、もしくは不適切なことをした、これが暗示しているのは、自分は正しい、ということ。誰かを「悪い」と言うことは、自分は「良い」ということを暗示する。そして、自分のことを良いと考えるのは、とても気持ち良い。

この二つの点が示唆するのは、怒りを感じることは何も間違ったことではない、ということ。怒りを感じても、あなたは何もする必要はない。単に怒るのは、全く健康的なことである。さらには、怒っている時によく見られる我々の言動は、自分の自我(ego)を増大させ自分の気分を良くするための隠れた方法、である場合が多い。

次、あなたが怒りを感じ、そしてそれを言葉に出して誰かに言いたくなったら、次の二つのことを自分に言い聞かせる:1)怒りは解き放つ必要はない(内に抱え込んで、表に出さないことは、実際には、全く健康的な選択肢である)。2)もしかすると、あなたの怒りを言葉にして表現したいという欲求は、実は、自分を良い気分にするための方法の一つに過ぎないかもしれない、本当に何か不正義を正したいということではなく。


怒りは承認し、強要は管理する。

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8.怒りの順延券(レインチェック)を得る

あなたの怒りの引き金を引いた出来事や状況は、措置され解決されるべき真っ当な問題である場合もある:

 ・あなたのパートナーが頻繁に皮肉や辛辣なことを口にする場合、これは処置されるべき問題かもしれない。

 ・あなたの部長が頻繁に、屈辱的であったり、過度に批判的である場合、これは何らかの方法で処置されるべき問題かもしれない。

だが、自分の怒りの背後にある問題を効率的に対処できる確率は、激しい怒り最中ではない方が高まる。

例えば、もし、あなたが、結婚式で夫の皮肉なコミュニケーションスタイルについて、自分はとても怒っている動揺していると、その場で話し合おうとする場合、おそらく、あなたがそこまで明瞭明確ではなかったり、あなたの夫が自己防衛的になったり、そもそも聞く耳を持たなかったり、それで最終的に、最初よりもあなたは腹を立て、不満を持つだろう。

一方で、あなたは、自分の気に触った、後で話し合いたい、と手短に彼に知らせることもできる。言うなれば、あなたは自分の怒りの順延券を得る。あなたは、自分の怒りは真っ当なもので、この問題は確かに処置される必要があると、承認できる。だが、今この瞬間は、それをするのに最も有利な条件ではない。

だが、コツがある:この問題に対処するために、あなたは明確な計画を必要とする、自分に、後で話すことを忘れないようにと言い聞かせ、そうなることをただ願うだけでは。そうはならない。

皮肉な夫の例に戻るなら:件の夫のコメントによって自分はどう感じたかを彼に伝えたら、どこか静かな所へ行こう、何が起こったか、自分は夫と何を話し合いたいか、メモをする、そして、スマホに予定の日時をセットする、二人とも気分が良さそうで、怒りの問題を引き起こした全てについて意見を交わし一つ一つ取り組めそうな日時にする。

言うなれば、怒りの背後にある問題の対処を遅らせても全く問題はないということ、それをするための本物の計画があるならば。

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9.自分の怒りを紙に書く

これは私が個人的に一番使っていて、常に本当に有用だ思っている技術である。

基本的な考え方:本気で怒っていると感じた時、怒りに従って行動をするのではなく、それについて話すのでもなく、それについて考えることもせず、怒りについて書いてみてほしい。

文字通りの意味で、紙を一枚取り出すか、スマホのメモを開いて、ただ頭の中のことを何でもいいから書き始める。

この技術にはいくつか重要な優位性がある:

 1.簡単である。どこでもできる、すぐにできる。特に、今は一日中スマホが手元にある、スマホを取り出し、ノートアプリを開いて、書き始める(何があったか、どんな感情を感じたか、何がしたいか、この状況で有用なのは何か、長期的にみて自分の最善は何か、など)、造作もない。

 2.アクティブ(活動的)である。自分の怒りへの反応として何かをする必要はないということを知ることは良いことである。そして、本当に何もしないことが、自分の怒りの問題を管理する最善策である場合もある。だが、怒った時、我々は起動・活性化し、行動の準備がなされる。怒りについて書くことで、あなたは、このエネルギーをより生産的で、より非破壊的な方向に向けることができる。

