独立8年目に思う、フリーランスが長く働く上で大切なこと
最近独立したばかりの後輩と飲みながら、「わたしも独立初期はとにかく情報を欲していたよな……」と先人たちにあれこれ聞き回った日々を思い出した。
今のわたしは編集・ライターとして独立して8年目。その間より良いワーク&ライフスタイルを試行錯誤してきたわけで、そろそろ情報を提供する側になれるはず。
ということで、フリーランスとして働く上で大事だと思うことをまとめる。誰かの役に立ちますように。
※8割は無料で読めますが、最後の2つはあまり大っぴらにしたくないので有料にしています
規則正しい生活
結局これ。フリーランスは自由さが最大の魅力とはいえ、生活が乱れると心身ともに調子が崩れる。長く働くことを考えたら、起きる時間と寝る時間、働く時間はある程度固定した方がいい。
会社員時代、就業時間が決まっていることに不満があったけど、あれは理にかなっていた。村上春樹も『職業としての小説家』の中で似たようなことを言っていたのでガチ。
なお、わたしの場合はざっくり23〜1時に寝て、8〜9時に起き、仕事の時間帯はなんとなく9〜20時の間に5時間前後というのを基本にしている。労働時間をどう決めたかは後述。
定期的な振り返り
査定や上司との1on1、誰かから与えられる四半期の目標といった区切りがないので、油断するとただただ日々が流れ去っていく。自分の仕事量を把握し、過去の蓄積を実感するためにも、最低でも「どの程度の仕事をしたのか」くらいは定期的に振り返り、目に見える形でまとめておいた方がいい。
今は発信を兼ねてnoteで1カ月間の仕事をまとめているが、初期は手帳兼日記帳に手書きで以下項目を記録していた。
このnoteを書くために1年目の記録を見返したら、2018年3月は取材を15本やって、原稿を34本も納品していた。6年後の2024年3月は取材8本、納品は15本前後になる見込みなので、仕事量の差に驚く。近年だと2022年12月の25本納品が一番多いと思っていたが、それを9本も上回っている。
その一方、1年目と今で収入はほぼ変わっていない。つまり単価が上がっているということ。そうやって自分の変化を実感できるのは単純にうれしい。
何かしらの発信
発信が大事とよく言われるけど、本当に大事なのだとフリーランス8年目にして痛感している。その重要性は仕事の面にとどまらない。
フリーランスになってから意外とダメージがあったのは、自分が何をしているか、言わなければ誰にも伝わらないことだった。身近に上司や同僚がいないからこそ、「こんなことをしている」を何かしらの形で発信しないと、簡単に世界から隔絶されてしまう。
現在わたしは日々の日記と月1の仕事まとめをnoteに書いている。趣味であり自分のために書いているものだけど、同時に親しい人への近況報告のつもりでもある。読んだ友人が感想を連絡してくれたり、久々に会うきっかけになったりと、世界と自分をつなぐパイプになっている。
また、仕事相手の方に親しみを持ってもらう効果もあり、結果的に仕事にもプラスになっている。
もちろん仕事獲得のためにも「ここにいますよ〜!」は伝えた方がいい。ポートフォリオやSNSを通じてお仕事のお声がけをいただくことは結構ある。というか、よく考えたら半分以上がSNS経由かもしれない。
余白を作る
仕事を断るのは怖い。ゆえにスケジュールも仕事量もパンパンになりがちだけど、やりたい仕事を受けたり、時間をかけたい仕事に存分に集中したりできるだけの余白は極力持っておいた方が気持ち的に楽。(そうしたくても思うようにいかない難しさはある)
休日や就業時間が決まっていないため、「土日を削ればいける」「徹夜すれば間に合う」といった発想にもなりやすいけど、1日中仕事×7日間みたいな生活は単純にしんどい。
前述の通り、生活リズムを整えた方がパフォーマンスも上がるので、休むのも仕事だと思って余白をスケジュールに組み込むのはとても大事だと思う。
わたしは重要度や緊張度に関係なく、オンラインの打ち合わせが続くと消耗する。取材後もめちゃくちゃ疲れる。なので、なるべくその後30分〜1時間くらいぼーっとできるようにスケジュールを組んでいる。候補日時を送る場合も、パツパツにならないよう休憩時間を考慮して提示している。
