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日記#39私が働いていたデイサービスでの日々を振り返る③
デイサービスでちょっと前まで働いていた頃を思い出して綴ってみている。
NHK朝ドラちむどんどんを見ていると『芭蕉布』の歌が流れてきた。
私にとって懐かしい歌。
それはある利用者様からのリクエストだった。
デイサービスに来ている利用者様の帰宅時間はまちまちでそれぞれケアマネージャーの作成するプランにより違ってくる。
本人の希望、家族の事情、介護保険点数の事情、受け入れ側の事情などによって変わってくる。
早い方は昼食後暫くして13時30分頃の送迎。遅い方は17時15分頃の送迎。
多くの方は16時頃の送迎。
私の勤めていた頃は15時30分から希望者がいなくなるまでの時間は主にカラオケの時間だった。
歌の種類も歌謡曲、演歌、軍歌、讃美歌、洋楽、唱歌、童謡などなど。カラオケの機械リストに入っていれば何でもありだった。
1人で歌う方。スタッフと一緒なら歌う方。聞いているだけ(口ずさむ程度なら歌える)色々な方がいた。
あのNHKのど自慢に出て合格したという歌手バリにうまい方から、音程もリズムも外れまくってしまうけれどリハビリの一環だからと頑張って毎回歌う方など。
本当に様々だった。
上手く歌うのが目的では無く、リハビリなんだとアナウンスしながら誘うと結構歌って下さっていた。
デイサービスに何年も通っておられて過去1度もマイクを握ったことの無い方が、何かのはずみで歌う事となりそれ以後毎回の様に歌って下さる様になったり。
歌う事が楽しみで来所して下さっている方も。
中でも帰宅願望が強く来所後直ぐに玄関に行き靴を履き始めてしまう方がいたのだが。
歌う事に関してだけは耳を貸してくれて「お昼からカラオケ大会がありますが、何を歌って下さいますか?」などとお願いすると乗り気になって帰りたい気持ちが何処かにいって…あの曲がいいか、この曲がいいかなど自分の席について歌の本を眺めながら一生懸命考えて無事帰宅まで過ごし、数曲歌って帰宅する事が出来ていたり。
歌にはかなり助けてもらっていた。
脳梗塞を何度も経験し、言語機能も運動機能もかなり麻痺がある利用者様がおられた。
かなりこだわりもあって自分の思うようにいかないと癇癪を起こしてしまうような難しい面もあったが、指先は器用に動かせていて普段のコミュニケーションはキーボード表記で行う、我がデイサービスでは珍しいタイプの方だった。
私とは少しだけコミュニケーションが取れた際に出身高校の話題になり、私の出身高校の先輩だと知る事になる。
それからはちょっとだけ心を許してくれたようなそんな関係性があった。
ある時好きな歌の話題になりその方に伺うと『芭蕉布』だという。
私の全く知らない歌だった。
なぜ好きなのかは聞くタイミングを逃してしまい、今でもわからないままなのが残念。
それからパソコンのYouTubeで『芭蕉布』を探し練習してみるが、なかなか難しい。しかし美しい。歌える様になりたかった。
ようやく歌えるかなと思える程度になりその方の為にカラオケの時間目の前で歌ってみた。
とてもとても喜んで下さっていた。それから数回歌う機会があってその方の前で歌った。懐かしく思い出す。
いつしかその方は来られなくなり『芭蕉布』の事は私の記憶の奥底にしまっていたが今日の朝ドラで甦ってきた。
歌は記憶と共に。
歌を聞くと当時の事を懐かしく思い出す。
テレビを見終わってYouTubeを検索し一緒に『芭蕉布』を歌ってみた。所々怪しかったが。
素敵なメロディでほっとする歌。
歌は癒し。
昔働いていたデイサービスでの様子です。読んで頂けると嬉しいです。
読んで下さってありがとうございます
今日も明日も良いことがありますように(千日紅)
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