 3.スローである。書くことが凄いのは、あなたを減速させること。思考と同じ速さで書くことはできない、なので自分の反芻的で強要的な思考を記述速度まで減速させられれば、それらの思考を単純に減らせる、より激しさの弱い、より持続時間の短い怒りとなる。

 4.記憶に有用。あなたの怒りの対象が、実際に、将来、対応され処置される必要があるものである場合、何が起こったかを書き残すことは、何が起こったかについて記憶の正確性を助ける、後に対処をする際、自分の記憶だけを頼りにするのではなく、メモを見ることができる。

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10.長期的自己中(long-term selfish)になる

ほとんどの強い感情がそうであるように、怒りも、全て今この瞬間に関することである(今この瞬間にどう感じているか)。我々が怒りでトラブルに陥るのは、今気持ち良いと感じるもの(強要の形の一つか、もしくは別の形か)が、将来に、害悪もしくは破滅的な結果を持つことが原因である。

だが、我々が怒っている時、我々の視野はトンネル・ビジョン(狭く)になる、ほぼ排他的に、今起きていることだけに焦点する。長期的に何が自分の最善かに関する視点と明瞭さの欠如が、(怒りの問題をより効率的に管理するのではなく)怒りと強要に従った衝動的な行動を取ってしまう最大の原因の一つである。

これが意味するのは、怒りと強要に対処するための最善の方法の一つは、自分自身をマインドフルに保ち、自分が本当に求めるもの、長期的に見て何が自分の最善か、を自覚すること。

考えてみてほしい:もし、次に、あなたがパートナーに怒りを感じ、皮肉が喉まで出かかった時に、時間が止まって、雲から声が轟き:

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よう兄弟、お前さん本当にその皮肉を言うことが自分にとって最善だと思っているのかい?長期的に見て、それが本当にお前さんが求めるものをもたらしてくれるのかい?そうそう、ところで、お前が本当にほしいものは何だ、長期的に見て、お前とパートナーとの関係においてだよ?そりゃ、この一撃をお見舞いしてやればその場で気分は良くなるだろうよ、だが、全体的な二人の関係の質はどうなる?俺らはお互いのことを何でも知っている(*お前は俺だから)、俺らのパートナーが不幸な時は、俺らも不幸になりがちだ。そのことを考えてみてくれ…

ーー

言うなれば、あなたが一時停止して自分の長期的最善を手短に検討できれば、その瞬間の怒りをよりもっと大きな視点に入れることができる。そして結果として、強要的な発言や行動の衝動を変化させる。

なので覚えておいてほしい、次、あなたが怒りを感じたら、セルフィッシュ(利己主義者)になってほしい、「長期的」利己主義者、に、だが。自問してみてほしい:自分が本当にほしいものは何か、怒りの衝動に従った行動は、本当にそれを手にする助けになるのか?

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アンガー・マネジメント(怒りの管理)が愚策である理由

これまでにも何度か仄めかしたが、怒りの問題の管理に関する一般的な誤解をより直接的に指摘したい:怒りの問題に健康的な方法で対処をすることは、「アンガー・マネジメント(怒りの管理)」を意味しない。

事実、このガイドのテーマは、自分の「怒り」を管理すべきではない、ということ。その代わりに、自分の「強要」の管理に注力するべきだ。

だが、自説を支持し説明させてもらおう…

あなたは、どんな感情も、直接的に、コントロールしたり変化させることはできない。考えてみてほしい:もし、我々が直接自分の感情を変えることができたら、我々は、落ち込んだ時に幸せのつまみをただ回しただろう、もしくは、心配や恐れを感じた時には不安を調整しただろう。当然ながら、我々にはこれはできない、怒りを含むどんな感情に対しても。

我々は、自分の感情に間接的にしか影響を与えられない、ほとんどの場合、自分の考え方と自分の行動を通して。もし、あなたが孤独を和らげたいなら、仲の良い友達に電話してもいい(結果的に、自分の孤独を減少させてくれるかもしれない行動)。もし、あなたが大きな講演・発表を控えていて緊張しているなら、あなたは、精神的にリフレイム(見方を変える)をして自分の知識を見せびらかす機会にすればいい、結果的に緊張が弱まり楽しみが増すかもしれない。

