【コラム】サービス名は「〇〇君」から卒業
NBCのソフト・サービス名の歩んだ道
中小企業が開発したソフトウェア、サービス名でいまだによく目にする、「なんとか君」・・・。NBCでもご多分に漏れず、多くの「なんとか君」を世に出してきました。
毎日くん、売上達成くん、みらい君、瞬間くん、借入分析くん、製材業の原価計算ザイモくん・・・
「なんとか君」は付かずとも・・・
人事改造名人、銀行対策名人、格付大王・・・まだまだ行きます?
ネーミングセンスがヤバめ。クラウド人事評価でやっと「なんとか君」から抜け出しました。「クラウド・シップ君」違うか!
「クラウド・シップ」です。
クラウド・シップはこんなことから始まった
NBCのクレドにはこんな件(くだり)があります。
”私たちは、社員とその家族に安心と幸福を与えられる存在でありたい”
創業者(現、会長)の野呂敏彦はまさに、それを体現するかのように、社員に気にかけ、声をかけ、その人にあった仕事の環境や、チャレンジや仕事の機会をメイクします。
私と野呂とは社員が数十人の時から20年にも及ぶ関係で、2018年5月・・・私、ナカノヒトに娘ができたことが、クラウド・シップの事の発端となりました。
野呂「ナカノヒト君、娘さんはどうだ?可愛いかい?(北海道弁)どれ写真を見せてみろ!」もうお爺ちゃんになったかのようなテンションでした。
野呂「ところでナカノヒト君、娘が大学卒業するころ、君はいくつだ?」
ナカノヒト「(汗 お約束の質問来た!)XX歳です」
野呂「もっと大きなことにチャレンジしてみないか!うちに入って何年になる?もうすぐ20年だろ。ビジネスマン人生折り返しだよ、俺は君が人事評価制度のプロフェッショナルだと思ってる。1週間くらいで何か企画書つくってくれよ。」
ナカノヒト「え?あっ!はぁ・・・。1週間ですね」
と言いながら、2日後には企画書の催促のメールが来ていましたが・・・。
実はその数か月前から、人事評価制度の構築・運用を支援したお客様からクラウドの人事評価についての問い合わせがあり、他社サービスをいくつか調べてご紹介するという苦い経験を味わいました。そこで下調べ、関連サービスを標準化するための準備を進めていたので、数日で仕上げてプレゼン。
野呂「今日は社長も呼んでるから、君の企画書をプレゼンしてくれ」と
なり、クラウド人事評価や、関連サービスと展開方法などプレゼン
野呂「こんな少額のサービスで上手くいくのか?もっと大きなビジネスチャンスが・・・」で、すかさずカットイン!
ナカノヒト「サブスクと言いまして、少額ですがストック収入ですし、X社が導入すると、Y年間で、Z円の売上が、営業せずとも期待できるモデルで、解約率もクラウドサービスは1~2%台と言われてまして・・・カクカクシカジカ」
野呂「よくわからんが、そんなに君がやりたいなら、判断は社長に任せるから二人で進めてくれ」
え?待って下さい、焚き付けたの誰でしたっけ?結局、社長と当時の執行役員の数名、社内SEも交え検討することになった訳です。
頭の中のモヤモヤを、メタファ(比喩)で他に置き換えて、そこから更に深く考える
クラウド人事評価のシステムの概略、個別機能と機能間の連携、画面イメージなど、開発の外注を選定する前に、ナカノヒトが基礎的な情報を構築していきました。「競合と機能としては、ほぼ一緒だろうな」と思いながら・・ユーザーにとって「使ってみたい」というエンゲージメントになるサービス、ネーミングと、「だからNBCのクラウドを選んだ」と言って頂けるようなコンセプト、ベネフィットを考えよう!と機能もさることながら、こちらの方も同時に考えていくことになりました。その際のメモにはこんなことが書かれていました。
”他社の評価クラウドのウリは運用のしやすし、導入・運用にかかる時間の効率化・・・導入を判断する人事担当者、経営者へのメッセージが多い”
次に繋がる言葉にこんなことも書かれていました。
”NBCが提供するサービスは社員の成長、目標達成、そして心の報酬を大事にしたエンドユーザー(社員、評価者)ファーストのサービス。目標管理や評価による金銭報酬のアップだけではもったいない。社員同士がクラウドで繋がり、認められる、褒められることで心の報酬を高めあう”
この段階から、カスタマーサクセスのカスタマー=社員、評価者をメインとしたクラウドの開発を視野に入れていたことが伺えます。
私はよく物事を考えるあたりメタファ(比喩)を使うことが多いです。
「このクラウドサービスは、経営において、経営者・評価者・社員にとって、どのような存在になるのか?」
