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やっぱり九月もうどん紹介します

 正直に言ってうどんの紹介どころかnote自体やめようと思っていました。私はnoteで折りに触れ檻の中のサルのようにうどんの美味し食べ方を吠えていました。ギンズバーグもびっくりするぐらい熱く自分のうどんの美味しい食べ方の素晴らしさを吠えていましたが、皮肉な事に私が情熱的にうどんの美味しい食べ方について語れば語るほど反響はなくなっていったのです。初めは物珍しさで私の薦める美味しい食べ方に反響があったようですが、やっぱり飽きられたのか今では誰も見向きもしなくなってしまいました。私は所詮エリマキトカゲかウーパールーパーだっのです。きっとむか〜しこの記事を読んだ人の中には何かの折りに私のうどんの美味しい食べ方の記事を思い出してなんであんなバカな記事を面白がったのだろうと鼻で笑っているのでしょう。いや、こんな愚痴を言っても仕方ないし、そもそもが全て私のうどんの美味しい食べ方を広める方法が悪かったのだから、他人を責めても仕方ないのです。

 この一か月間私は夏目漱石の『門』の主人公のように毎日お寺で勤行して自分が本当にうどんを愛しているのか問いました。一時期自分のうどん記事が話題になってうどん記事を書けばウケるなんて邪な考えを抱いてそれでうどん記事を書きまくってただけじないか、お前のうどん愛なんぞただの承認要求のなれの果てに過ぎないんだろ。私は毎夜暗闇の中でそう自分にそう問い続けました。寺に入ってからずっと絶食して自分のうどん愛が真実なのかを激しく問いました。そんな夜の帷の中で私は暗闇の中に突然神々しく輝くうどんを見たのです。それは絶食の果てに開かれた悟りでした。私は号泣しました。ああ!自分は本当にうどんを愛しているのだ。しかもそれをほらならぬ仏が認めているのだ。私はひとしきり号泣した後、まっすぐ寺の厨房に行ってうどんを美味しい食べ方で作って食べました。ああ!食べたらまた号泣です!私は真からうどんの美味しい食べ方を実践し続けてよかったと思いました。あんまり号泣していたので翌朝寺から叩き出され、出入り禁止になってしまいましたが、ここで得たものは非常に大きかったです。なんといってもこの寺は私にうどんの悟りを開かせてくれ、捨てようとさえ思った命までも救ってくれたのですから。

 というわけでやっぱり九月もうどんの美味しい食べ方を紹介します。皆さん悟りを開いた私のうどん説法で皆さんに必ずうどんの美味しい食べ方を実践させて見せます。読みたい方はメモのご準備を。読まない人はとりあえずうどん八熱地獄か八寒地獄の方に予約入れておきますので覚悟だけはしておいてください。

 では早速うどんの美味しい食べ方の説法を始めます。まず、はなまるうどんに行ってかけうどんを注文してください。店員さんから注文したかけうどんを受け取ったらそのまままっすぐ薬味コーナーに向かってください。そこにはうどん界の三種の神器と呼ばれる天かすと生姜と醤油が置いてます。その中からまずは天かすをかけましょう。天かすと言えばお寺で勤行している時に住職に教わったのですが、あの二河白道って有名な仏教画ありますよね?最近アニメにも登場しましたね。フランス国旗みたいなペイントしたやつがいるって一部でバズってたやつ。あれが二河白道なんです。あの絵に赤色と青色の川があってその間に白い道みたいなものが描かれているじゃないですか。まぁ、あの絵は仏教界では極楽浄土の事を描いていると言われているそうです。だけどですよ。それだけじゃないんですよ。住職がとっておきだよって耳打ちでガチで教えてくれたんですが、確かに二河白道は極楽浄土の事を描いているんですが、あの赤と青の川みたいなのは川じゃなくてラーメンとそばの事なんですよ。赤がラーメン、青がそばです。そしてその間を横切る白い線は我々を極楽浄土に導くために仏が敷いてくださった天かすなんです。さてその天かすの先の極楽には何があるのでしょうか。察しのいい方はここまで読んですぐにわかると思います。そううどんです。仏は二河白道で我々に極楽浄土に行きたくばラーメンとそばの煩悩を捨て天かすを踏みしめてうどんの極楽に参れと仰られているのです。そのラーメンとそばの煩悩から我々を解放する天かすをうどんに天の高みに達するまでかけましょう。

 次に生姜です。生姜は仏教において禁食とされていますが、それは生姜を食べると心が満たされ悟りが開けないという理由からです。だけどです。これも住職からダレニモナイショダヨと教えてもらった事なんですが、真に極楽に達したいならやっぱり生姜は食べなくてはならないそうです。それは自分の心を鍛えるためです。生姜ごときで悟りが開けぬのは自分の心が弱いから。生姜を食べても心を乱されぬ意思を持つ者こそ真に悟りが開けるのだというのです。つまり生姜を食べても平常心でいられるならなたはすでに悟りを開いているという事です。だからすでに悟りを開いているあなたは遠慮くなく生姜を大さじ一杯掬ってうどんに落としましょう。

 最後に醤油です。醤油はうどん界の黒龍と呼ばれていますが、黒龍というのは中国や日本では神聖なものとされ、神として神社に祭られていますが、この黒龍は北方の守り神であって太古の昔から白き大地をずっと守っているのです。白き大地、それは実は天かすの道の向こうにある極楽浄土なんですね。極楽浄土にあるのはうどんです。つまりこの黒龍は太古の昔からラーメンやそばのような邪悪な悪魔からずっとうどんを守っていたんですよ。言い伝えによると黒龍はその長い尾っぽを五回まわしにくねらせて赤い悪魔のラーメンと青い悪魔のそばが極楽浄土に侵入してこようとするたびに威嚇して追い払っていたそうです。泣けますね。今我々がこうしてうどんを食べることが出来るのは黒龍様のおかげなんですよ。この黒龍の魂が籠った醤油を偉大なる黒龍に倣って五回まわしでかけましょう。これでうどんは出来上がりです。このうどんは天かす生姜醤油全部入りうどんと呼ばれ、極楽浄土を細部に至るまで具現化した究極のうどんなのです。

 最初に行っておきますがこの天かす生姜醤油全部入りうどん。見てくれは非常に悪いです。これの何処が極楽浄土なんだというような見た目です。人によっては嘔吐物にさえ見えてしまうでしょう。しかしそのように見えてしまう方は悟りを開いていない俗人なのです。極楽浄土の何たるかを知りた買ったらラーメンやそばなどの煩悩を取り払い素直な心で天かす生姜醤油全部入りうどんを食べる事です。一口食べた瞬間あなたは極楽浄土がなんであるかを一瞬にして知るでしょう。あなたはラーメンやそばの煩悩が流れる川の上に立つ天かすの道を渡り、天かす生姜醤油全部入りうどんの極楽浄土へとたどり着くでしょう。そこであなたは知るのです。今まで極楽だと思っていたラーメンや蕎麦が八熱地獄や八寒地獄へのチケットでしかない事に気づくのです。ああ!なんという事でしょうか!今まで美味しい美味しいと思って地獄の料理を食べていたなんて!このままだったら死んだら間違いなく地獄行です。だけど安心してください。この天かす生姜醤油全部入りうどんを一口食べたらあなたに憑りついた悪魔はすべて消え、極楽浄土へとひとっ飛びすることが出来ます。あんまり一瞬で飛ぶので肉体さえ忘れるほどです。人を一瞬にして極楽浄土へと導く天かす生姜醤油全部入りうどん。皆さん食べてみませんか?

 今日はこれでおしまいです。ではまた次回。ちゃお!

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