何も見えていない
目が覚めると、四時だった。
またか、と思いつつ、再び眠ろうと、目を閉じようとして、やめた。
体を起こし、トイレに行く。
炭酸水を飲んで喉を潤すと、ソファに座った。
明るさのない夜から朝にほとんど変化をしている時間の中で、眠気と決して眠られぬ意識が混濁し、さわやかさのかけらもない空気を私の体は醸し出している。
考えることなんて、何もない。
次の日…‥というのも妙な時間だが、次の日が仕事であれば無理にでも布団に入っていたけれど、明日は休みだ。
それなら、明日ではなく、もう今日として目覚めてしまうのもいいだろう。
かといって、何をすることもない。何もすることはない。
私はただ、この朝に向かう薄い闇に溶けこみながら、時間が過ぎてゆくのを見つめていた。
私の目には、何も見えない。
刻一刻と未来へ向かっていく時間の流れや移ろいを肌で感じるようにも思いながら、私の瞳に映るものは、何もなかった。未来も、景色も、何もかも。
私はただ、こうして、過ぎていくのを待つだけであった。待つ? 何を、待っているのだろう。
薄い闇はそのうち光に包まれるだろう。そうしたら、見えるものもあるかもしれない。けれど、本質はきっと、何にも変わらない。私には、何も、見えていないのだと、思う。
私は未だ見えないこの時間に溶けこんだまま、いつまでこうして生きていかなければいけないのか、見失い、静かに目を、閉じて、みた。
いつも、ありがとうございます。 何か少しでも、感じるものがありましたら幸いです。