という問いを立て、その問いの答えを考える前に、思いつくままに経営が何に例えられることが多いか、比喩を沢山ピックアップしたところ、概ね①戦争に関する事 ②海に関する事 ③山に関する事に分類されました。
①戦争に関する事・・・戦略、戦術、戦力、ターゲット、ビジネス書ではキングダムが当時は注目されていました。
②海に関する事・・・海図、羅針盤、コンパス、荒波、水先案内人、ビジネス書ではワンピースが以前、注目されていました。
③山に関する事・・・頂上(テッペン、ピーク)、シェルパ、トレッキング、マイルストーン、上り坂・下り坂・まさかなど。
人事評価では、会社・部門・個人で目標設定し、その達成のためにPDCAを回し、社員と評価者とでコミュニケーションをとりながら、最後に成長の確認ということで評価を行います。そういう意味では戦争に関する用語は、マーケティングには合うかもしれませんが、人事には向かないなと。(そんな社員同士、蹴落としてまで働きたくないですしね)
山か?海か?と考えた時に、共通したのは遭難・・・縁起が悪い。
山だと登りもあれば、下りもある、ピークを迎えた後に急に下降するイメージ(ピークアウト)など、一つのゴールに向かっていくにも、常に高い山を目指し続けなくてはならない・・・。
海で航海をする場合は、ゴールを迎えても、新しい目的に高い・低いという概念はなく、船に乗っている船員は一つのチームですし、海の方がシックリくるなということで、「海」に焦点を当てて、コンセプトやお客様へのメッセージを考えていこうと決めました。
メタファから広がるストーリー
「海、航海」に焦点を当てると、イメージが広がり、様々な人事評価の課題と結びついていきました。記事「NBCコンサルタンツ+ナカノヒト紹介」で「クラウド・シップのコンセプトとベネフィット」という項目があります。
お客様の困りごとと、それをクラウドでどう解決に繋げるかを考えながら、「社員が会社や部門、個人の目標を、もっと自分事として捉えて取り組めればなぁ」→オーナーシップだ!
「人事評価がもっと社員と評価者でオープンにされて、お互いに達成に向けてもっとコミュニケーション頻度を持てたらいいのに」→リレーションシップだ!
と「~シップ」のキーワードが沢山出てきて、メンバーシップ、リーダーシップ、パートナーシップ・・・
そうか航海で必要なのは「船=SHIP」だ!人事評価のクラウド+5つのSHIPでクラウド・シップとなりました。(もう大喜利はお腹一杯ですか?)
経営を航海に例えて、会社目標を目指すゴール(=寄港地)とし、社員(=クルー)は自分の部門(=持場)で、自分たちの役割(=航海士、機関士、通信士、甲板部員など)を理解し、目標設定する。時には外部環境の変化(=荒波)が来ても上司や仲間と話し合い、改善しながら皆で乗り切り、最後にこの会社(=船)の社員(=クルー)で良かったという、エンゲージメントに繋げる。
クラウド人事評価で、こんな強い組織づくりのお手伝いができれば、単なる点数を付けたり、SABCの評価を付けるだけの人事評価とは、差別化できるし、使っていく中で導入した企業、ユーザーである社員や評価者の皆さんも、親しみを持って使ってくれるのではなかろうか?(少なくとも「なんとか君」よりは・・・)そんな思いで、クラウド・シップと名付けました。
名前やコンセプトが決まると、検討チームの議論もスピード感や、熱量が変わり、ある種のグルーヴ感がありました。実際には採用されませんでしたが、カスタマーサポートの料金体系をサービスの手厚さによって、「セイリング・コース」、「クルーズ・コース」、「オールアラウンド・コース」とかどう?みたいなノリのコミュニケーションで、世界観が広がる面白みもありました。
物性的価値<機能的価値<情緒的価値<生活上の価値
商品・サービスのブランディングでは、物性的価値(製造方法のこだわりなど)<機能的価値(商品・サービスの機能・品質などの価値)<情緒的価値(商品・サービスを使うことでお客様が得られる体験、精神的に得られる価値)という価値提供の構造があり、上位にある情緒的価値や生活上の価値に働きかけ、お客様の心に届けることが重要と言われています。
この記事を通して、クラウド・シップの #名前の由来 を知って頂くとともに、商品・サービスの開発、ブランディングの参考になれば幸いです。
最後までお読み頂き有難うございました。
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