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イギリス・ケルト・アイルランドへの不思議な思い
残りの人生で神様が1つ行きたいところを選べと言ったら、私はイギリスと言う。
私が好きな俳優のトップ5はイギリス人だ。
理由は不明。
俳優の出身国を調べて見ているわけじゃない。
本棚やDVDもイギリスに関するものが並ぶ。
アーサー王伝説、円卓の騎士、聖杯伝説、ケルト文化、イエーツの本、忘れられた巨人(カズオイシグロ)嵐が丘(エミリ・ブリンテ)ピーターパン、妖精シリーズ、魔術の本など。
壁にはコーンウォールの町のタペストリがある。
ここはアーサー王伝説の地だ。
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ハリーポッターが生まれ、
フェアリーが存在し、
スピリチュアル養成学校があり
シェークスピアが悲喜劇を創作し、
ビートルズが生まれた国。
イギリスは私を惹きつける
不思議や異界が共存する創造の島国だ。
思うにそこは、
そよ風吹く癒しの地ではなく、むしろ
足元にはゴツゴツの大きな石や、
背の低い野草がどこまでも続き、
曲った大木には荒々しい枝が目立ち、
茂った葉影に小さな鳥たちが潜んでいる。
そんな印象。
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海岸では、強風が魚の匂いのする潮の粒を顔に吹きつけ、
うねる白波の下の獲物を、
カモメやウミネコが冷酷な目で狙っている。
まだ行ったこともない地に勝手なイメージを持って土地の人は怒るだろう。
映画の映像では代表的な『嵐が丘』
ジプシーの子、ヒースクリフが旅人にリバプールで拾われ、北ヨークシャーの屋敷に来たことから話が始まる。
ヒースクリスを演じたのは、
古くはローレンス・オリビエ、
その後がラルフ・ファインズ。
彼はハリーポッターのヴォルデモートを演じた
ロイヤルシェークスピア劇団出身のエリートだ。
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ゴツゴツした石灰岩の大地で
晴わたる空を見上げて、男は戯れに言った
『目を開けたとき 太陽が輝いたら
君の未来は輝く
もし 雲がたれ込め 嵐となったら
それが 君の人生だ』
彼の心に悪気はなかった。なのに数秒後、
ふたりの頭上には暗雲と雷鳴が訪れる。
予言どおり、気の強いヒロインは愛の無い結婚をして命を落とし、男は悪の権化に変わっていく。
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私は人生で三度目の節目の旅の過程で今の場所にいる。
思いのほか長く住むこの土地には、
数々の攻防とそれに関わった人間たちの悲劇の思いが、
湿気を含む足下深く、ひたひたと宿っている。
一方で、温暖な気候とサーフィン気風や豊かな文化を見るにつけ、
ここでも自分はよそ者に思える。
人間は地球に様々な歴史を積み上げ、壊しては、また積んで暮らしている。
今、私は平和と言えるんだけれど、
人生の醍醐味は、
発見と気づきと感動にあると思う私の魂は、時々、ムズムズしてくる。
そんな時は、CDをかける。
ジェットエンジン音、空港の雑踏。
異国の言葉の機内アナウンス。
旅の音から広がる風景を描きだすと、
奥底の魂が、息をしはじめるのがわかる。
私には常に、
いつかここを離れる、という思いがある。
だから物を所有することにエネルギーが向かない。
持つのは、荷物にならないものだ。
おそらく遊牧民か羊飼いの前世でも持つのか。
ケルトのドルイド教は、日本の自然崇拝の宗教観に通じると書物にある。
音楽では土着色が濃いケルトミュージックでも
アイルランド民謡なら私の母だって知っている。
『ダニーボーイ』『庭の千草』など。
こんな切ないメロディが、
遥か遠い海を、誰かと共に渡って来て、
外国に偏見を持つ母が 涙ぐんで歌っていた。
この音楽の旋律は 理屈を超えて人の心にしみ入るものがある。
人生の折り返しを過ぎて
この国に行きたい思いを抱く理由は
ここにもあるのかもしれない。
そう思うと、流れ者の我が性分の根っこが、
なんだか、ほっと救われている。
それでは最後に、ダニーボーイを添えて・・・。
長く書きました。ここまで読んでくださった方に御礼申しあげます。
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