夏目漱石『こころ』の思い出し感想文
僕も高校生の時に『こころ』を授業で読みました。例の「向上心」の台詞について、当時は「ふーん?別に普通じゃん」としか思わなかった。
今は?「もっと言ってやって欲しい」と思います。Kに。Kの口から他人に対し。
どんな文脈での台詞か忘れました。ストーリーも忘れました。先生が軟弱なキャラだった印象だけあります。
あの台詞はモラハラ的です。だけど僕からすれば、驚くほど普遍的な「他人を見下し否定する心理」に見えます。
それを口に出す事は「暴挙であり快挙」に思える。そんなKを結局自殺させたところに、作者の良識を感じます。そんな生き方は実を結ばないのだ、と。
だから僕は、Kの代わりに、Kの続きを生きる事になりました。漱石の限界には失望しています。もう、本など読んでも仕方がない。「肝心のところは何も書かれて居なかった」。