で、同じ原則は怒りにも応用される。あなたは、自分の悲しみ、緊張、気恥ずかしさに対してできる以上の管理を怒りに対してすることはできない。だが、自分の怒りに関する思考と行動の管理は学べる、その結果、自分の怒りに間接的に影響を与えられる。

さて、これは違いのないものを区別することのように思えるが、そう思えるのと同じだけ、とても重要なことでもある。自分の感情をコントロールしようとするのは、ほぼ絶対に良案ではない、なぜなら、A)うまく行かない、B)それはあなたの脳に、感情は、問題もしくは脅威であると刷り込む。

怒りをコントロールしようとする時、例えば、あなたは微妙だが強力に自分の脳に、怒りは避けるべき敵だ、と刷り込む。これが意味するのは、次に、あなたが怒った時、自分の怒りを恐れる、もしくは、恥じることになる、そしてこれは、あなたをさらに躍起にさせ怒りの除去を試みさせる。邪悪なサイクルの始まり…

自分の怒りのコントロールや根絶を試みるよりも、より良い方法は、怒りの感情を受容し承認すること学ぶこと、そして、あなたが実際に制御を持つもの(例えば、何か酷いことを言う行為、もしくは、以前あった自分に対する無礼についての終わりなき回想・反芻)の管理を試みる。

怒りの問題への健康的な対処とは、怒りそのものを、直接に、コントロールしたり管理することではない。それは、怒りにまつわる思考と行動(これについてあなたは実際にコントロールを持つ)を管理すること。

実際、このガイドの最も重要な点は、簡潔にまめることができる:

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怒りは受容する、強要は管理する

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怒りの本当の働きについてのより深い議論と、その背景にあるいくつかの驚きの心理学については、この記事(The Secret Life of Anger、ザ・シークレット・ライフ・オブ・アンガー)を読むことを強く勧める。それはこの記事の前編のようなもの。

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怒りの問題を健康的に対処することによる4つの実践的恩恵

怒りの問題に健康的に対処する方法による恩恵は多い、なのでそのうちの最も重要なものを少しだけ挙げる:

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より良い人間関係

一方もしくは双方が怒りの問題を抱えているが、効率的な対処法を知らないことで、たくさんの人間関係が苦しいものになっている。怒りの大発散や、ブチ切れエピソードは、間違いなく人間関係に大災害となる、だが、ほとんどの時間においては、それはより微妙な(わかり難い)形を取る。

恨みは、怒りの微妙な(わかり難い)形の一つで、時間をかけて作られ、人間関係に距離と孤立を生じさせる。無視される、もしくは伝えるための積極性の不足が原因の、満たされない欲求と必要を持つ時、我々は他者に恨みを持つ。

人間関係の恨みを解く鍵は、その人間関係でより多く求めたいもの、より減らしたいものについて、自分に正直になること。それから、勇気を出して、自分がほしいものを直接的に伝える、そして自分が嫌なことをについて境界線をセットし遵守する。

怒りの別の形で、あらゆる人間関係で毒になりうるのは、パッシブ・アグレッシブネス(受動的強要)である。受動的強要コミュニケーションでは、我々は根本的に強要的に話したり強要的な行動を取るが、見せかけの親切さや冗談をでそれを隠す。

皮肉は受動的強要コミュニケーションの一般的な形である。ある人間関係が皮肉と受動的強要に満ちた特徴を持つ時、通常、それが意味するのは、パートナーのうちの一方か双方が満たされない必要を持っていて、それを直接的に敬意をもって伝えることができずに苦しんでいる、ということ。

いずれの場合でも、関係を改善する強力な方法は、その関係において、自分が本当に求めること、本当に悩ましいと思っていること、について自分に正直になることを学ぶこと。それから、率直な態度でそれについて要求する、もしくは「ノー」を言う

