振り返る
午前中で仕事を終え
早めの年越しそばをいただきに
良く行く立ち食い蕎麦屋に
急いだ
平日の昼時は混み合う
ビルの地下にある古いその店
昼時を過ぎた
今年もそろそろ終わろうという今日は
流石に
すんなり入りたい
空腹
頭の中が蕎麦に支配されている
格子硝子の扉の向こうに
数名のお客が見えていて
営業していることがわかった
外にあるメニュー看板を見ながら
今年最後の立ち食い蕎麦は何にしようか
やはりいつも通り
温かいわかめ蕎麦
今日はネギ抜きにはしない
扉に手をかけると
張り紙が
「本日の営業は終了しました」
そう、今年はこんなことが多かった
数えればキリがない
思い通りにいかないのは
世の常
とはいえ
とはいえ
いや
それこそが
生きるということか
いや、そんなことはどうでもいい
空腹が思考を支配している
たべられないとなると
一層
食べたくなるのも
世の常
で
駅ビルの
蕎麦屋に駆け込み
にしん蕎麦を
美味しく頂いた
自分にとって何が良かったことなのかなど
本当はわからないのかもしれない
もしかしたら
最後の日まで
ただ
どちらに転んだとして
日が昇り沈むことに
変わりはない
無常に過ぎゆく日々を
また
あたふたと
生きてゆく