突然きくらげを好きになってしまった [日記と短歌]23,12,5
きくらげの水気を搾る指先に君の孕ませたる何かあり/夏野ネコ
きくらげ、という食べ物を初めて料理に使いました。
中華料理などにちょいちょい入っているのは無論知ってはいて、でも特に注目するわけでもありませんでした。ん?キクラゲ、いるな…、くらいの存在感です。
魔が差した、というんでしょうか。ある日の買い物で気づけばきくらげ(乾燥)を買い物カゴに入れていました。業務スーパーで20gのが70円くらいでした。安いな、きくらげ。
で、ぬるま湯で戻しました。とりあえず卵と一緒にふわっと炒めてやろうと思って、多少余っても使い途くらいあるでしょう、とひと袋全部。といっても20gです、のはずです、でも
うわ、めっちゃ殖える!!
やばいこれ。
私は料理に乾物をまぁまぁ使う方で、豆類は乾燥ものから戻して煮ますし、ヒジキや切り干し大根、干し椎茸、高野豆腐など日常的に使っています。だから乾物が戻った時の分量差にはあまり驚かないのですが、このキクラゲは予想を超えてきた。カサカサに乾いた小さなツブツブが今や濡れてヌメヌメと光り、謎の宇宙生物が変態を果たしたみたいにボウルをみっしり満たしている。まじで何事かと思いましたよこの子の最終形態には。
戻った分量的にはヒジキやわかめと同程度なんだと思うのですが、あの独特のクネクネした形状で見かけのカサが多い。怯むほど多い。どうしよう、と思ってちょうど作っていたストック用の蕪の煮物に後から急遽投入し、それから予定通り卵炒めに、あとは、冷蔵庫の隅にあった株付きなめこと合わせみぞれ煮っぽくしたらこれが美味しかった!ので突然ですがレシピを記します。
あ、今思いついたけどスキヤキの割下で味付けてピーマンの代わりにトマト入れたら美味しいだろうな!きくらげ!
中華丼の具、くらいの認識の頃は別に気にしていなかったけれど、食感のアクセントにとても使いやすい食材だと改めて思いました。
油馴染みが良くて味にクセがなく、熱でヘタレたりもしないので、普段のレシピにINするだけでいろんな料理の表情が変わって面白いと思います。味噌汁とか、あ、豚肉とはきっと相性いいですよね、お肉の量を減らしてカサ増しできればヘルシーだし、あとは煮浸し系にも合うだろうし、酢の物も…、なんか夢広がる…広がったついでにうわ言みたいなことを呟いていました。ちょっと何を言っているのか自分でもよくわからない。
食べ物を好きになること、好物が変わったりすること、その経緯は少し恋に似ているかもしれないなと、タッパの中にまだ残っているキクラゲをつんつんしながら思った私なのですが、まぁそんな気持ちはいずれ短歌にでもするとして、ともあれ素敵で便利な食材に出会ってしまいました。
きくらげ、宇宙生物とか言ってごめんよ!これからも仲良くしよう!