
《詩》竜胆
朝焼けに照らされながら走る車の運転手
名前も知らないあなたを尊敬しています
私の心は誰にも盗めなかった
同時に共感には限界があった
私があなたを
あなたが私を理解するのに
若さも老いも関係なかった
ガラスに反射した人の顔は
悲しみと不安に満ちた覚悟を抱えていた
何かを手放してそして手に入れる
そんな繰り返しかな
好きな歌手が歌っていた
良薬は口に苦し
違うな
心に苦し
まるで黒ひげ危機一発
刺し続けた先には
遅かれ早かれ破滅が待っている
泣いた夜が何度もあった
拾いきれなかった言葉の数々
ごめんね
それでも
何度も意識が混濁する中で
頭に残り続けたのは
大切な人と生への執着
二度と死にたいって言えなくなったよ
夕焼けに照らされながら秋の終わりを偲びつつ
藍色に染まった気持ちを育んでいく