宇多球磨才人

昨年、会社で決裁文書を100本書いたので、何か書けるのではと思ってしまいました。色々練習していきます。

宇多球磨才人

昨年、会社で決裁文書を100本書いたので、何か書けるのではと思ってしまいました。色々練習していきます。

最近の記事

NARUKAMI Notes 008 よこはま野毛太郎

『よこはま野毛太郎 酔郷ではしご酒店』 星羊社 2023.11 「野毛」というものを初めて知ったのはテレビドラマ版の『濱マイク』でのことだった。小泉今日子演じる情報屋が山本政志の演じる金貸しの山本について「野毛のヤバい奴」とマイクに話していたのを記憶している。そんな第一印象に「ノゲ」という不気味な響きもあいまって、そこはきっとおっかない場所なのだろうな、一生足を踏み入れることなどあるまいとその時は思っていた。 2009年から横浜の会社で働くようになってから、野毛というのは

    • 上北沢 桜まつり

      今年は暖冬で桜の開花も早まるかと思われたが、3月になって寒の戻りとなって開花とならず、桜をあてにしたイベントも予定変更をせざるをえず、あるいは予定を変えられないため花のないまま花見をしなければならなくなった。 それが今週末、突然暖かくなり、桜も咲き始めた。上北沢の桜まつりに出かけてみると、商店街の道の両脇の桜が見事に咲いていた。 気象情報によると都内の気温は26度にもなるとのことで、ジャケットを着て出かけたのだが暑くて着ていられなかった。 道には地元の商店や町内会などの模擬

      • NARUKAMI Notes 007 東京都同情塔

        九段理江 『東京都同情塔』 新潮社, 2024.1 サイバーパンクだな。これは。 ギブスンの『ニューロマンサー』(近未来は退廃的だ)、攻殻機動隊なら押井守の『GHOST IN THE SHELL』(アーガーマエバーは絶対合う)、『AKIRA』も少々(東京オリンピック?中止だ中止)。 舞台は今よりほんの数年先の日本だが、近未来的な高揚感がある。もっとも新国立競技場が隈研吾ではなくザハ・ハディドの設計だから、我々では到達できない別の世界線の未来だが。 サイバネティクスによる義

        • NARUKAMI Notes 006 『点と線』

          松本清張 『点と線』 新潮文庫, 1971.5 ミステリーは好きなのだが、どういうわけか松本清張はこの年になるまで読んでいなかった。社会派作品ということで敷居が高く感じられ、何となく敬遠してしまっていたからなのだが、手始めに『点と線』を読んでみたところ、時間だけはあった学生時代に清張作品を読み初めておけばよかったと後悔することになった。松本清張の膨大な数の作品群は山脈に例えられるが、今から登り初めて果たして踏破できるだろうか。 それにしても令和の今からすると、作品の舞台と

          NARUKAMI Notes 005 『八月の御所グラウンド』

          万城目学 『八月の御所グラウンド』 文藝春秋, 2023.8 万城目学作品は『鴨川ホルモー』と『プリンセス・トヨトミ』を読んだ。いずれも読み始めから数ページで引き込まれて、一気読みしてしまった。両作品とも映画化されていて、こちらもなかなか良かった。『プリンセス・トヨトミ』で原作では男だった会計監査員の鳥居を綾瀬はるかにしていたのは謎だったが。 そんな万城目学作品が直木賞候補になるのは今回で6回目だという。『プリンセス・トヨトミ』も直木賞候補で2009年にノミネートされている

          NARUKAMI Notes 005 『八月の御所グラウンド』

          NARUKAMI Notes 004 『なれのはて』

          加藤シゲアキ 『なれのはて』 講談社, 2023.10 加藤シゲアキ。 アイドルグループNEWSに所属しながら執筆活動を続け、2021年には『オルタネート』で吉川英治文学賞を受賞。 そうは言っても所詮はアイドルでしょ?話題作りじゃないの? そんな偏見を持ってしまっていたことは正直なところ否定できない。だから書店で長い間平積みになっていた本作についても全くノーマークで、第170回直木賞にノミネートされたときは、何故?と思っていた。 しかし、読み始めてみたところ、自分の不見識を

          NARUKAMI Notes 004 『なれのはて』

          NARUKAMI Notes 003 『迷彩色の男』

          安堂ホセ 『迷彩色の男』 河出書房新社, 2023.9 2022年の『ジャクソンひとり』から再び芥川賞候補となった安堂ホセの作品。 『ジャクソンひとり』と同様ゲイ、ブラックミックスといったマイノリティの視点から描かれた作品である。 全編を通して暗い情念、内にこもり圧を高めていく怒りを感じた。 多様性を大切に。互いの価値観を認めあいましょう。みんなちがってみんないい。嘘を言うな。そんなものは表面的な取り繕いだ。腹の中では見下し、嫌悪しているじゃないか。と、いわんばかり。 現

          NARUKAMI Notes 003 『迷彩色の男』

          落として拾おう

          全てはこの落ち着かない陽気のせいだ。 その日は朝夕こそ冷え込んだものの、日中は20度に近い暖かさだった。 午後3時頃、東京都心部への訪問のため横浜の埠頭にある事務所を出たとき、私はジャケットの下にカーディガンを着込み、コートを羽織ってマフラーを首に巻くという寒い日の格好をしていた。加えて肌着はヒートテック。歩くと汗ばんでくる。 ガマンしかねて私はついにマフラーをとった。これで大分涼しくなる。私は無意識にマフラーを手提げ鞄の取っ手の間に挟み、駅へと向かった。 京急と山手線を

