マガジンのカバー画像

なぞりのつぼ −140字の小説集−

300
読めば読むほど、どんどんツボにハマってく!? ナゾリの息抜き的140字小説を多数収録! ※全編フィクションです。 ※無断利用および転載は原則禁止です。
運営しているクリエイター

#デザート

140字小説【負けられない戦いがある】

140字小説【負けられない戦いがある】

 余った給食のプリンを賭けたジャンケン。何としても勝ち取りたい俺は、グーでもありチョキでもありパーでもある、いわゆる《最強の型》というヤツを繰り出してやった。

 すると相手もまた中指を突き立てるという、これまた斬新な型を繰り出してきた。

 ……勝敗はさておき、とりあえず心が傷ついた。

140字小説【犯人はお前だ】

140字小説【犯人はお前だ】

「あれ〜? 私が楽しみに取っておいたシュークリームないんだけど〜」
「……えっ、何?」
「じぃ〜っ………」
「いやっ……い〜やいやいやいやいやいやいや! おぅおぅおぅおぅおぅおぅおおっ、おおっ、おおっおうっ、おおっ、おーれおれおれおれおれおれおろおろおろおろおろおろ俺じゃないよぉ!?」

140字小説【スパイ、いる?】

140字小説【スパイ、いる?】

 俺はスパイだ。ターゲットの懐に潜り込むためなら、その娘とだって結婚する。
 そんな偽りの夫婦生活も早五年。ここまできて今さらバレるわけには――

「――スパイ、いる」
「えっ!?」
「ラ・フランス(洋梨)パイ、いる?」
「ああ、うん……ぐふっ!? これはっ……」
「アナタはもう《用ナシ》よ」

140字小説【遅れてきたウソ】

140字小説【遅れてきたウソ】

「あっ、ごめ〜ん! アナタが楽しみに取っておいてたデザート、食べちゃった〜!」
「それはこの前俺がお前の分も食べた腹いせか?」
「えっ? いや、私ウソついたんだけど? 今日エイプリルフールだし……っていうかこの前のアレ、やっぱりアナタが食べてたの?」
「あ、あれはネコが……」
「遅ぇよ」

140字小説【わかちぽてち】

140字小説【わかちぽてち】

 僕がポテトチップスを一枚つまむと、妻はすかさず手を伸ばし、半分に折ってその片割れを食べてしまう。

 だから僕も残った片割れを仕方なく口にし、新たな一枚をつまむ。するとまた妻が手を伸ばし、半分に折ってその片割れを食べてしまい……

「何でいちいち割るの?」
「だって分かち合いたいじゃん」

140字小説【ずんだ】

140字小説【ずんだ】

「ずんっ、だっ、ずんずずんっ、だっ! ずんっ、だっ、ずんずずんっ、だっ! ずんっ、だっ、ずんずずんっ、だっ! ずんっ、だっ、ずんずずんっ、だっ! ずんっ、だっ、ずんずずんっ、だっ! ずんっ、だっ、ずんずずんっ――」

 ――妻がずんだ餅をご所望だと気づくまで、なかなかの時間を要した。

140字小説【ティラミス】

140字小説【ティラミス】

「これがお店自慢のティラミスですか?」
「はい! ティラミスといえば、お店によってはクリームが多めだったり、逆にスポンジに比重を置いたものが主流だと思うのですが、そこを当店ではあえてココアパウダーに注目し、スポンジやクリームよりも多めに盛り付けております」
「どおりでむせると思った」

140字小説【犯人はお前だ②】

140字小説【犯人はお前だ②】

 知ってか知らずか、私が楽しみに取っておいたプリンを貪る相方……

「な、何?」
「15時03分、現行犯逮捕」
「あっ、これもしかして君の? ごめん、それは気づかなかったというか、決してわざとじゃ……」
「などと供述しており、犯人は未だに容疑を否認している模様です」
「新しいの買うからぁ!」

140字小説【インスリンの宴】

140字小説【インスリンの宴】

「《あんこール》どうもありがとぅ! そうだよなぁ……お前らまだまだ足りねぇよなぁ? 糖分も、運動も! だから俺たちを呼んだんだろぉ? だったら覚悟はできてるんだろうなぁ!? いくぞぉ! 口紅には《チョコ》を! ペンライトには《ふ菓子》を! 血糖値爆上げでイクんで、ヨロシクぅ!!」