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従業員を札束でぶん殴る福利厚生。
僕はもうすぐ転職する。
さて、従業員に何か残せないだろうか。条件は僕が居なくても役に立つもの。人事制度は運用次第で総崩れになるし、ルールやガイドラインなんてものは声の大きい人が破っていく。優待や資格支援系の福利厚生も、せっせと社内広報しなければ利用率は低い。
いろいろ温めていた中から掘りおこす。
あれが良い、置き土産にちょうど良い。
それは「従業員を札束でぶん殴る福利厚生」と僕が勝手に口汚く表現している保険である。
概要は「三大疾病(がん・脳卒中・心筋梗塞)」に罹患した従業員に100万円(金額は契約による)を支給する保険商品。治療と仕事との両立支援を目的としている。
三大疾病も歳を重ねるごとに罹患率が上昇する。どれも命を脅かし人生を揺さぶる病だ。一般的に四十を過ぎれば健康は下り坂。ある日突然、あれよあれよと転げ落ちる。
もし病気になったら、どんな気持ちになるだろう。罹患自体にショックが大きい。家族や仕事のこともネガティブに考えてしまうのは当然だろう。治療費のことだってある。
ネガティブ思考は、放っておくとどんどん加速する。あれもこれもと右往左往しているかも。さらに身近な人には相談しづらい。
そんな時、100万円の札束で「落ち着け!」とぶん殴る。
「喝!」である。
付帯サービスで「相談窓口」もある。
悪循環におちいる前に「お金」と「相談先」で一息ついてほしい。
当社の平均年齢は高く、これから罹患が増えるのは避けられない。しかし、資金力のない中小企業にできることはわずかだ。病気のことを会社に相談できず、ひっそりと辞めてしまうかもしれない。
だから、不安で右往左往している従業員の頬を札束でぶん殴って……、落ち着いてほしい。
5年後か10年後かは分からない。でも、きっと役に立つ。
少しでも心配に寄り添えたらいい。
置き土産には理想的。
本当に「置き土産」として役員を説得できた。快く賛同いただけたのはありがたい。
僕は旅立つ。でも、未来に足跡を残せた気がする。
「従業員を札束でぶん殴る福利厚生」は良い保険だと思う。総務として一考の価値がある。
しかし、本当にぶん殴ってはいけない。
ご覧いいただきありがとうございました。
足跡を残していただければ幸いです。
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