どうしたらいい
最近、妙に焦っている。いや、焦り、というよりは、倦怠、であろう。気持ちが落ちつかないのはもちろんだが、疲れている気がする。……いや、違う。たぶん、沈んでいる。落ちている。
仕事をしていても、以前のような集中力がない。楽しさが見出せない。言い方を変えれば、ときめきがない。ただ、こなして、帰る。それだけ。
無難にこなしているとは思う。ただ、それだけなんだ。達成感もないし、刺激もない。あるのはただ、だるい、疲れ、予定された成果、残る絶望感。
贅沢なんだろう、自分勝手なんだろう。絶望なんて、おこがましいにもほどがある。
家に帰ると、みぃ、が出迎えてくれる。足元にすりすり擦り寄ってきては、かわいらしい笑みを浮かべているようにも思う。私はただいまの代わりに、その意味をこめて「にゃあ」と言うと、頭を撫でた。
私の唯一の癒し、安心できる、相棒だ。
みぃ、は私の悩みなんてなんのその、いつだってすてきな笑顔をくれる。そんな笑みを見ていると、私の考えていることなんて、あまりにちっぽけで笑えてくるが、現実はそうもいかない。
仕事をするのが苦ではない。むしろ好きなほうだと思うし、思って、やってきた。けれど、
このごろの、この、感じは何だろう。
わかりきっている結果に向かって成果を出すことの虚しさが、退屈になってきている、のだろうか。
それなら、別の部署に異動を願えばいいだけだし、そろそろそんな話しも出てくるだろう。ただ、
本当に、それだけなんだろうか。
何でだろう、きっと新しいところに行っても、この倦怠感は変わらない気がする。
このワンルームにひとり住んで、どれくらいの月日が経ったであろう。私は今、みぃ、のために生きている。けれど、いつまでも、みぃ、がいるわけではない。
私は、何のために働き、食べて、飲んで、寝て、生きて、いるんだろう。
みぃ、のいなくなった世界で、私はそれを想像ができなかった。
「みぃ、おいしい?」
ご飯を食べている、みぃ、を眺めながら、不安を感じている。
「にゃあー」
のんきな声が私の耳を癒してくれる。
あぁ、私は、どうしたらいい。
結局、その答えがわからないまま、自分のご飯の準備を始めた。