【先生の道具箱】#赤鉛筆とは 愛だ
#とは というお題を見つけました。
今日は #赤鉛筆とは の話をしようと思います。
ここ数十年、私の筆入れに必ず入っているのが、赤鉛筆です。
30代の頃、小学校での指導に迷っていた私は、いろいろな研究会やら研修会に参加して、その関連する本を読み漁っておりました。
その時に教わったのが、「赤鉛筆の使い方」でした。
それからずっと、テストの採点から授業まで、いつでも持ち歩いているのが赤鉛筆です。
最近は「鉛筆シャープ」という商品があるので、そちらを使っていますが、中身は、赤鉛筆です。
テストの採点は、決まって赤鉛筆です。
鉛筆シャープを使う前は、赤鉛筆を10本ほど削って、箱に入れて、次々に取り替えながら丸をつけていました。
紙に引っかかることもないし、ストレスフリーです。
ボールペンやサインペンを使うと、後ろの生徒の解答用紙に、あとが残ってしまうことがあります。
返されたときに、前の人の点数が自分の解答用紙にうっすら見えてしまうって、やっぱりヤダよね。
それから、テストを返却したあとに、解答が消しゴムで消されて書き直されても、丸が消えないということもあります。
今でこそ、定期テストの回数が減りましたが、ちょっと前までは、学期に2回は、大きな定期テストがありました。
テストのたびに、そんなことをする生徒がたくさんいるわけではありませんが、赤鉛筆を使って丸をつけると、鉛筆の解答と同じように、丸も消えて薄くなってしまいます。そうすると、「何かやったな〜」というのが、なんとなくでも解るわけです。
赤鉛筆を使うことで、解答用紙の改ざんを防ぐなんて、その当時の自分にとっては驚きだったことを覚えています。
たかが1点、2点。
されど、1点、2点。
その点数欲しさに、書き直したい!でも、消したらバレるかも。
そう思うことで、グッと堪えることができる。
厳しいけれど、大事なことを気づかせてくれる赤鉛筆だった。 そう思い返してくれるといいなと、毎回赤鉛筆で丸をつけながら思っています。
もう一つは、なぞり書きのつづりを書くこと。
赤鉛筆は 濃淡が自由につけられるので、薄くつづりを書いてあげることができます。
日常的にする小テストや確認テストでは、時々追試もしたりしますが、毎年数人は、「授業や勉強をがんばっているのに、書けない子」が出てきます。
すごく一生懸命に授業も受けているし、話す、聞くは問題なくできます。でも、書けない。読むことはまあまあできるのですが、書くことが、本当に苦手な子がいるのです。
書くことが苦手な子は、いつも最後まで残ってしまいます。
そういうときは、赤鉛筆でつづりを薄く書いて、
「これを丁寧になぞって書いてきてごらん。」と言って書かせます。
それができたら、一つ一つに丸をつけて、ちゃんと点数も書きます。
100点を書いてあげた時、「できたね!」と言われた時、その子の顔がパッと明るくなるのです。
そして、「今の書き方がわかったら、ノートで練習してごらん。」と伝えます。
練習するプリントやノートに、薄い赤文字を書いて渡したこともありました。
そうやって、ゆっくりゆっくり、できるようになる子もたくさんいました。
赤鉛筆で薄く書いた上を、鉛筆でなぞると、赤い線が見えなくなります。だから、手伝ってあげた感が周りにもわかりにくい。
赤鉛筆で薄く書くガイドは、いろいろと役に立つ場面が多かったように思います。
勉強をがんばっているのに、書けない子をなんとかしたい。その理由は本人にもわからないし、対処方法もそれぞれ違うことが多かったのです。今でこそ「学習障害」というものがあって、その中の「識字障害」という困難さがあるということが知られるようになってきましたが、私の教えてきた子どもたちが、そうだったのかと言われると、かなり疑問です。
普通学級の授業を、ユニバーサルデザイン化しましょう。という動きも、かなり前からありますが、本当に進んでいるとは言えない状況もあると思います。
でも、授業がICT化することによって、普通教室にいる「困り感」を抱えた生徒たちが、その困りを解決していくことができるなら、それはとてもありがたいことです。
デジタル化が進んでいく中で、全てがデジタルで解決されるとは思わないほうがいいという側面もあります。
時代が進み、デジタル技術が教室に取り入れられたとしても、私は「赤鉛筆の厳しさと優しさ」を忘れないでいようと思います。 「手で何かを創り出す」「手を動かして、内面を表現する」ことを、人間として忘れないでいてほしい。そのことを、生徒たちに伝えていきたいのです。
紙と鉛筆を通して、伝わることは まだたくさんある。
書き残す、という昔から続く人間らしい営みを忘れないで欲しいから。
私と赤鉛筆のタッグは、これからもまだ、続いていくのです。
#とは #赤鉛筆 #鉛筆シャープ #テスト #文房具
#筆記用具
この記事が参加している募集
サポートありがとうございます。頂いたサポートは、地元の小さな本屋さんや、そこを応援する地元のお店をサポートするために、活用させていただきます!