人間関係における慢性的な恨みと苛立ちは、通常、その関係に透明性と直接的コミュニケーションが必要であることを示す。アサーティブ(率直・積極・敬意)になることを学ぼう(記事へのリンク)。

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より良い気分

本気で怒ったことがある人(皆に当てはまる!)は知っている、最終的に怒りは消え去り、それよりもさらにつらい感情の痕跡を残して行くと、罪悪感、後悔、不安、恥、悲痛・悲嘆や孤独まで。

我々が怒り、そしてその怒りに従った行動を選択する時、我々の強要は、他人、もしくは自分自身をも、傷付けるまずい判断や行動につながることが多い。そして、自分の怒りに従った行動を取ることが習慣となっている場合、我々は、怒りの航跡に続くこれらのつらい感情を全て習慣的に体験することになる。言うなれば、強要の管理技術の不足が、我々を、嫌な気分と後悔する行動の、永久のサイクルに捕え続ける。

一方で、我々が、自分の怒りとの関係を変えること学び、自分の強要の衝動をもっと効率的に管理できた時、その他の多くの感情の苦しみや、いつもの不機嫌は、単に溶けて消える、その様は驚くべきものだ。

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より良い健康

怒りの問題の管理のより良い対処法を育むことの恩恵について見過ごされているものの一つは、身体健康の改善である、劇的に改善することもある。大量の研究(ncbiリンク)が、怒りの管理の不全と、強要による問題が、あらゆる身体と健康の問題につながることを示している。心臓病、脳卒中、不安症、免疫機能。怒りの問題が放置されると、身体は高い代償を払うことになる。

だが、このジレンマは裏返せば、嫌悪と強要を減らすことを学べば、自分の健康に多大なポジティブな影響を与えられるということ。

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仕事のパフォーマンス改善

仕事は不満の種となりうる。ましてや同僚のこと。そして、上司も…。

不満というものは、チームで働く場合に不可避の現実である、そのチームが4人の従業員で起業した場合でも、一つの部署に数千人を抱える大企業であっても。仕事で直面する不可避の不満を、特定し管理する方法を学ぶことは、仕事の効率を改善するだけでなく、仕事をもっと楽しめるものにする。

不幸なことに、多くの人たちが、職場での不満に対し、敗北主義的で無力な姿勢を取る。これは理解できることだ、なぜなら、特にあなたが大企業で働いている場合、多くのことが、腹立たしいほどに、自分の手の内になかったり、影響範囲になかったりする。だが、これはあなたが無能で無力であるという意味ではない。

適切な意識の変化と、少しの実践で、あなたは、自分の不満を、機会として捉えられるように自分を訓練できる。そして、適切な方法を用いるなら、これらの不満は、本当に、ポジティブな変化へと変換できる。

鍵となるのは、不満を避けずに、単に「自分の仕事の現実」として完全に切り捨てること。これが真実である場合もある(*この切り捨てるやり方が正解の場合もある?)、だが、不満とは感情のメッセンジャー(伝達者)であり、何かがうまく行っていないことを伝えようとしている。そして、いくらかの忍耐と想像力を用いれば、これらの不満は、自分の仕事、もしくは組織全体にさえ、ポジティブな変化を起こす第一歩となりうる。

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まとめと要点

誤解され放置された怒りは、我々の健康、仕事、人間関係、幸福に、破滅的な結果をもたらす可能性がある。その一方で、時間を取って、怒りの心理学(我々の生活における怒りの本当の働き)を理解するなら、我々は怒りの問題を遥かに効率的に管理できるようになる。

あなたが怒りの問題に苦しんでいる時、あなたが利用できる10の基本的対処法:

1.自分の怒りの引き金を予想する

2.自分の怒りを承認する

3.自分の怒りの背後にある、より静かな感情に目を向ける

4.自分の怒りの語彙を増やす

5.物語るのをやめる

6.怒りと強要を区別する

7.自分の怒りではなく、自分の強要を管理する

8.自分の怒りに順延券を出す

9.自分の怒りを紙に書く

10.長期的利己主義者になる

 
 メモ:この記事は怒りに関する三部作の第二部である。第一部(The Secret Life of Anger)と第三部(How to Handle Other People's Anger Like a Pro)へのリンク。


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