          落として拾おう

          あの頃は先のこと考える暇なんて

          家を片付けていたら、写ルンですが出てきた。 保証期限が2010年なので買ったのはそれよりも2~3年は前になるはずだ。 フラッシュ付きだが、当然電池は切れていて使えなくなっていた。 フィルムが半端に残っていたので、家の回りの写真などを撮って使いきり、現像に出すことにしたのだが、ここで問題が発生する。 近くに現像できる店がないのだ。 以前は商店街には必ずと言っていいほど写真屋さんがあったものなのだが近くでは見つからず、結局少し離れた川崎駅のアトレまで行かなくてはならなかった。

          あの頃は先のこと考える暇なんて

          NARUKAMI Notes 002 『中国・アメリカ 謎SF』

          柴田元幸・小島敬太 編訳 『中国・アメリカ 謎SF』 白水社, 2021.1 SFというとハリウッド映画的なエンタメを想像してしまいがちだが、元来は科学をバックグラウンドとした文学のようだ。 今より遥かに発展した科学の力を想定し、強大なその力を手に入れたことにより人間がどう変容するか、あるいはしないのか。興味のつきないテーマだ。 この本には訳者が厳選した中国とアメリカの7つのSF短編が収録されている。実は娯楽作品でない文学的SFはあまり読んだことがなかったので、新鮮な感じ

          NARUKAMI Notes 002 『中国・アメリカ 謎SF』

          令和五年酉の市 一の酉

          毎年11月に開かれる酉の市、今年は一の酉が11日、二の酉が23日である。酉の日に開催なので年によっては三の酉がある。 門前では熊手市が行われており、たくさんの熊手店の屋台が軒を連ねる。 酉の市を過ぎると本格的になってくるという印象なのだが、今年は異常な暑さが続いており、風情も何もないかと思っていたが、奇しくも 10日頃から冷え込んできて、11日にはすっかり初冬の趣となっていた。 酉の市が行われるのは鷲神社(おおとりじんじゃ)あるいは大鳥神社で、ご際神はヤマトタケルノミコト。鳥

          令和五年酉の市 一の酉

          「あったか~い」季節

          ふと駅の自販機を覗いてみると、赤地に白文字の「あったか~い」が目に止まった。 気付けばもう11月。霜月である。暦だけ見ればむしろやっと出たかというべきなのだが、陽気のほうは上着を羽織ると汗ばむよう。流行語大賞に「地球沸騰化」がノミネートされたというが、さもありなんである。 試しにほっとレモンを買ってみると、出てきたのはマイルドな温かさのものだった。陽気にあわせて温度を調整しているのだろうか。熱いなら熱いで容器をとる時火傷に気を付けなければならないくらいチンチンなほうが好みで

          「あったか~い」季節

          芋煮会

          先日のシイタケに続いて、実家からサトイモとサツマイモとコンニャクが届いた。イモづくしである。ありがたくいただく。 陽気も大分涼しくなってきたので、芋煮をつくることにする。 一口に芋煮といっても地域で違いがあるようで、山方市や米沢は牛肉入りで醤油仕立て、酒田や鶴岡の庄内地方は豚肉入りで味噌仕立てとのこと。 今回は牛肉・醤油にする。山形市の河原でショベルカーを使って作られているほうだ。 レシピを見るとサトイモと牛肉以外の具はネギ、コンニャク、シメジだった。間のいいことにコンニ

          ビールはおやつに入りますか?

          会社で飲み物とつまみを持ち寄って懇親会をやろうということになった。 終業後、会議室で、有志による、系。 来週は第2四半期の決算説明もあるので残念ですが時間外労働です、と、思ったが、業務とはいえ若手が準備をがんばっているのを見て思い直し、仕事をうまいことやりくりして出ることにする。 そうなると持参する酒とつまみを用意しないとならない。 スーパーで買うのも面白くないので、どこかいいところがないかと思い駅前をフラフラしてみると、ちょうどいいことにKALDIがあった。ここなら何かあ

          ビールはおやつに入りますか?

          ジョージのやつもヤワになっちまったもんだ

          朝からピントの合わない問い合わせの対応があり、かなりイライラしていた。 気持ちを落ち着かせるため、会社の自販機で缶コーヒーのジョージア180mlを買い、食堂で一服する。 イライラはなかなか収まらず、気づくと左手に持ったジョージアの缶を思い切り握りしめていた。 メコッ。 私の左手の中で、ジョージアの缶は思い切りヘコんでいた。 ハテ、180ml缶というのは硬いものではなかったのか? まさか怒りでスーパーサイヤ人になったのか? 慌てて鏡を見たが、金髪にはなっていなかった。 残念

          ジョージのやつもヤワになっちまったもんだ

          何か書くには何かを書くことだ

          毎日何かしら書いていこうと思いながらも、単調に日々を送っていると、なかなか書くことが見つからない。 いや、ないことはない。 むしろ、ある。ありすぎる。 会社で働いていたりすると、何かしら面倒くさいことがあり、机に拳をぶつけたくなることもあり、アンガーマネージメントの教科書では6秒ガマンすれば何とかなるというが6秒じゃ全然足りねぇよ!ということもしばしば。 こういったことはうまいこと書けばいいものになるのではないかとは思うのだが、相当に熟考し、推敲し、校正しなければ、つまらん奴

          何か書くには何かを書くことだ