うつ明けに ドラッグストアで リップ買う
しょうもない川柳みたいなタイトルになった。
うつ明けだ。いや、正しくはうつ(状態)ではなくて、主に身体の不具合であった。身体の調子が悪いとそれに連れ立つように精神ももろくなる。「健全な精神は健全な身体に宿る」とはまさに。数日間まともに食事がとれなかった。荒療治的に今日は夕飯に脂身の多い焼き魚を食べたら、嘔吐・下痢と体は即反応した。ちょっとちょっと、弱りすぎじゃない? 食事もリハビリが必要なよう。
いっきに十才くらい年老いた胃腸を抱えて、でも何事もなく夜は更け朝は来る。朝。社会的な意味で人間にならなければ、と着替えて化粧して仕事に行く。水分摂らなきゃ。ヨーグルトとコーヒーの朝食を済ませて家を出る。
うつうつとした気分だった。体が重い。気圧も変だし地震も多い。そのような自然界のエネルギーを、どういう脈絡なのか昔から体が背負いがちだった。隣のひとを救うため、というようなおおよそ肥大した責任感を持って、世界のエネルギーを均衡に保つべくわたしの体はエネルギーを背負うのだった。いや実際にはそんなもの妄想で、近年取り沙汰されている「気象病」にカテゴライズされて終わりなのは知っている。でもそれだけでこの不調を納得させようとするにはつらい。世界を背負っているとでも勘違いしないとつらいものだ。
どうすればよりよく生きられるのか、みたいな壮大なことを考えがちだ。そういうときに限って。まるで現実から逃避するみたいに。逃避? 違う、迂回だ。現実を少し遠回りして未来に進もうとしている。見なくて済むものをあえて拾い上げて、注視して生きている。それだけのことだ。まあ厄介だけど。
そういうわけで、帰りしなにドラッグストアで口紅を買った。流行りに乗ってみる。これ。
ネンマク…? 商品名のごとく、まるで自分の粘膜のように色づいてくれるらしい。自然な色づきのタイプのリップかと思いきや、わりとしっかり「口紅」的発色をするリップである。ティントとも違う、他社製品であるリップモンスターを彷彿とさせる色づき方、残り方のよう。値段も揃えてあるし、市場参入か? リップモンスターは長らく欠品続きだったけれど、最近は供給過多かなと感じるくらいどこでも見かけるようになった。かく言うわたしも先日マットタイプ01を衝動買い済み。
少し前に見つけて最近よく見ている美容系Youtuberがいるのだが、彼女が「リップは三本持ち歩くべし」とのたまっていた。ご存じの方もいらっしゃるかもしれないが、かの有名な(?)ピンクバイヤーさんである。
彼女の「ポーチの中身紹介」の回がすごい。とにかくすごい。
これでもかという美容器具の数々。隙間時間を利用したお直しグッズ。美容とは内外のトータルケア、と思い知らさせるケア用品。ポーチ大きすぎ&重すぎ。車移動でないと無理じゃない?
ポーチの中身に関してすぐ真似できるラインアップかはさておいて、商品説明、使い方、美容にかける熱意等々、同業の末端としては非常に勉強になる。
彼女の持ち歩く二つ目のポーチの紹介で、口紅を数本持ち歩いている話題になる。口紅を複数ポーチに入れているひとはいくらもいるかと思うが、彼女はただ好きな色をいくつも持ち歩いているわけではない。用途があるのだ。
朝は、似合う色より「つけたい色」。化粧したてて、なりたい理想に近い状態であれば、普段似合わないと思いがちな色でも似合いやすくなっているもの。自分の肌の色やイメージに固定されないで、つけたい色をつけて良し。
反対に、夜は「似合う色」を。個人差はあれど化粧は落ち、肌もどうしてもくすんでくるもの。素肌に似合う色をつけるほうがベター。
そのほか、日中でもくすみがちなときははっきりした色味のもの、アイシャドウなど他のパーツを際立たせたメイクのときはなじみやすい色味のもの、など、用途別にカラーバリエーション豊富だ。
わたしもポーチの中にリップは五本入ってるけれど、そこまで考えていなかったな。
というわけで、新入りのネンマクくんらも迎え入れて、このラインアップでいこう。
★★★
ちなみに、先ほどのピンクバイヤーさんは、主に東京多摩地区に展開している化粧品専門店「SAKURAYA FOR ME」のバイヤーである。正直存じ上げなかった店なのだが、動画で求人を出していて(Youtubeで求人する時代なのか…)ちょっと、いや、ものすごく興味を持ってしまった。
求人内容を簡単にまとめると、
だそうです。八王子店、きっと何度か行ったな。
店舗の美容職であれば給料は相場なのだろうな。良い方かもしれない。
えっと…だれか一緒に面接受けませんか? なんて。