ただ、これはフリーランスになって半年〜1年以後、なんとなく個人で働く感覚がつかめてきてからの話で、初めの頃は来たもの拒まず何でも受ける期間を設けた方がいいと思っている。
わたしの場合、ひとまず最初の3カ月間はお声がけいただいた全ての仕事を言い値で受けると決めていた。片っ端から仕事を受けたことは、興味が湧くジャンル、仕事相手との相性、ギャラと仕事内容のバランスなど、仕事を受ける・受けないの基準を作るのに非常に役立ったと感じている。
違和感のある仕事は受けない
違和感は当たるとよく言われるが、本当に当たる。来るもの拒まず期間で「この案件やばいかも」「この担当者、なんか好きじゃないな……」といった違和感の確認&精度を磨きつつ、違和感が本当に当たることを早めに体感しておくのはものすごく大事だと思う。
フリーランスには守ってくれる上司や会社、話を聞き励ましてくれる同僚がいないので、やばい案件に当たってしまうと全てを一人で受け止めなければならず、想像以上に消耗する。そこから立て直すのも自力でやらなきゃいけない。
なので、やばい案件を避ける能力はめちゃくちゃ重要。「あ、変だと思ったら本当に変だったわ」を体験したら、その後は自分の感覚を信じ、勇気を出して断るが吉。その勇気が己の身を守る。
1日の作業時間を把握する
1日の実作業時間がわかると、自分にとっての最適な仕事量や労働時間が見えてくる。
ある時なんとなく1日どのくらい働いているのか測ってみようと思い立ち、タイマーとアプリを駆使して実作業時間を記録した。
トイレに立ったりうっかりYouTubeを見たりプライベートのLINEを返したりする時間もストイックに差し引いて記録をつけた結果、わたしの場合、1日5時間を超えるとしんどくなっていくことが分かった。
こんなに短いのかと思ったけど、自分の会社員時代を振り返れば気を抜いて参加できる打ち合わせがあったり、雑談したりといった時間もあったわけで、たしかに実際の作業時間は5時間くらいだったかもしれない。
会社員は8時間労働が基本だからフリーランスになってからも8時間を目安としていて、そこに満たない日にどこか後ろめたさを感じたこともあったけど、今は自分が楽しく仕事ができる時間がわかったから気持ちはスッキリ。なんとなくの不安を解消するためにも可視化は大切。
なお、記録をつけるのに使ったアプリはこれ。手軽に紙でもいいと思う。
仕事の人格をつくる
大きく2つの理由から、仕事の自分とプライベートの自分を意識的に切り分け、別人格を立てるくらいのつもりでいた方がいいと思っている。
1つ目の理由は、「仕事上のマイナスな出来事=自分の人格否定」になりやすいから。フリーランスに限らず全社会人に共通する話だけど、フリーランスは特に仕事とプライベートの切り分けが難しい分、ミスや失敗を永遠と引きずってしまったり、ちょっとネガティブなことを言われたときに必要以上に落ち込んでしまったりしやすい。「大丈夫だよ」とフォローしてくれる同僚もいない。
だからこそ、仕事上のマイナスな出来事は「仕事をする自分」に対するものであり、自分の全人格を否定するものではないと言い聞かせなければアポ入れ一つできなくなってしまう。
2つ目の理由は、マネジメントをしてくれる人がいないから。受注者側はどうしても立場が弱くなりやすく、「相手の要望に合わせられない自分が悪い」「このくらい我慢しなければいけないのでは……」と、本来は相手に問題がある場面でも自責にしてしまいやすい。
そんな時、普段から仕事とプライベートで人格を切り分けられていれば「仕事の人格の自分」を客観視しやすくなる。「友だちや部下が今の自分の状況におちいっていたら何とアドバイスするか」と考えてみるのも冷静になる良い方法。
状況を冷静にジャッジしてくれる第三者がいないからこそ、気軽に相談し合えるようにフリーランス仲間と同盟を組んだり、自分の状況を紙に書き出して時間を置いてから見直したりと、自分を客観視するための工夫と意識が必要だと思う。
本業でタダ働きはしない
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